旅とエッセイ 胡蝶の夢

横浜在住。世界、50ヵ国以上は行った。最近は、日本の南の島々に興味がある。

西表島、鳩間島 - 続

2024年08月14日 09時50分14秒 | 旅日記
西表島、鳩間島 - 続

 西表島の上原港と石垣島を結ぶフェリーは、午前と午後の2便ある。ところが、鳩間島に立ち寄るのは、1便のみ。午前船で帰ろうと思っていたら、午後船しかないことを前日知った。
 ガビーン。タバコが切れた。大原に予約していたのに、宿に行けない。最終バスに間に合わない。何とか上原に近くで宿を取った。朝食付きで6,500円。大原の宿はキャンセルを受けてくれたが、ネット予約はキャンセル処理が分かりにくく苦労した。
 ところが、この宿が良かったのよ。断崖の上にあって見晴らしがよい。朝日も夕日も海の上。灯が崖の下なので、夜空が360度の大パノラマだった。外のベンチに寝転がって、30分は夜空を見ていた。天の川は、雲のようでそれほど美しくはない。これで、流星雨の日だったら、とんでもない天空大パノラマだった。


年を取って、もう人は乗せない。





 大原に戻って、しまおとや。ここに来るとホっとする。西表島北部の浦内川には、滝がいくつかある。鳩間島の食堂から、双眼鏡で見えるのもある。ああ、今日は水量が少ないね。
 冷たい滝の水を浴びたら、気持ちいいだろうな。でも少ないバス、川を遡る観光船、リュックを抱えては大変だ。今回は諦めよう。島の人は、台風の話題で持ちきりだ。天気図を見ると、まだ発生もしていないのに。でもこれは結局大型台風3号となって、八重山諸島を直撃した。

* マングローブツアー

 マングローブを行く、仲間川1時間の船旅に参加した。たしか2,500円。個人客は自分一人で、観光バスが丸ごと一台分の客を連れてきた。ここは、貸しカヌーもやっているが、やらなくて良かった。上流まで遠いし、先は行きどまりだった。
 お姉さんの解説つきで、なかなか面白かった。デカいシジミは、身は10分の1ほどしかなく、1週間は泥抜きが必要。今では食べる人はいない。上流には、猪狩り用のワナを仕掛ける場所がいくつかある。


















* 地元のおっちゃんと行くナイトツアー

 最初にしまおとやに泊った晩に、スペイン人の家族が参加していた。言葉はどうするんだろう。宿の女の子が、ツアーに参加して写真を見せてくれた。ハブに2回遭遇し、ヤシガニも見たそうだ。なんだか面白そうだ。
 申し込むと、夜20時に迎えに来てくれた。車の中は2家族で満員だ。長靴を貸してくれる。4,000円、2時間だった。車で草の茂った小道に入る。このおっちゃん、目が良い。さっそく木登りトカゲを見つけた。








この花の名は、碁盤の脚。実がその形。サガリバナと同じく夜咲き、朝落ちる




ヤシガキだ。これほど大きいのは珍しく、約1.5kg、推定100歳。大正生まれ。
絶滅危惧種で今は食べないが、身はハサミの部分だけ。インドネシアでは、長老しか食べないそうだ。
浜は、台湾語やハングルのビンが散乱していたが、台風が来ると一掃される。

 あとフクロウを見た。ウリンボ(猪の子供)が横切ったと言っていたが、見損なった。ホタルの幼虫が光っていた。ヤシガキの迫力には恐れ入りました。ヤシガニは、見られる確率は50%だそうだ。この日は3匹見た。小型のヤシガニは、ボスを見ると逃げてゆく。
 そして、ここが島で一番大きなお墓だよ。玉盛家、知らねーよ。でもどこかで聞き覚えがある。そうか、玉盛スーパーだ。その後、このツアーのクライマックスが訪れた。
 おっちゃんが車を停めて、シー!あれ、ヤマネコの鳴き声か。違ったか。車をゆっくり走らせると、突然獣が車の前を横切った。あっヤマネコの子だ!おっちゃんが一番興奮していた。カメラ、カメラと叫ぶが、一瞬で草の中に飛び込んだ。見たのは1.5秒。でも確かに見た。速かった。あれはネコだ。
 おっちゃんは毎晩ガイドをやっているが、今年に入って2度目だそうだ。今まで写真を撮った人はいないそうだ。イリオモテヤマネコが確認される前、おっちゃんの父親は、山に猫がいる、と言っていたそうだ。
 島の人もほとんど見ていない。夜は出歩かないし。ずいぶんとレアなものを見せてもらい、大満足なナイトツアーでした。


ヤマネコの子が飛び込んだ藪。直ぐに写したが、この通り。

 後は、お終い。石垣島に戻り鳩間島の喫茶店のお姉さんと仲良くなって、紹介してもらったゲストハウスに入った。川平湾、竹富島、石垣島の北部に行く予定だったが、帰宅の便が台風の予定日だ。荷物を持って空港に行くと、何とかその日の夕方便に乗りこめた。ずいぶん高い追加料金を取られたけど。
 まあいい。また来よう。宮古島も良いな。

一泊千円。石垣島。


バス停

 震洋艇のことを話したが、陸軍では丸レという似たような特攻艇を作っていた。丸レは主にフィリピンに配置され、沖縄では慶良間諸島に基地を作った。
この種のモーターボートの特攻艇は、記録に残る限り米軍の小型輸送船や揚陸艇など、フィリピンで18隻、沖縄で4隻に損傷を与えている。
 しかし250kgの爆弾、機雷ではいかにも非力だ。1,55ton 93式酸素魚雷に乗り込む回天に比べれば、効果のほどはいかにも少ない。回天なら、駆逐艦など一撃で沈む。ただ、上陸用舟艇が沖合に並んだタイミングで出撃すれば、味方撃ちになるので、砲撃できず効果的だ。実際には、慶良間諸島の部隊も出撃前に破壊された。



西表島、鳩間島

2024年08月14日 09時18分05秒 | 旅日記
西表島、鳩間島

 八重山諸島の島旅。特にきっかけがあったわけではない。しいて言えば、沖縄が舞台のアニメ、『白い砂のアントワープ』を見たことか。ダンジョンだの異世界転生だのといった昨今のアニメ、に比べて、とてもオールドファッションな、女の子の友情物語に、それほどハマったわけではない。
 ただ、南の島の日差しにあこがれを持った。特に主人公が、水族館の仕事をほっぽりだして出奔する回。人の数より牛の方が多く、海亀の産卵する浜。小さな海亀水族館のある島に心惹かれた。この島は、黒島だ。ここは行きたい。

 安く行くにはフェリーかな。でも東京から沖縄に人を運ぶ船はない。大阪からのフェリーも、今はない。大阪→鹿児島、鹿児島→沖縄では、片道3万円はかかってしまう。一気に飛行機、LCL。調べてみると、ピーチ航空で、成田⇒石垣便が1万1千円代である。一日迷っていたら、1万2千円代になったので、直ぐに予約を入れた。帰りは1万3千円代で2週間後だ。7/11 成田⇒石垣、7/25 石垣⇒成田で申し込んだ。梅雨は、沖縄では明けているし、夏休みは始まる前だ。
 成田発は、不便で交通費がかかるが仕方がない。滞在日数が長い分、ゲストハウスに泊って宿代は安く抑えよう。石垣島に一泊し、翌日のフェリーで西表島の南側、大原港に行った。45分、2,060円だった。なんだ、こんなに近いんだ。与那国島はちと遠い。週に2便の高速船で4時間、3,610円かかる。今回は見送ろう。魅力はあるけど。それにこの島は空港があるから、観光客の8割は飛行機で来て、空港でレンタカーを借りるだろう。

 石垣の街は、繁華街と飲み屋街がにぎやかだが、何でも高い。本土にあるような、すきや、マクド、日高屋といった店がない。郊外にドンキはある。ツタヤは撤退すると新聞に出ていた。普通の値段のコーヒー店も見つけられなかった。観光客用のゴテゴテパフェ、750円とかサラダ付きサンドセット、千円(美味かったが)になってしまう。
 10時にゲストハウスをチェックアウトし、フェリー乗り場に行き、14時の西表行きを予約した。その先、西表島からどの島に行こうか。港近くの観光協会に行くと、「ここでは、石垣島の観光しか扱っていません。」「では、八重山諸島のことは、どこで聞けますか?」「竹富町役場で、お聞きください。近くですよ。」
 竹富町役場に行くと、観光課があった。小さな部屋には、綺麗なお姉さんが一人。「観光客が少なくて、のんびりゆっくりするには、どこがお勧めですか?」「はい、それなら鳩間島が良いと思います。私も行っていますが、人が少なくて良い所です。1時間あれば、歩いて島を一周出来ます。」即答だね。鳩間島なら西表から直接行けるな。これだよ。こういう情報が欲しかった。
 小浜島は割と起伏があって、自転車では移動に困難なので、レンタカーがお勧めだそうだ。黒島は特にお勧めではなかった。自分は、書くのに人のブログを読まない。特に日本の旅行では。波照間島は行きたかったが、一度石垣島に戻らないと行けない。買ったガイドブックには載っているのに、今年の4月にフェリ―便が無くなっていた。四国遍路の路線バスと一緒だ。昔はあったんだよ。
 波照間島は、海岸から直ぐそこに見える。シーカヤックなら行けるかな。そして宿が取れなかった。6月の屋久島の旅で、インターネットで予約が取れなくても、空いている宿はたくさんある。インターネットに載せている宿は 、3軒か4軒に一つだと知った。でも離島では、宿の絶対数が限りなく限られる。予約なしでいきなり行くのは、どうもね。西表→石垣→波照間。それで日帰りじゃあせわしない。つまらない。
 石垣のフェリー乗り場には、旅行会社がずらっと並んでいるが、個人客の宿の手配はしてくれない。でも、鳩間島の宿の電話が載っているページを写真撮影させてもらった。5-6軒ある。電話をしたが、どこも出ない。やっと一軒の民宿に繋がった。でもとんでもないことが分かった。鳩間島で、お祭りがある。豊年祭だという。その宿は、お祭りの準備で、約一週間は宿を閉めるそうだ。他もそうなんだろうな。

 鳩間島の宿探しは後回しにして、西表島の南側、大原港に向かった。綺麗な海だ。桟橋から見ると、小魚の群れが泳いでいる。するとそこに大きな魚が2匹突っ込んできた。おお、いるじゃん。.小魚だけじゃない。リュックに詰めた振出竿とリール、釣り具が活躍するか?
 大原港の桟橋では、ゲストハウス、しまおとやの音子さんがボードを持って待っていてくれた。オーナーの音子さん。本当の名前をたぶん知っているが、確証がないので仮にそう呼ばせてもらいます。ブログに載せる許可は取っているから、仮名にする必要はないのだが。しまおとやは、昼間は音子さん、夕方からはご主人がいる。鳥の声、サトウキビ畑を通る風の音。それで、しまおとや。
 この宿にまず4泊した。清潔で素敵なゲストハウスだ。調理器具一式、食器類はそろっている。炊飯器もあるが、レトルトのご飯にした。2kgの米を買って、余ったら荷物になる。洗濯機は無料。洗剤は持参している。海外の旅では、洗濯は手洗い。干すためのひもと洗濯バサミは必携だ。自転車を借りると、近くの商店まで直ぐだ。
 まあ、スーパーと呼ぶには小さいが、コンビニよりは大きく、土産物も売っている。たいていの物は買えるが、問題は値段だ。本土の平均1.6倍はする。離島の弱みはこれか。弁当も売っている。食パンは、一家族に一つでお願いします、と書いてあるが、買っちゃった。
 よく探して、島産のものを発見。印刷のないチーズの固まり150円。と思ったらバターだった。これはラッキー!牛がそこらにいるもんね。一度だけ島パイナップル120円が買えた。こんなに小さいの。大丈夫かと思うが、これが優れもの。今まで食べたパイナップルの倍は甘い。小さくて芯が無いので全て食える。冷蔵庫で冷やしたら、さらに美味しい。毎日売ってくれよ。
 宿に泊まっていた娘さんたちが、空心菜といっていた、水菜のような葉ものは120円くらい。バターいためにしたが、まあまあ。あれは空心菜ではないな。あと港のスーパーで一度、マンゴー2ケ、390円?当たり前だが美味かった。冷やすと最高。これも一度だけしか見なかった。毎日売ってくれよ。










 宿の周りには、ゆっくりとした時間が流れている。深夜に庭に出ると、満天の星が見える。いきなりキョロちゃんのような鳥が道路に飛び出し、トントンと3歩で横切った。たぶん、シロハラクイナと思われる。2度見た。あっ、キョロちゃん! 何で?

* サガリバナ

 サガリバナって知ってる?自分は知らなかった。というか、花の名前と思わなかった。音子さんに勧められ、タブレットで写真を見せてもらった。川面と埋め尽くして、ピンクの幻想的な花が流れてゆく。だから、下がり華?
 違います。サガリバナは花の名前で、夜咲き陽が登ると落ちるんだ。必ずしもマングローブの汽水域に咲くわけではない。ジャングルの中や、人家のそばにも咲くそうだが、ハブのいるジャングルに夜入るのは嫌だ。ツアーを予約した。確か6千円だったと思う。朝の4時に、しまおとやに迎えに来てくれる。
 同じ宿から、お嬢さんが参加した。2人乗りのカヌーなので、彼女とペアになる。宿から車で20分ほど走り、前良川という小ぶりの川に到着。外に出ると満天の星だ。もう一組が来て、説明を聞きツアーが始まった。もう一組は、30代くらいの女性と、その母親だ。こりゃ楽勝。自分たちが早いでしょ。ところが、我々のカヌーの息が合わない。母娘のペアは、どんどん先行してゆき、カーブの先に見えなくなった。自分は、オールから滴る水でびしょびしょだ。
 後で聞いたが、娘さんはカヌーの経験者だった。ガイドは、一人乗りのカヌーで行ったり来たり。彼のヘッドライト以外には、何も見えない。そのうちに、何とか上流に漕ぎ上ると、突然ふくいくと甘い、何とも良い匂いが川面に漂った。これが、サガリバナの香りだった。
 川面がわずかに白み始め、ショーの始まりだ!自分が参加したのは7/14で、7/20には、ツアーが終了している。6月の中旬から、一か月ちょっとの期間しか見られない。下流のサガリバナは、すでに散っていた。
 とはいえ、これは素敵な体験だった。まあ、写真を見て下さい。











 

 陽が登ると、花は川面にボトっと落ちる。川面と埋め尽くすほどの花はないが、辺りはとても良い香りがする。小さな蜂が花にたかっている。また花を拾い上げると、アリがたかっている。この花は、朝になると落ちる。受粉はアリや蛾が行うんだろう。

 上流は行きどまりになっている。川は流れているが、流れは細くカヌーは入れない。すっかり夜が明けて、この幻想的なショーは終わった。帰りには、お嬢さんとの息が合い、スイスイと進んだ。この娘さんとは、鳩間島で再会した。
 自分は、海月(くらげ)というツアーの会社に申し込んだ。別に選ぶ基準があったわけではない。たまたまだったが、このガイドが自然が好きで、川を楽しんでいた。好感が持てる。でも2人乗りのカヌーを2艇、両手に持って、道路から階段を下りて川に運ぶのはしんどかったぜ。

* 勿忘石(わすれないし)

 南の島に来ているんだから、やっぱ海でしょ。音子さんに尋ねると、ここを勧められた。これが結構遠かった。自転車で1時間以上かかった。この自転車、ちょっとでも登りになるともうアカン。延々と押してゆくことになる。
 一度近道を試み、海に出ようとして、延々と続くサトウキビ畑の道に入り込んでしまった。海は遠く、引き返した。別にどこでも良かったんだ。どこでも貸し切りの海岸線、間違いなし。
 陽に焼けるし、日中に海に行く地元の人がいる訳はない。ベトナムのお母さんが手袋、腕覆い、顔覆いを付け、反政府集会に行くようないで立ちで、子どもを学校に迎えに自転車で行くのと同じだ。
 勿忘石は、大原港よりずっと先だ。さてこの大原港だが、道路案内には仲間港と書いてある。仲間川が流れ出る先だからね。仲間港と大原港。どっちでもいいじゃん。でも旅人は、別の港だと思う。まあ、こういういい加減な所は嫌いじゃあない。
 目的地の手前に、こじゃれた店があった。八重山そばが500円。美味かった。かき氷が150円。帰りに寄ったら、閉まっていた。勿忘石は、大きな駐車場があり(1台も停まっていなかったが)、海岸まで木の階段がある。海に出ると、誰もいない。貸し切りビーチが広がっていた。







八重山そば、500円

 海は、透き通っていて遠浅。岩のそばに近づくと、青い小魚、チョウチョウウオの子供がいる。水は暖かくて、温泉に浸かっているようだ。
 勿忘石は、戦争中に波照間島から強制的に移住させられた住民が、悪性マラリアにかかってバタバタと亡くなったことを、痛恨の思いで記念したものだ。八重山諸島には、8千人の日本軍守備兵がいたが、米軍は上陸していない。西表の住人は、畑仕事も止めさせられ、飛行場造りと防御施設の建設に駆り出された。ごめん、飛行場建設は石垣島のことです。米軍は、八重山諸島を艦砲射撃と空爆するだけで、後は無視したから終戦まで、戦場の後方に取り残された。
 補給はゼロで、兵隊8,000人も抱えてはたまらない。現在の西表島の人口は、2,435人。波照間島は、468人だ。まあ、日本軍の多くは石垣島にいたと思われるが。黒島と石垣島の川平湾に丸4、震洋艇の基地があったが、出撃前に壊滅した。震洋艇はべニア張りのモーターボート。爆薬を積んで、敵の上陸用舟艇に突っ込む特攻兵器だが、実戦ではほとんど活躍していない。
 フィリピン戦で多少の戦果はあったので、沖縄戦では警戒され徹底的に爆撃されたため、沖縄を含め全ての震洋が出撃前に破壊された。いくら爆薬を積んでいても、鉄の軍艦にベニアのモーターボートでは勝負にならない。敵が上陸用舟艇を降ろして、ワラワラと海岸線に向かってくる一瞬を狙う作戦だった。奇襲は、警戒されては勝負にならない。

* 油布島

 西表島では、南部の大原と北部の上原から白浜に行く路線バスが、日に4本ある。大原~上原で1,000円ちょっとだ。ちなみにゲストハウス、しまおとやは大富駅です。大原港から2つ目の駅で、商店の前。歩いて5分でしまおとや。
 油布水牛車乗り場は、野生生物保護センターの次で、始発に乗り8:22に着いた。水牛車の始発は9:30だった。まだ誰も来ていなかった。油布島は目の前だ。油布島は小さい島で、全体が植物園になっている。歩いて渡ると、入園料の700円ですむ。水牛車で往復すると2千円だ。
 水牛車が水没するほど深いわけでなく、じゃぼじゃぼと歩いて行くのも楽しいが、水牛車にも乗りたい。島への移動手段が、水牛車とは奇抜だ。






 自分が乗った水牛車は、おばさん牛で頑張り屋さん。グイグイと車を引いて、5分で渡った。他の水牛の倍から3倍の速さでした。9:30 始発の水牛車は1台。乗客は12人ほどでした。
 油布島は、ほんとに小さな島で、11時ごろまでは貸し切り状態で快適でした。ところが、昼に近づくにつれ観光客が、外国人を含めてワラワラと増えてきた。帰りの水牛車は、7-8台が一斉でした。





















 観光地のレストラン、他に選択肢もないし。ところが700円の八重山そばが、意外にも美味しかった。
 帰りの水牛車は、ゆっくり15分くらいかかった。船頭?御者?は、三線で島唄を。でも最初は安里屋ユンタ。これが定番。口切はいつもこの唄です。しまおとやでも、音子さんが三線弾いて唄ってました。日本の兵隊は、「マタハーリヌ、死んだら神様よー」


* 鳩間島 

 結局、宿の予約は一日しか取れなかった。その日に合わせて西表島で4泊した。まあ、とりあえず一日。後は現地で交渉だ。
 上原港に行くと、サガリバナの時のカヌーパートナーの女の子がいた。彼女も同じゲストハウスだ。まあ、他に空いている宿はない。石垣行きのフェリーが鳩間島に立ち寄る。あっという間に着いた。ゲストハウスのおじい、自分と一歳違い、が桟橋にいて軽トラで出迎えてくれた。「もう一泊したいのですが。」「うーん。どうしようかな。」結局OKになり、鳩間島に2泊した。
 鳩間島は、思った以上に素敵な島だった。何もない。海はめっちゃ綺麗。人は、66人? 島の人は、50人くらいじゃないか、という。本土から来て、店をやっている女性が2人いたから、まだ住人に数えられていないのかも。







古い時代の物見塔
鳩です。鳩だよね。










 海の色が綺麗だ。どの浜もほとんど貸し切り。遠浅で水は暖かく、少し窪んだ所に熱帯魚。サンゴがチラホラとある浜には、そこに熱帯魚。ナマコもいる。一度使われなくなった桟橋?防波堤?の残骸に、海から近づいたら、結構大きな魚もいるな。やばっ海蛇!目と目が合った気がした。海蛇が大人しいのは知っているが。前日に飯屋で医者とインターン2人、計3人の若者が話していた。「この島には、ハブはいないんだよね。でも海蛇はいるよね。血清なんかないよな。」
 この島で怪我をしたら、大変なんだ。島に3軒あるうちの一軒の食堂のオヤジさんが、腕を怪我した時は石垣島の病院へ、定期船を待って乗っていったそうだ。
 島には売店が無い。自分も途中でタバコが切れた。小さな郵便局があるが、ATMはない。自動販売機は3~4個ある。西表島から見て右側に立派な建物がある。ああ、高級ホテルがあるね。違いました。中学&高校です。
 鳩間島は、以前に『瑠璃の島』というドラマの撮影地になっている。聞いたこと、あるような、無いような。『ちゅらさん』なら知ってる。あれは小浜島か。本土から島に養子として生徒が来る話しが、瑠璃の島。養子か分からないが、今でも生徒が来ているようだ。ゲストハウスの横に、小ぎれいな寮がある。釣り場を探して防波堤に行ったら、女の子がヘッドホンで音楽に陶酔していた。その子はいつまでも防波堤にいた。


煮魚。美味い。
朝食
ソバつき親子丼。やっと食った。


 











この広場のベンチが好き。風がよい。








 祭りの準備が始まった。島民全員が、5つほどあるお宮に一晩籠るそうだ。祭りの間、観光客は島からいなくなる。食堂も休むし、売店もない。一組だけ、昔から来ている団体が泊まるそうだ。彼らは同じ人たちで、入れ替わっても人数は増えないらしい。
 この島には、野生のヤギが約150頭いる。島の中の道にはヤギのふんがゴロゴロ。でも島一周の間に姿は見なかった。カヌーパートナーの女の子は、一周の間に2回見たそうだ。
 あと、島を出て数日後、脚がふくらはぎまで腫れた。ブツブツが出来たが、それほど痒くはない。草をこぐような道は少なかったが、ゴムぞーりは避けた方が良いのかも。まあ、自然に治ったから、大した害はない。
 宿の親父に誘われて、庭で飲んでいると、いつの間にか立派な角をはやした真っ白くて大きなヤギが、道路に立ってこちらを見ている。ボスの風格がある。写真撮ろ、と思ったら親父と連れの老人に追い払われた。でも、山の方でなく郵便局の方へ去ってゆく。そっちじゃないのに。二人はヤギが大っ嫌いだそうだ。畑の網にヤギが引っ掛かると、たいていは食べてしまう。小さなヤギは飼うこともある。
 この島の人たちは、買い物はネットで行う。葉物が痛んでいたりすると、交換できるそうだ。西表島は近いが、上原には1.6倍の価格のスーパーがあるだけなので、石垣島に行くそうだ。タクシー代がかかるし、一泊するしで大変らしい。