きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

ポーランド語とショパン

2008年03月27日 | 音楽のこと
先週風邪を引き、一週間ブログをお休みしてしまいました。



4月5日の夜、銀座でやるサロン・コンサートで、新しい挑戦をする。
ショパンの歌曲を歌うのだ。
ショパンと言えば、「ピアノの詩人」と呼ばれるポーランドの作曲家で、
数えた事はないが、おそらく作曲された曲の90%はピアノ曲であろう。

そのショパンが、人生において、19曲の歌曲を書いた。
パリでの生活が長い彼が、あえてポーランド語の詩を選び。
そしてそのどれもこれもが、ショパンの豊かな個性にあふれ、宝石のような輝きを持つ。

少し前になるが、先のブログでポーランド人のピアノの先生アンジェイ・エステルハージーについて触れた。
ここでまた、彼の教えの多くが私の中で大活躍している。
マズルカのリズム、彼が事あるごとにしゃべってくれたポーランド語の美しさ。

私自身もポーランドに2週間ほど滞在した事があり、今こうしてポーランド語の発音を勉強してみると、そこで会った人や、空気や、建物が次々と頭の中をよぎる。
音の記憶というものは、すごいものだと感嘆してしまう。

今回一緒に演奏するピアニストも、アンジェイの同門で、一緒にポーランドに行った親友である。さすが、その音色からはポーランドの香りがする。

演奏を予定しているのは2曲だけだが、これから沢山歌ってゆきたいと思っている。

ところで、土曜の銀座は人があまり集まらないらしい・・・
せっかくだったら、沢山の方に聴いていただきたいのに。。。
お時間のある方、小さなポーランド体験はいかがだろうか?
http://www.kirimiyako.com/concert-information.htm
(ショパンの他には、シューベルト、フォーレの歌曲、イギリス、沖縄民謡を予定している)

ディーヴァ

2008年03月13日 | 音楽のこと
先に、グルベローヴァについて書いた。
彼女について書いたなら、もう一人、書かなければならないディーヴァ(歌姫)がいる。

マリア・カラス だ。

永遠の歌姫、オペラ界の鬼才である。

あの声、あの容姿。
そして彼女の波乱に満ちた人生。
まさに、「歌に生き、恋に生き」(プッチーニのオペラ、"トスカ"のアリア。)大輪の花を咲かせた後に、散っていった女性である。
グルベローヴァとは対照的に、短い人生を駆け抜けて行った歌手とも言える。

彼女の輝かしい経歴と、あの私生活の華やかさからして、私の彼女に対する印象は、「激しい、感情的な歌い手」 だった。

しかし最近、彼女の録音を聞けば聞くほど、その裏に隠れた演奏の緻密さが伝わってくる。
正直、「あれ?」と思っていた。

そして先日、マリア・カラスのドキュメンタリーを見た。
内容的には、もちろん彼女の波乱に満ちた人生が主だ。
そしてオペラにおける彼女の卓越した演技力。
彼女はこう話す。
「演技をどうするか困ったときは、音楽を聴くの。
音が演技を導いてくれるから。」

そして、ドキュメンタリーの最後の方に、このコメント。
“彼女の演奏は、いつも楽譜に忠実で、楽譜を見ながら聴いているとその正確さに驚く”

脳天をつかれたような衝撃を受けた。

才能だけでディーヴァと呼ばれる事など、決してないのだな、と改めて思う。
彼女の華やかな舞台の裏に、いったいどれだけの努力があったことだろう。

沖縄の歌

2008年03月06日 | 音楽のこと
6月に、沖縄の歌のコンサートに出演する事になっている。
今楽譜をあさり、詩を読み、メロディーをピアノで叩いて勉強中である。

しかし沖縄の歌の、何と魅力的なことか。
音の一つ一つから、太陽が零れ落ちる。
メロディーから波の音が聞こえる。

同じ日本でありながら、あまりに違う文化を持ち、まったく違う言葉を持つ。

まさに国内にあって、新しい文化体験だ。

日本は小さく見えて、本当に広いな、と思う。

しかし、誰か、沖縄語の辞書を作ってはくれはしないだろうか・・・?