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尹大統領による戒厳令布告は韓国憲法で定められた大統領職務規定

2025-01-20 | 小日向白朗学会 情報
 2024年12月3日、韓国の尹錫悦大統領は、緊急談話を出して「非常戒厳を宣布する」と述べた。そして、韓国の高官犯罪捜査庁は2025年1月19日、「非常戒厳」宣言を巡る内乱首謀容疑で尹錫悦大統領を逮捕した。現職大統領が逮捕されるという事態に、大統領の代理弁護士が声明を発表したことを「KOREA WAVE/AFPBB News」が「尹大統領の弁護士、拘束令状発付に猛反発「納得できない反憲法・反法治の極み」とする記事により伝えている。
 『【01月19日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領の代理人であるソク・ドンヒョン弁護士は19日、ソウル西部地裁が拘束令状を発付したことについて「納得しがたい反憲法的かつ反法治的な行為の極みだ」と批判した。 ソク・ドンヒョン弁護士は同日、SNSに「ユン大統領に対する拘束令状発付を受けて」と題して投稿し、「昨日(18日)、ソウル西部地裁の拘束令状審査で十分かつ説得力をもってその不当性を訴えたにもかかわらず、現職大統領に対して拘束令状を発付した」と述べた。 ソク・ドンヒョン弁護士は「大統領が憲法に基づいて緊急権を行使し、国民に国家的危機の実態を知らせ、訴えかけた戒厳令の布告が、捜査機関や裁判所の司法的評価の対象になり得ないのは、憲法理論の基本であり通説だ」と指摘。また、「現職の国家元首の行為を内乱犯罪とするのは筋が通らない」と主張した。 さらに「内乱罪の該当性を司法が判断するとしても、その前に憲法裁判所での弾劾審判が必要な現職大統領を、証拠隠滅や逃亡の恐れを理由に拘束するのは、どのような論理でも説明が難しい」と批判した。 ソク・ドンヒョン弁護士は、現状に対する懸念も表明し、「最近、野党と公捜処(高位公職者犯罪捜査処)が手を組み、内乱や弾劾を扇動していることに反対する多くの国民や海外同胞、特に左派勢力の策略を知るに至った20〜30代の若者たちが、過剰な怒りを示すのではないか心配だ」と述べた。さらに「その怒りは理解できるが、暴力的な様相に発展すれば、左派勢力の攻撃や逆工作に巻き込まれる可能性がある」と警告した。 また「それはユン大統領が望むことではなく、内乱罪のフレーム克服や弾劾審判への対応に負担となる可能性がある。冷静さを保ち、より緻密な知恵と意志を結集して危機を乗り越えるべきだ」と強調した。……』
 代理弁護人は、大統領が戒厳令を宣布したのは、憲法の規定に基づく「緊急権を行使し、国民に国家的危機の実態を知らせ、訴えかけた」ものであると主張している。では、代理弁護士が指摘する「戒厳令は合憲である」という根拠について確認してみよう。
 『悠久なる歴史と伝統に輝く我ら大韓国民は、三一運動で建立された大韓民国臨時政府の法的正統性と不義に抗拒した四一九民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚し、正義・人道と同胞愛をもって民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和を基に自由民主的基本秩序をより確固たるものとし、政治・経済・社会・文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮させ、自由と権利に伴う責任と義務を完遂させ、内では国民生活の均等な向上を期し、外では恒久的な世界平和と人類共栄に資することで、我らと我らの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを誓いつつ、千九百四十八年七月十二日に制定され、八次にわたり改正された憲法を、今ここに国会の議決を経て、国民投票により改正する』
 つまり現行憲法は、祖国を平和統一することが根本的な使命だとしている。その平和統一すべき祖国の範囲については、第三条と第四条に規定がある。
『……
第三条
大韓民国の領土は、韓半島及びその付属島嶼とする。
第四条
大韓民国は、統一を指向し、自由民主的基本秩序に立脚した平和的統一政策を樹立し、これを推進する。
…』
したがって、憲法で規定する祖国とは北朝鮮を含む「韓半島及びその付属島嶼」なのである。次いで問題となっている大統領に付与されている権限はといえば第66条、第69条、第77条にある。
『……
第66条
  1. 大統領は、国家の元首であり、外国に対して国家を代表する。
  2. 大統領は、国家の独立・領土の保全・国家の継続性及び憲法を守護する責務を負う
  3. 大統領は、祖国の平和的統一のための誠実なる義務を負う。
  4. 行政権は、大統領を首班とする政府に属する。
……
第69条
大統領は、就任に臨み、次の宣誓をする。
私は、憲法を遵守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一と国民の自由と福利の増進及び民族文化の暢達に努力し、大統領としての職責を誠実に遂行することを国民の前に厳粛に宣誓します。」
……。
第77条
  1. 大統領は、戦時・事変又はこれに準じる国家非常事態において、兵力をもって軍事上の必要に応じ、又は公共の安寧秩序を維持する必要のあるときは、法律の定めるところにより、戒厳を宣布することができる
  2. 戒厳は、非常戒厳及び警備戒厳とする。
  3. 非常戒厳が宣布されたときは、法律の定めるところにより、令状制度、言論・出版・集会・結社の自由、政府又は法院の権限について、特別の措置をすることができる。
  4. 戒厳を宣布したときは、大統領は、遅滞なく国会に通告しなければならない。
  5. 国会が在籍議員の過半数の賛成により、戒厳の解除を要求したときは、大統領は、これを解除しなければならない。
……』
 したがって、大統領の職務の一つとして「祖国の平和的統一のための誠実なる義務を負う」と定められており、そのために「私は、憲法を遵守し、国家を保衛し、祖国の平和的統一と国民の自由と福利の増進及び民族文化の暢達に努力し、大統領としての職責を誠実に遂行することを国民の前に厳粛に宣誓します。」という宣誓を行うことが義務付けられている。このような背景から、大統領には国家非常事態が発生した場合に戒厳令を布告する権限が認められている。
では、現在の韓国における「国家的な非常事態」とは何を指すのか。それは、「祖国が統一できなくなる状況」を意味する。
折しも2025年1月20日には、韓国の軍事同盟国であるアメリカにおいて、トランプ大統領が再び就任する日となる。このトランプ大統領の就任と、韓国の存在を揺るがす国家的な非常事態との関連は何かといえば、それは2018年6月12日にシンガポールで行われたアメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長・国務委員会委員長による史上初の米朝首脳会談後に発表された共同声明に端を発している。
『……
アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプと朝鮮民主主義人民共和国の金正恩国務委員長は、史上初の首脳会談を2018年6月12日、シンガポールで開催した。
トランプ大統領と金正恩委員長は新たな米朝関係や朝鮮半島での恒久的で安定的な平和体制を構築するため、包括的かつ誠実な意見交換を行った。トランプ大統領は朝鮮民主主義人民共和国に安全の保証を与えると約束し、金正恩委員長は朝鮮半島の完全な非核化に向けた断固とした揺るぎない決意を確認した。
……』
 2025年1月20日以降、アメリカと北朝鮮は米朝会談を再開し、アメリカは北朝鮮の安全保障を提供するとともに、非核化に向けた動きを進めるとされている。これは韓国にとって、軍事同盟国であるアメリカが憲法の理念の一つである祖国統一を阻害する「敵国」北朝鮮を事実上承認し、朝鮮戦争を終結させる動きにほかならない。朝鮮戦争の終結は、韓国憲法に定められた「祖国統一」の実現が永遠に不可能になることを意味する。このような状況下で、祖国統一を職務として課せられている大統領は、最善を尽くすことが求められている。それが2024年12月3日に尹大統領が戒厳令を布告した理由である。
尹大統領の代理弁護士が訴えたいのは、この点にほかならない。さらに、大統領権限の一つとして「行政権は、大統領を首班とする政府に属する」と憲法で明記されている点を踏まえると、尹大統領の逮捕とは、行政の長を行政の一機関である「高官犯罪捜査庁」が逮捕するという、まるで行政機関によるクーデターに等しい行為だと言える。
この事態を韓国野党が解決できるかという点についても、韓国憲法に「祖国統一」が掲げられている以上、結局は「同じ穴の狢」に過ぎないと言わざるを得ない。
 朝鮮戦争の終結という現実が韓国で混乱を引き起こしているが、同様の事態は間もなく日本にも及ぶ可能性がある。なぜなら、朝鮮戦争の継続と日本の安全保障政策は、「国連軍地位協定」と「日米地位協定」をリンクさせる形で自民党政権の基盤となっていたが、朝鮮戦争の終結によりその法的根拠が崩れるからである。
 特に、朝鮮戦争と深く関係する「国連軍地位協定」では、朝鮮戦争の終結後、アメリカ軍を中核とする朝鮮派遣国連軍が90日以内に日本から完全撤退することが定められている。したがって、日本の安全保障の柱であった「日米安保」、すなわちアメリカの核の傘と駐留アメリカ軍も、朝鮮戦争の終結によって日本国内から完全に撤退することになる。(寄稿:近藤雄三)


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2025年は韓国与党にとって朝鮮戦争終結、日韓大陸棚協定終了通告という厄年となる

2025-01-19 | 小日向白朗学会 情報
 日韓大陸棚協定は、1974年(昭和49年)1月30日に署名され、1978年6月22日に発効した。この協定は、「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の北部の境界画定に関する協定」(略称:北部協定)および「日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定」(略称:南部協定)で構成されている。
 中でも南部工区、特に第7鉱区に関しては、締結当初から多くの問題があることが指摘されてきた。同協定締結当時は、中間線原則が適用されていなかったが、現在の国際法に基づけば第7鉱区の大部分が日本側に帰属する可能性がある。さらに、同協定第29条には次のように記されている。
 「この協定は、署名の日から50年間有効であり、いずれかの締約国が終了の3年前に相手国に書面で通知した場合、50年の満了をもって終了する。」
 そのため、2025年6月22日以降に日本または韓国が協定終了を通知した場合、協定は2028年6月22日に終了することとなる。当然、韓国国内では、領土問題として、また資源問題として激しい反日運動が繰り広げられる可能性がある。
 当時、日韓大陸棚協定を締結したのは、冷戦構造を維持する旗印として「反共」を掲げていた自由民主党である。その中でも中心的な役割を果たしたのは、岸信介、安倍晋太郎、中曽根康弘、安倍晋三、麻生太郎といった韓国に大きな利権を有する議員たちであった。彼らが韓国から利権を回収するために関与したとされるのが、ソウル地下鉄事件や日韓海底トンネル計画である。これらの事件は、自由民主党が結党以来行ってきた利権政治の延長線上にあると指摘されている。
 しかし、現在の自由民主党には、国民世論を抑えつつ日韓大陸棚協定を更新するだけの党勢はない。それだけでなく、トランプ大統領の就任によって米朝会談が再開し、朝鮮戦争が終結する可能性が高まると、韓国と日本の安全保障の基盤が崩壊する危険性がある。その結果、反共で連携する必要性が失われ、反共政策の象徴として日本が韓国に与えた「共同開発工区」という枠組みも無意味なものとなる。
 したがって、2025年の韓国は、安全保障の基盤が崩れ、領土およびエネルギー問題の基盤も失われる可能性がある。このため、尹大統領は戒厳令を敷いて国民が受けるショックを和らげようとしたとも考えられるが、その真意は未だ明らかではない。(寄稿:近藤雄三)
【参考】
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安重根関連資料から写真を紹介~韓国アーカイブにキャプション付き写真発見~

2025-01-13 | 小日向白朗学会 情報
 2024年9月21日大野芳資料から安重根関連の写真を紹介したが、その詳細が判明した。大野資料の写真では4名(安重根他3名)の被告を取をり調べているような内容の写真(最初の写真)であった。

最初の写真にはキャプションがない。下の写真には旅順法廷で安重根他3名の計4名の取り調べをしている、といった内容と思われるキャプションがついている。これは韓国のアーカイブから見出されたものである。この中で注目される(?)のは、傍聴席一番全面、向かって右側に蝶ネクタイにひげというきちんとした紳士がいるが、これは明石元二郎(当時45歳)と思われることである。いかがであろうか。その部分を参考までにアップしてみた。明石元二郎の写真をお持ちの方がいらっしゃったら是非チェックしていただきたいと思う。明石と言えば外国留学実績もあり英国諜報筋との関係も濃厚な我が国の誇る一流の“スパイ”である。のちの台湾総督だ。さて、この人物の視線であるが、他の人々がほぼ前方を見ているのに対して、視線が向かって右前方にずれている。どうもその先には安重根被告の後頭部があるように見えるのだが。安重根の動静を一瞬たりとも見逃さないとでもいうように凝視しているようにも見える。安被告が明石にとってどう特別なのか、一考の余地はあろうかと…。
安重根の取り調べについては「明治42年10月30日哈爾濱日本帝国総領事館において検察官溝渕孝雄書記岸田愛文列席通訳嘱託園木末喜通訳」(安重根と日韓関係史、市川正明著、原書房から211~212頁)列席の下に行われている。この時は、30日に安重根、31日に禹連俊、曹道先、柳江露の4名を取り調べている(安重根と日韓関係史から)。一方、この写真には場所も旅順法廷とあり30日のものではなさそうだ。ちなみに、明治42年12月2日関東都督府地方法院長真鍋十蔵(㊟)あてに検察官溝渕孝雄が公判請求書を提出している。その内容は殺人罪であり、被告4名の名が記されている。安応七事安重根、禹連俊事禹徳淳、曹道先、柳江露事劉東夏となっている。名前の表記方法も統一に至ったものらしい。写真はこのときかその前後のものかもしれない。関東都督府は旅順に1906年設置されている。
ところで、上記の人物が明石であるとすると、なぜ旅順法廷にまで出張っているのか、ということである。そのことについて筆者はほぼ本筋と思われる筋道を了解はしているが、今のところ公開する段階ではない。ただ、伊藤公の命を狙っていたのはいくつかの筋があったと云う事である。一つは安重根と言ってよい。そのほかの二つは、~~~まあ、今はよしておこう。
㊟真鍋十蔵は真鍋斌の養子である。真鍋斌は陸軍大臣とも嘱望 されていた人物だが、馬蹄銀事件で失脚した。要は“泥棒”が発覚したものだが、この流れは実は安重根の死刑執行を示唆するものの一要因でもあるらしい。即ち、馬蹄銀事件ネタを掴んだ幸徳秋水が週刊文春よろしく暴露しようとしていたことを憂えたある力が明治天皇の意志に反して秋水らの死刑(大逆事件)を急いだこととどうも密接な関係が疑われるのである。人のつながりとは不思議なものだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
また、次の写真についても判明したことがある。これは大野資料から掲載したものであり、旅順駅から獄舎への移送の写真と推察されていたけれど、これは間違いであった。キャプション付きの写真が出てきたのである。
つまり、2枚のうち前のものは護衛者も少ないがこれは処刑後安重根の遺体を運んでいるものであり、下の写真は随伴者が多くみられるが、これは獄舎を出て埋葬に向かうものとみられるのである。筆者はハングルには全く疎いが、お分かりの方には是非チェックしていただきたい。
(文責:吉田)
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