9月10日(月)から10月14日(日)まで、山形県寒河江市にある
慈恩寺宗本山慈恩寺で『慈恩寺の宗教と仏像展』が開催されました。
かねてより、訪れてみたいと思っていた慈恩寺でしたが
念願かなって9月29日(土)に、初めて参拝することができました。
慈恩寺は、724(元亀元)年に行基がこの地を訪れた際に、この地が景勝であることに感銘を受け
都に帰って聖武天皇に奏上し、746(天平18)年に勅命によって開かれた寺院です。
その歴史の長さゆえ、また、隆盛を極めた時代の圧倒的な規模もあり
国をはじめ山形県や寒河江市指定の文化財や天然記念物を数多く有しています。
『慈恩寺の宗教と仏像展』で公開された諸仏は皆すばらしいものでした。
なによりも、ご住職が巧みな話術で仏像や慈恩寺の歴史をわかりやすく説明してくださり
それがよりいっそう慈恩寺についての理解を深め、記憶にとどまることになりました。
参拝を終え、公衆トイレに入ろうとしたところ
トイレ脇のベンチの前に置かれた灰皿を利用してタバコを吸っている人がいました。
環境タバコ煙で体調が悪化する受動喫煙症の私は、トイレを利用することはできず
寺務所に併設している売店でお土産を買うことも、ベンチで休むこともできませんでした。
しばらくほかの場所をうろうろしながら様子を窺っていると
ちょうどご住職が通られたので、思い切って灰皿のことについてお話ししました。
この時点では
・灰皿を置く適当な場所がほかにないため、現在の場所に置いています
・トイレの入口近くにあるのが駄目なのであれば、入口から離すことしましょう
というご返事で、ご住職自ら、赤丸の位置にあった灰皿を移動してくださいました。
しかし、その移動距離は約1.5mで、状況の改善には至りませんでした。
ここでご住職にさらなるお願いや説明をすることは難しいと考え
寒河江市のホームページを調べたうえで
市長ならびに健康福祉課・慈恩寺振興課に連名で
慈恩寺の境内から灰皿を撤去し、境内と周辺道路を禁煙地区として指定するよう
9月30日(日)に要望のメールを送りました。
参考に挙げたのは、兵庫県小野市の浄土寺の例でした。
【要望の経緯と概略】
・環境タバコ煙によるさまざまな影響については、健康福祉課であれば理解されているはずです
・施設入口近くの灰皿の扱いについては、既に厚生労働省健康局長から通知が出ています
・環境タバコ煙で体調を崩す人は、灰皿を置くことによって生じる環境タバコ煙が社会的障壁になり、施設の利用ができません
・障害者差別解消法では、社会的障壁の除去が求められています
・慈恩寺に来たら「受動喫煙に遭った」「トイレがタバコ臭かった」ということでは、来訪者をがっかりさせてしまうのではないでしょうか
・慈恩寺の文化遺産の継承は寺院だけの責任ではなく、文化遺産を火災から守り後世に伝えていくことは貴市にも責務があるはずです
・境内から灰皿を撤去し、境内及び周辺道路を受動喫煙防止・火災予防の両面から電子加熱式タバコを含むすべてのタバコの禁煙地区に指定してください
寒河江市のホームページでは、14日以内に回答がいただけるとのことで
期日内の10月10日付の文書で、佐藤洋樹寒河江市長から回答をいただきました。
【回答】
本山慈恩寺と話し合いをした結果、文化財等を火災から守るため、また、訪れる方々の受動喫煙を防ぐため、慈恩寺本堂境内を完全禁煙とし、現在の場所から灰皿を撤去することになりました。
また、周辺道路を禁煙地区として指定してほしいという要望については今後、慎重に検討していきたいと考えております。
これで、今後、慈恩寺を訪れた全ての方が
ベンチで憩い、土産物を選び、トイレを利用できるようになったわけです。
佐藤洋樹寒河江市長のご英断と
要望を受けて慈恩寺と話し合いを重ねてくださった慈恩寺振興課・健康福祉課の職員の皆様
そして要望の趣旨をご理解いただいた本山慈恩寺の皆様に
厚くお礼申し上げます。
ありがとうございました
慈恩寺のある寒河江市はさくらんぼで有名ですが、ぶどうやりんご・お米・お蕎麦など
おいしい物がたくさんあるうえ、朝日連峰や湯殿山・月山にも近い地です。
ぜひ皆さんも、慈恩寺と寒河江市をお訪ねください。
私もまた機会を作り、慈恩寺を再訪したいと思います。
