たつのこ半畳記 350

坐禅会情報・四季折々の様子を伝えるときどき日記。
令和3年に開創360年を迎えている起雲山大龍寺のブログです。

★偲火(しのび) ~ 亡き人への思いを誘う線香花火

2020年08月01日 | 四季折々 寺事折々
大龍寺の檀信徒さんは、お盆の迎え火・送り火を焚きづらかったり、
お墓から自宅まで、ロウソクのついた提灯を手にして帰るには遠すぎるなど、
昔ながらのお盆の風習を持続することが難しい地域に住んでいる方が多いです。

都会にあるお寺さんは、おおむねどこも同じ事情をかかえています。



そんな状況であっても、お盆のお参りに来た方が
喜んで下さるような ”差し上げもの” がないだろうか?
と、お盆が来るたびに考えつづけて、もう何年にもなっていました。



迎え火、送り火、炎の1/f ゆらぎ、先祖、亡き人、偲ぶ、想い、供養、鎮魂、花火…



そんな言葉や映像が心を去来しているうちに、

 線香花火で亡き人を偲ぶことって素敵じゃないだろうか?
 お参りに来た方に、線香花火を差し上げるのであれば、喜ばれるのではなかろうか?

…というイメージが、お盆直前(前晩)に突然わき起こってきて、
あとはまさに突貫工事の勢い。
近所の大型店で線香花火をあるだけ全部(20本入りを16組)購入してきて、
手渡しする瞬間をイメージして包みを考え、意図に沿った名前と説明書きを調えて、
ひとつひとつ手作りして64組が出来上がりました。

イメージが浮かんでから一晩。
お盆に来られた方に差し上げることができました。





大切な方にお手紙を送るような雰囲気を出したくて、
A4サイズのまっ白い紙を縦長に折って包み(多当;たとう)を作りました。




多当には、施食幡の五色を思わせる線香花火(5本)が包まれています。




多当のうしろがわには、お盆に線香花火を差し上げる気持ちをしたためています。



 お盆・盂蘭盆(うらぼん)は、亡き方が冥界から家族の元へ戻るとき。
 迎え火は亡き人を招く目じるし、送り火は帰路を照らす明かりとなります。
 揺らめく炎を見ていると私たちの心もゆったりとして、
 亡き人の生前の言葉や姿が甦(よみがえ)ってきます。
 花火には、亡き人の魂を慰める力もあるそうです。
 火の取り扱いに注意を払いながら、お盆中にお楽しみ下さい。
 敬意と愛情に溢れたお盆となりますように。







これを見て下さった多くの方から、共感の声をいただきました。

お寺さんからは、自分のお寺で同じようなものを配りたいと声が上がりました。

製品化しようと動いている人もいます。

「コロナで帰省することができず寂しいお盆を過ごしている人はたくさんいる。
 この線香花火を多くの人に届けて、亡き人への思いを馳せてもらいたい」
と、お盆の帰省自粛が叫ばれている今年ならではの問題にも関われそうです。
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