たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★それぞれの場所で、それぞれに禅を。

2020年03月05日 | 四季折々 寺事折々
令和2年3月7日晩の定例坐禅会、8日朝の初心坐禅会は、
新型コロナウイルスCOVID-19への対応のため中止とします。




道元禅師は毎日4回の坐禅「四時坐禅(しじざぜん)」を説かれました。
 黄昏  こうこん;夜
 後夜  ごや;未明
 早晨  そうしん;午前
 晡時  ほじ;午後
ただ現代では、本山内でも日中は様々な法務・寺務があるため、
永平寺での安居修行中、四時坐禅をコンプリートできたのは数えるほどでした。

全山での坐禅をしないときは「各寮坐禅」といって、
各部署の事情に応じてそれぞれの持ち場で坐禅をしたり、
坐禅以外の職務を行じるという時間もありました。




ある日、晩の坐禅が「各寮坐禅」になりましたが、
私が配属されていた寮にも、私自身にも、
その時にしなければならないことが何もありませんでした。

いつも坐禅をしている「僧堂」で坐ってみよう!と思い立ち、
こんな時に僧堂で坐る人はいないだろうと思いながら堂内に入ると、
意外にも、何人かの先輩雲水が坐っていました。


毎日、多くの雲水が坐っている僧堂ですが、
この時は数えるほどの人が、ポツン、ポツンと坐っていました。

他の人からの距離を保って坐る場所を定め足を組みます。
周囲の状況が違ってはいても、坐禅に変わりはありません。

僧堂に吊り下げられている裸電球。
わずかに聞こえてくる水路の音。

畳に落とされている私の影…。

五感は普段以上に研ぎ澄まされていきますが、心は動きません。

思い計りに染汚されることなく、坐禅が坐禅をしています。


配属先によっては、各寮坐禅中に仕事をしている雲水もいる。
道元禅師のお膝元、永平寺で、いま、だれもが、
純一無雑に、弁道精進の一日を行じつづけている。




あ、あー。

本山で行じられていること全てが禅だな。


大きな行事や、全員が法堂に参集する法要に出ると、
永平寺全体が一つのことをしている一体感を法悦と言うかもしれないけれど、
この一体感には始まりと終わりがある。“ひととき”の感覚でしかない。

数名の雲水が、いま、僧堂で坐禅をしているのと同じように、
多くの雲水が、いま、自らの役割をきちんと果たしている。

濃淡もなく、裏表もなく、貴賤もなく、オンとオフもなく。

ただの禅を、ただの雲水が、ただただ、行じている。




このCOVID騒ぎで、出歩く機会が減っている人もいるでしょう。
年度末のこの時期に、これを良いチャンスにすることができないでしょうか。


普段の忙しさに紛れて見過ごしていてること。
雑事への対応で優先順位を下げてしまっていること。
この3月は、一度立ち止まって、ひと息ついて。
やるべきことをきちんとできたらなと思います。



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