Good job!
海外の空港で出発便を待っていた。出発の時間が近づくと座席が込み合う。並んだ椅子の間に一つだけ空席があった。そこに大き目のショルダーバックを肩に掛けたスタイルの良いお姉ちゃんがやってきて、空席の隣の男に聞いた。「そこ宜しいかしら。」俺は向かいの席から何気なく見ていた。ビジネスマン風の男は顔を上げ、不自然なほど彼女を見た後ゆっくりと抑揚をつけて言った。「No~no.」(いいですとも。or 私が拒否するわけありません。)ウッゲー、気持ち悪。普通に「You are welcome.」とか言えよ。よく見れば油ギッシュで、近づけば柑橘系のコロンが匂って目にまで沁みそう。男は彼女に話しかけるが軽くいなされ(失礼ぎりぎりまで無視され)、其の内に彼女は席を立った。ザマミロ。
アメリカ製落下タイプのアトラクションを日本で設置する際、2ヶ月づつ数回に渡って通訳をやった。アメリカ人の技術者の指示を日本の作業員に伝えるのだ。タワーの鉄枠が出来上がり、内側の空圧の大きな筒を吊り上げて溶着する大事な工程に入った。数十mのタワーの上で、慎重に作業は進められた。ゆっくりと慎重に、真っ直ぐ真っ直ぐ。作業員は接着剤を手早く刷毛で塗り、吊り下げられた筒を両手でつかんで下ろしてゆく。うん、いいね。素人の自分が見ても手際がよい。身長190cmくらいのアメリカ人の技術者が一言。Good job! いい腕だって言ってる、と作業員の親父に言ったらヘルメットの下でニッカと笑った親父の顔が良かった。
フロリダで遊園地の国際ショーがあり、日本のアトラクションメーカーの我々も模型と映像などを展示した。設置・後片付け・ショーの合間に一人でユニバーサルスタジオとディズニーのMGMスタジオに行った。オっちゃん一人でも実に楽しい。よく観客の志願者を募って簡単な衣装を着せ、ショーに飛び入り参加させる。それが出てくる客、若者もオバちゃんもジイさんもノリが良いこと、サクラかと思うほどだ。日本人なら照れちゃってこうはいかない。
時間を忘れて遊んでいて気が付いた。カメラを持っているのに未だ一枚も写していない。記念に何枚か撮っておくか。バルーンを50個くらい体につけた青年に頼んだ。「シャッター押してくれる?」すると青年はちょっと黙って、右手から左手にバルーンを移し始めた。あっ両手がふさがっていたんだ、ゴメン。すると青年は顔を上げてニッコリとしてこう言った。「My pleasure.」(喜んで。or お役に立てて私も嬉しい。)
「It’s all right.」でも「Never mind.」とか「No problem at all.」ではなく、「My pleasure.」いい言葉だな。心がちょっぴり温もった。
海外の空港で出発便を待っていた。出発の時間が近づくと座席が込み合う。並んだ椅子の間に一つだけ空席があった。そこに大き目のショルダーバックを肩に掛けたスタイルの良いお姉ちゃんがやってきて、空席の隣の男に聞いた。「そこ宜しいかしら。」俺は向かいの席から何気なく見ていた。ビジネスマン風の男は顔を上げ、不自然なほど彼女を見た後ゆっくりと抑揚をつけて言った。「No~no.」(いいですとも。or 私が拒否するわけありません。)ウッゲー、気持ち悪。普通に「You are welcome.」とか言えよ。よく見れば油ギッシュで、近づけば柑橘系のコロンが匂って目にまで沁みそう。男は彼女に話しかけるが軽くいなされ(失礼ぎりぎりまで無視され)、其の内に彼女は席を立った。ザマミロ。
アメリカ製落下タイプのアトラクションを日本で設置する際、2ヶ月づつ数回に渡って通訳をやった。アメリカ人の技術者の指示を日本の作業員に伝えるのだ。タワーの鉄枠が出来上がり、内側の空圧の大きな筒を吊り上げて溶着する大事な工程に入った。数十mのタワーの上で、慎重に作業は進められた。ゆっくりと慎重に、真っ直ぐ真っ直ぐ。作業員は接着剤を手早く刷毛で塗り、吊り下げられた筒を両手でつかんで下ろしてゆく。うん、いいね。素人の自分が見ても手際がよい。身長190cmくらいのアメリカ人の技術者が一言。Good job! いい腕だって言ってる、と作業員の親父に言ったらヘルメットの下でニッカと笑った親父の顔が良かった。
フロリダで遊園地の国際ショーがあり、日本のアトラクションメーカーの我々も模型と映像などを展示した。設置・後片付け・ショーの合間に一人でユニバーサルスタジオとディズニーのMGMスタジオに行った。オっちゃん一人でも実に楽しい。よく観客の志願者を募って簡単な衣装を着せ、ショーに飛び入り参加させる。それが出てくる客、若者もオバちゃんもジイさんもノリが良いこと、サクラかと思うほどだ。日本人なら照れちゃってこうはいかない。
時間を忘れて遊んでいて気が付いた。カメラを持っているのに未だ一枚も写していない。記念に何枚か撮っておくか。バルーンを50個くらい体につけた青年に頼んだ。「シャッター押してくれる?」すると青年はちょっと黙って、右手から左手にバルーンを移し始めた。あっ両手がふさがっていたんだ、ゴメン。すると青年は顔を上げてニッコリとしてこう言った。「My pleasure.」(喜んで。or お役に立てて私も嬉しい。)
「It’s all right.」でも「Never mind.」とか「No problem at all.」ではなく、「My pleasure.」いい言葉だな。心がちょっぴり温もった。