前回お伝えしました、「神社の中に残る武田氏の生活のあと」では、武田信玄公が生活していた館内のようすをご紹介しました。
今回のシリーズでは、大手門の反対側にある西側の門跡、さらに武田信玄公の長男、義信公の新居だった西曲輪についてご紹介していきます!
(西曲輪とは、義信公と今川義元の娘との結婚に合わせて1551年に新造された義信公の居館です)
下の写真でいうと赤枠の部分
①、②、③に分けてご紹介します。それでは、スタート!
まずこちらが、①のあたり、当時の西曲輪の正門にあたる場所です。
(※現在は当時の門は残されていません。)
この門をくぐると、長方形の形のようなスペースがでてきました。
赤枠で囲まれた部分、広間のようにも見える四角い大きなスペースですが、この場所にも理由があります
このスペースを囲むように土塁があり、この上に兵士がいて、侵入してきた敵を攻撃するための場所なんです。
(土塁の上から攻撃することで、有利に攻撃できたそうです。攻撃の方法は、投石や銃、弓矢など。
迫りくる敵からお城を守るため、命がけの戦いが想像できます)
お城を守るための、重要な場所ですね。
(写真ではお伝えできませんが、入り口を狭くすることで、敵が一度に押し寄せるのを防いでいたそうです。)
今では富士山を眺めることができるスポットとしてもおすすめの場所!
残念ながら取材の時は富士山が見えませんでしたが、土塁の上から眺める富士山も格別です
そして、このスペースには名前があります。
漢字で、虎口と書きますが
正解は・・・
‛こぐち’と読みます
虎口とは、曲輪と曲輪を結ぶ出入口のことを指し、全国ほとんどのお城で虎口と呼ばれているそう。
そして、この虎口を真上から見ると、一升枡の形に似ていることから、枡形虎口(ますがたこぐち)と呼ばれています。
ちなみに、こちらは館跡の南側にあるので、南枡形虎口、北側にある虎口が、北枡形虎口と呼ばれています!
(北枡形虎口についてはこの後、ご紹介します!)
虎口をさらに北に進むと、当時はもう1つ門がありました。
場所がこちら
当時はここに大きな櫓の門があり、二重の門構えだったそうです!
厳重に守られていた様子が伺えます。
(赤枠の石は門の土台部分だったもの。なんと当時のまま残されています)
武田氏館は、入り口から門まで一直線で構成されていたそうですが、後に技術の進化で甲府城は入り口から門まで、90度に曲がるよう工夫されたそうです!
それにより、敵の侵入をしづらくさせていたんですね。
現在、90度に曲がる工夫がされている場所を見ることができる場所があります。
歴史公園内にある、山手御門です。
この門をくぐると・・・
90度に曲がるようになっています!
甲府駅から徒歩3分と、アクセスの良い場所にありますので、お近くにお越しの際は門の構造を意識しながらご覧ください
(歴史公園の詳細につきましては、こちらをご覧ください。)
武田氏館跡へ戻ります。
南枡形虎口から、北枡形虎口へと進みます。場所は②のあたりです。
ここの石垣も、当時のまま残されています!
こちらにも当時は門があり、外側の門は4本、内側の門は6本の柱で建っていたそうです。
(構造的に内側の方が厳重な門だったそうです)
そして南枡形虎口と同じく、北枡形虎口の周囲にも土塁があります。
なんと土塁の高さは、当時と同じくらいの高さのまま
土塁の壁にも工夫が施されており、今は草木が生い茂っていますが、当時の斜面はつるつるしていて、粘土質の土を塗っていたので、鎧を着た敵には登りづらい土塁だったそうです!
北枡形虎口の入り口にも、敵を侵入を妨げる工夫が
あえて橋の入り口を細くし、敵が1度に押し寄せないようにしていました。
さらに橋の中間に板が取り付けてあり、敵が侵入してくるタイミングで外し、侵入しにくくしていたのです。また、板の取り外しにより、侵入してきた敵を逃さないようにしていたそうです。
北枡形虎口から義信公の新居があった場所へ移動します。場所は③のあたりです。
ブルーシートの辺りに、義信公の新居がありました
前回のブログでもご紹介しましたが、父・信玄公はそれぞれの区画が分かれており、公務と住む場所は別々になっていました。
しかし、義信公の新居は公務と住む場所が一体となっていたそうです。
現在の西曲輪周辺は、春は新緑、秋は紅葉が楽しめる場所となっています
緑に囲まれているので、夏でも風が吹くと気持ち良く、散策にもおすすめ。
紅葉の季節になったら、真っ赤に染まる西曲輪の様子をお伝えします
以上が、西曲輪のご紹介でした。
突然ですが、ここで藤村記念館のお話を少し…。
現在、甲府駅北口にある藤村記念館
今では甲府駅北口のシンボルとなっていますが平成22年8月の移設までは、今ご紹介した西曲輪にあったのをご存知ですか?
郷土の民俗・歴史・教育・考古資料を展示しているので、お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
(藤村記念館の情報についてはこちらをご覧ください。)
次回は「謎の多い北の曲輪群編」です!
現在発掘調査中でもあるエリアなので、併せてご紹介します。
お楽しみに