きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

発声法の基本

2009年06月18日 | 音楽のこと
発声と言っても、ここでは「呼吸法」に対する「発声法」です。
呼吸法の所をしっかり行ってから読んでいただくように出来ています。

基本は、「声自体は小さく」。
呼吸の吐き出す息の勢いにちょっと乗せるイメージです。

3メートル先を歩いている人が、お財布を落としました。
早足で歩いているので、急いで声をかけないと!
「落としましたよ!」

と、言う状況では、人は自然に正しい発声をします。

その時の声の感覚、おなかの動きを観察、研究してみるのが近道です。
私は最近、赤ちゃんが泣くときに、完璧な発声をしている事に気付きました!
だからあんなに大きい声で泣き続けても、声が嗄れないのですね。

自分の一番自然な声を探すために、イメージトレーニングを良く行います。
私の良くやる方法は、前記した「落としましたよ」
や、登山している自分をイメージして「ヤッホー」と言ったり、
部屋の中で、一番端から一番遠い所に人がいるのをイメージして「オイ!」と呼びかけてみる、などなど。

おなかが自然にぎゅっと搾られる感じがするはずなので、それをいつでも出来るように定着させるため、あらゆる方法で練習してみてください!

意外に思われる方も多いかもしれないですが、実は、「歌う」行為に関して使う「喉」の役割は、ほんのちょっとです。

なので、オペラ歌手などもマイクなしで大ステージで大きな声で歌いますが、決して声が嗄れて出なくなったりしません!


声のトーン

2009年06月11日 | 音楽のこと
先日、アイルランドの子守歌を聞いていて、こういう節があった

'My Mother sang a song to me
In tones so sweet and low. '
「母がこの歌を歌ってくれた
優しく低い声で。」

そういえば、私が良くコンサートで歌う「アニーローリー」にもこういう節がある。

'Her voice is soft and low'
「彼女の声は柔らかく低い。」

わざと直訳して「低い」と上記したが、翻訳に違和感を覚える人は多いだろう。

もし日本で母が歌を歌ってくれたら、その声をどう形容するだろう?
恋人の美しい声を文字にあらわすとしたら?

きっと、「高くて美しい声」とか、「透き通るような声」などだろうか?

ここには興味深い日英(あるいは日本とアイルランド)の、声のトーンに関する意識の違いが感じられる。

日本語では、丁寧に、優しく語りかけるときは声のトーンを上げる。
英国やアイルランドでは、特に正式の場などでは、逆に声のトーンを下げるのである。

いい例が電話。
我々日本人は、普段話す声よりも「もしもし」の声のトーンを上げる。
逆に英国やアイルランドでは、’Hello' はずっと声のトーンを下げる。

京は日本語と英語、両方話すので、日本語は自然に声が高く、英語は自然に声が低くなる。

文化の違いは、歌の歌詞にまで反映するのだから奥が深い。

そういえば、いつも歌いながら、これは絶対に西洋人には理解されないだろうなと思う節がある。

「中国地方の子守歌」の中で、母が子に、お宮参りで何を拝もうかと思案し、
"一生この子のまめなように”
と、歌う。

自分の子が「働き者」に育って欲しいと願う感覚は、日本ならではのものだな、と思う。


呼吸法

2009年06月04日 | 音楽のこと
しばらくお休みしました。またちょっとづつ書いて行きたいと思っております。


呼吸の練習をするとき、私は生徒さんには、次のように教えています。

注:これを行う前に、前記「歌うときの姿勢」を確認してください。

①まずは前屈。その際上半身を楽に。ひざも楽に。(柔軟体操ではないので、無理に手を床につけようとする必要なない。)

②前屈したまま腰の低い位置に手を当てる。

③息を吸う→手を当てた部分が自然に膨らむ

④まっすぐに姿勢を戻してから、無声で「スー」と言いながらゆっくりと息をはく。

①~④を繰り返し行い、慣れてきたら、前屈せずに、腰の低い位置に手を当てて、同じ位置が膨らむように吸って「スー」っとはく。

以上。

理屈としては、息を吸うことによって肺にスペースを得るために横隔膜が下に下がり、結果、腹部が広がります。
吐くときは、「スー」と言う事でプレッシャーがかかり、息を一定量、長い時間をかけて吐く事ができます。これがとても歌うときに大事な事です。
息を吐き続けると、腹部のあらゆる筋肉がぎゅっとおなかをしぼるように動くのが、だんだん感じられると思います。
更に練習を続けると、きゅーっとしぼられた後、力を抜いていると、勝手に正しい位置に、しかも瞬間的に息を吸い込む事ができるようになるはずです。

コツは、とにかく姿勢を正しく保つため、確認を繰り返すこと。
そして、おなかをいつもやわらかく、リラックスした状態で呼吸することです。

お試しあれ。

次は、正しい声の出し方を書こうと思います。