お気に入りの食器を割ってしまいました。
粉々に砕けたなら諦めもついたけれど、
きれいにパックリと割れて、組み立てることができたので、
そうだ、金継ぎ(きんつぎ)をしてみようと思いました。
金継ぎとは、
割れたり欠けたりした陶磁器を漆で接着し、継ぎ目に金や銀、白金などの粉を蒔いて飾る、日本独自の修理法。
(コトバンクより)
(日本金継ぎ協会ホームページより拝借いたしました)
ハンズのサイトで、金継ぎセットを発見、購入しました。
私が使ったのはこちら。
説明書を見たら簡単にできそう。
漆はかぶれることは知っていたから、注意しよう。
と、とってもかる~い気持ちで始めたのですが、
これが後々、大変な出来事のきっかけになるとは、この時は、露とも思いませんでした。
なんせ、右も左もわからない初心者。
説明書では足りないことが大量に出てきて、なかなかに大変でした。
まず、陶器の破片をガムテレピン油できれいにします。
・・・どうやって油を出すの?
こういう形状の缶って、ペンキ塗りをした時の、ペイントうすめ液と一緒。
そのまま傾けると、絶対にこぼれる。もしくは、缶の上にたまる。
ペンキの時は大量だったから、灯油を入れるときのポンプを使用したけれど、今回はどうしよう。
布で蓋をして、一瞬傾けて、布に染み込ませることにしました。
後から、付属品の小皿を注ぎ口につけて、少しだけ出すとこぼれないとわかりました。
次ぎに、米粒をつぶしたものと漆を混ぜて、糊を作ります。
付属品の小皿でつぶそうとすると、皿が小さすぎて、ヘラが大きすぎてつぶれない!
多少粒が残っていても、これくらいでいいや、と思ったら、
漆とうまく混ざらず、つぶつぶした糊になってしまいました。
その糊を、陶器の破片にぬりぬり。
(我ながら雑・・・茶色い粒々は、米粒の形そのままです)
少し時間をおいて、くっつけます。
ここから湿度が高い箱の中で、約3日間おいて乾燥させます。
人工的な成分の接着剤ではなく、天然の素材で、その酵素の力でくっつけるなんて、
すばらしい技法だなあと思います。
欠けた部分には、付属の粉と水で粘土を作って、
漆を混ぜ合わせたものを埋め込みます。
これも、配分が難しくて、糊同様にもろもろになってしまいました。
(この日の作業はここまで。ふーやれやれ。
説明書に換気のことは書いていなかったけど、ガムテレピン油と漆のにおいが部屋に充満。揮発性の油だから、換気は必須だと思います)
3日後、箱から出してみると・・・
ゴム手袋についた漆が、指で触った所全部で茶色くなっている!
(きちゃない・・・猫毛までついてる)
くっつけたときは、はみ出たところを布で拭いてきれいになったように見えたけど。
ちゃんと、ガムテレピン油で拭き取らないといけなかったようです。
やすりでごしごし、結構力を入れないと取れない。
やすりで取れないところは、マイナスドライバーでごりごり。
微妙に食器が傷ついていく・・・
白いマグカップに絵柄を印刷したものは、やすりをかけると、表面がはげた!
こういうタイプには、ガムテレピン油で拭くと取れました。
それに気づくまでに、ちょっとハゲちゃった。くすん。
この時のこの作業が一番大変で、「金継ぎ、2度目はないな」と思いました。
ある意味、相当な力でこすっても壊れないくらい、糊の耐久性はあるようです。
つぶつぶ糊でも、ちゃんとくっつきました。
つなぎ目に漆を塗って、少し乾かしてから、仕上げの金の粉をふります。
説明書に「約20分おく」とありますが、20分たっても漆は乾かず。
最初3日おいて完全に乾かして、そこまでカチカチじゃなくてもいいとしても、
20分で乾くの???
もう少しおいても乾かないから、金の粉をふることに。
金の粉を筆先につけて落とすのですが、圧倒的に量が少ない。
余分な金粉を真綿ではらい落とすとのこと。
でも、漆が乾いていないから、漆が真綿について、またあちこちに漆が広がっていく・・・
また削る作業かあ・・・
さらに、ゴム手袋の指先についた金の粉が取れない。
白い紙の上でして、後で回収しましょうとあるけれど、
コピー用紙の上でしたら、紙に金の粉がついて回収できない。
と、貴重な金のはずなのに、ロスが多く出てしまいました。
もう、やぶれかぶれ。
筆先に金粉をつけて、つなぎ目をなぞってみたら、
漆と金粉が混ざって、完成図(箱にある写真)とは全く別物になってしまいました。
本当は、こうなる予定だったけど、
ま、いっか。初めてだし。
水を入れても漏れないし、器として使えそう。
と、これで終了。
しかし、やっぱりそれではよくなかったのでした。
(続く)
ブログを書けてよかった。