令和5年6月22日に『小日向白朗学会 HP準備室BLOG』に「上海コミュニケ 1972.2.28から」とするメッセージが掲載された。日本の安全保障を考えるうえで非常に重要なことであるため同メッセージに筆者の考えを付加させてもらうことにした。
ウクライナは、鬼畜ロシアの排撃を旗印に領土奪還作戦を声高に絶叫してきた。しかし、開戦から一年半が経過しようとしているが、これまで一ミリの領土も奪還したことはなく、今後もその見込みはない。加えてウクライナは、ブレジンスキーという最高指揮官が講和を拒否していることから今後もロシアと戦争を継続するいがいにない。
そのような中で、2023年6月21日からロンドンで日本を含む60か国余りの政府関係者や世界銀行などの国際機関、それに民間企業が参加してウクライナ復興会議が開催され、日本からも林外務大臣が出席している。このウクライナ復興会議は、ロシアの軍事侵攻で甚大な被害を受けたウクライナを復興しようというものである。
しかし、少し考えたならば、すぐに気が付くことであるが、ウクライナ復興会議は実に奇怪なのである。ゼレンスキーは徹底抗戦を主張し、アメリカ、イギリス、NATOはこれに同調している。加えてウクライナは開戦以来、劣勢であり、勝利の確率はほぼないばかりか、無条件降伏は時間の問題である。ならば、ウクライナはこれからもさらに灰燼に帰す地域が増えてゆくことになる。どこまでは破壊が進むかわからないうちウクライナを復興するなどという会議は、くだらない冗談意外な何物でもない。ウクライナは復興の前に、停戦もしくは休戦しなければ何も始まらないのだ。さすがゼレンスキーという喜劇役者の詐欺話だとしか考えられない。自分自身が雪隠詰であることを忘れたのかといわれるのが関の山であろう。
それもこれもウクライナが反転攻勢という「一撃講和論」を採用したことから、アメリカとNATO加盟国から「なけなし」の兵器を集めて漸く編成した兵力を、稚拙にも逐次投入したことで根こそぎ壊滅してしまったことで無条件降伏する以外に道はなくなったのだ。
ウクライナが一撃講和論で事態の収取を図ろうとしている時にロシアがとるべき戦法は、ウクライナ軍は補給に難のあることが明らかなためウクライナ軍が侵攻を試みた場合には、その前面の空間を広げてやれば、おのずとウクライナ軍はしゃにむに飛び込んでくる。そこを挟撃するだけでよいのだ。最近、ウクライナ軍が兵員輸送車などを進撃途中で放棄する事例が報告されているのは、恐らくこのことである。それをウクライナ軍は一部地域を奪還しつつある等と宣伝するのは、デマ情報でありプロパガンダンなのだ。現在のウクライナの状況は、敗戦間際の日本が一撃講和論から導き出した神風攻撃を行った時とまったく同じ状況なのである。
その結果、ウクライナの主要都市の防備は手薄となり、逆にロシアが攻勢をかけた場合、ウクライナにとって致命傷となる都市がロシア軍の手に落ちることを覚悟する必要が生まれている。これだけウクライナゼレンスキー政権が崩壊する危険が高まる中でウクライナの復興など単なる戯言である。イギリスもアメリカもNATOもウクライナが攻勢にでてロシアに一撃を加えたのち世論操作で嫌々ながらも休戦に応じたという結末を思い描いていたのであろう。そして、G7とEUを総動員してウクライナ復興という一大公共投資をおこなって傾いたG7とEU経済を活性化させる目論見でいたのであろう。しかし、その試みは、もろくも崩れ去った。それにも関わらずイギリス、アメリカがウクライナ復興会議開催を強行するのは、ほかに選択の余地がなくなったことを意味している。そればかりか、このままウクライナが無条件降伏してしまうと、アメリカ大統領選挙バイデンが行ってきたウクライナ支援政策が間違いであったことをアメリカ国民が気づくこととなり、厳しい反発を招くことになる。それは必然的に来年行われるアメリカ大統領選挙でバイデンの再選は不可能となる。その結果、NATO解体と朝鮮半島終戦を行おうとしていたトランプの地滑り的な勝利となる。アメリカ、イギリス、NATOにとって悪夢のトランプ復活を阻止するためには、ウクライナ復興という経済成長政策を実現させなければならないという焦りなのだ。
ところで追い詰められたゼレンスキー政権を取り囲む末期的な状況から、今後の日本政府の動向もある程度は推測することができる。
令和5年6月21日閉会の第211回通常国会は、閉会時期が迫るとともに解散総選挙が取りざたされ、それに合わせて東京株式市場も異例の上昇を見せていた。にもかかわらず岸田は解散総選挙を見送った。これは岸田総理大臣がウクライナの状況が危機的な状態になることをアメリカから知らされていたからに他ならない。もしも六月末に解散総選挙を行った場合、日本政府は8月中頃までは国際状況の変化に対応することができないことになる。その挙句、もしもゼレンスキーが白旗を挙げた場合には、ロシアがウクライナに侵攻したことを根拠に作成した防衛三文書を指針に防衛費拡大政策を強行してきた。これが日本政府による全くのでたらめであったことが白日の下にさらされることとなる。特に問題の箇所は、防衛三文書で、日本の仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮としたことで、台湾有事に仮想敵国中国が尖閣列島に侵攻することが予想されるとして島嶼防衛及び奪還作戦能力を獲得しアメリカと対処するという基本方針を決めてしまったことである。
ところが、である。ブリンケン国務長官は訪中して中国首脳と会談する中で「One China Policy」つまり上海コミュニケを遵守して、「We don't support Taiwan's independence.」つまり台湾独立を支持しないと言ってしまった。これは政府が定めた防衛三文書の前提となっているアメリカが島嶼防衛に加わるということがあり得ないことを示している。
アメリカは「中国は一つである」ことから台湾の独立を支持しないし、台湾解放の一環として尖閣諸島に中国が侵攻しても、アメリカとして阻止することはないと言ってしまったのだ。つまり、防衛三文書の前提条件となっている事項は、莫大な防衛予算を獲得するための作り話だったのである。
そもそも防衛三文書は幼稚な思い込みが多くとても日本の安全保障の基本となるような代物ではない。その極めつけは「ロシアがウクライナに侵攻したことから、次は、中国も同様に尖閣諸島に進行してくる」という、相関関係と因果関係の区別もなく単なる連想ゲームのような稚拙な発想で増税を含む莫大な防衛予算を獲得するためだけの作文なのである。
それも恐らくはNATOと英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)に作文を手伝ってもらったものであろう。だからNATOは自身の生き残りのため日本に支店を作ることに同意しているのだ。
ブリンケンの真意が日本国民に正確に知らされ論議となったならば、解散総選挙は、いくら労働組合を引き込み、野党の国民民主党と日本維新の会を自民党の第二列と万全の体制で臨んだとしても、惨敗となることは必定であろう。だから解散総選挙はできなかったのである。ゼレンスキーのような詐欺師に騙されて日本の国防方針を作成した日本政府の国際政治感覚は愚かであるよりも危険である。
自民党の唯一の救いは、立憲民主党の党首が対局軸を作ることもできないほどに凡庸であることである。
以上(寄稿:近藤雄三)
ウクライナは、鬼畜ロシアの排撃を旗印に領土奪還作戦を声高に絶叫してきた。しかし、開戦から一年半が経過しようとしているが、これまで一ミリの領土も奪還したことはなく、今後もその見込みはない。加えてウクライナは、ブレジンスキーという最高指揮官が講和を拒否していることから今後もロシアと戦争を継続するいがいにない。
そのような中で、2023年6月21日からロンドンで日本を含む60か国余りの政府関係者や世界銀行などの国際機関、それに民間企業が参加してウクライナ復興会議が開催され、日本からも林外務大臣が出席している。このウクライナ復興会議は、ロシアの軍事侵攻で甚大な被害を受けたウクライナを復興しようというものである。
しかし、少し考えたならば、すぐに気が付くことであるが、ウクライナ復興会議は実に奇怪なのである。ゼレンスキーは徹底抗戦を主張し、アメリカ、イギリス、NATOはこれに同調している。加えてウクライナは開戦以来、劣勢であり、勝利の確率はほぼないばかりか、無条件降伏は時間の問題である。ならば、ウクライナはこれからもさらに灰燼に帰す地域が増えてゆくことになる。どこまでは破壊が進むかわからないうちウクライナを復興するなどという会議は、くだらない冗談意外な何物でもない。ウクライナは復興の前に、停戦もしくは休戦しなければ何も始まらないのだ。さすがゼレンスキーという喜劇役者の詐欺話だとしか考えられない。自分自身が雪隠詰であることを忘れたのかといわれるのが関の山であろう。
それもこれもウクライナが反転攻勢という「一撃講和論」を採用したことから、アメリカとNATO加盟国から「なけなし」の兵器を集めて漸く編成した兵力を、稚拙にも逐次投入したことで根こそぎ壊滅してしまったことで無条件降伏する以外に道はなくなったのだ。
ウクライナが一撃講和論で事態の収取を図ろうとしている時にロシアがとるべき戦法は、ウクライナ軍は補給に難のあることが明らかなためウクライナ軍が侵攻を試みた場合には、その前面の空間を広げてやれば、おのずとウクライナ軍はしゃにむに飛び込んでくる。そこを挟撃するだけでよいのだ。最近、ウクライナ軍が兵員輸送車などを進撃途中で放棄する事例が報告されているのは、恐らくこのことである。それをウクライナ軍は一部地域を奪還しつつある等と宣伝するのは、デマ情報でありプロパガンダンなのだ。現在のウクライナの状況は、敗戦間際の日本が一撃講和論から導き出した神風攻撃を行った時とまったく同じ状況なのである。
その結果、ウクライナの主要都市の防備は手薄となり、逆にロシアが攻勢をかけた場合、ウクライナにとって致命傷となる都市がロシア軍の手に落ちることを覚悟する必要が生まれている。これだけウクライナゼレンスキー政権が崩壊する危険が高まる中でウクライナの復興など単なる戯言である。イギリスもアメリカもNATOもウクライナが攻勢にでてロシアに一撃を加えたのち世論操作で嫌々ながらも休戦に応じたという結末を思い描いていたのであろう。そして、G7とEUを総動員してウクライナ復興という一大公共投資をおこなって傾いたG7とEU経済を活性化させる目論見でいたのであろう。しかし、その試みは、もろくも崩れ去った。それにも関わらずイギリス、アメリカがウクライナ復興会議開催を強行するのは、ほかに選択の余地がなくなったことを意味している。そればかりか、このままウクライナが無条件降伏してしまうと、アメリカ大統領選挙バイデンが行ってきたウクライナ支援政策が間違いであったことをアメリカ国民が気づくこととなり、厳しい反発を招くことになる。それは必然的に来年行われるアメリカ大統領選挙でバイデンの再選は不可能となる。その結果、NATO解体と朝鮮半島終戦を行おうとしていたトランプの地滑り的な勝利となる。アメリカ、イギリス、NATOにとって悪夢のトランプ復活を阻止するためには、ウクライナ復興という経済成長政策を実現させなければならないという焦りなのだ。
ところで追い詰められたゼレンスキー政権を取り囲む末期的な状況から、今後の日本政府の動向もある程度は推測することができる。
令和5年6月21日閉会の第211回通常国会は、閉会時期が迫るとともに解散総選挙が取りざたされ、それに合わせて東京株式市場も異例の上昇を見せていた。にもかかわらず岸田は解散総選挙を見送った。これは岸田総理大臣がウクライナの状況が危機的な状態になることをアメリカから知らされていたからに他ならない。もしも六月末に解散総選挙を行った場合、日本政府は8月中頃までは国際状況の変化に対応することができないことになる。その挙句、もしもゼレンスキーが白旗を挙げた場合には、ロシアがウクライナに侵攻したことを根拠に作成した防衛三文書を指針に防衛費拡大政策を強行してきた。これが日本政府による全くのでたらめであったことが白日の下にさらされることとなる。特に問題の箇所は、防衛三文書で、日本の仮想敵国をロシア、中国、北朝鮮としたことで、台湾有事に仮想敵国中国が尖閣列島に侵攻することが予想されるとして島嶼防衛及び奪還作戦能力を獲得しアメリカと対処するという基本方針を決めてしまったことである。
ところが、である。ブリンケン国務長官は訪中して中国首脳と会談する中で「One China Policy」つまり上海コミュニケを遵守して、「We don't support Taiwan's independence.」つまり台湾独立を支持しないと言ってしまった。これは政府が定めた防衛三文書の前提となっているアメリカが島嶼防衛に加わるということがあり得ないことを示している。
アメリカは「中国は一つである」ことから台湾の独立を支持しないし、台湾解放の一環として尖閣諸島に中国が侵攻しても、アメリカとして阻止することはないと言ってしまったのだ。つまり、防衛三文書の前提条件となっている事項は、莫大な防衛予算を獲得するための作り話だったのである。
そもそも防衛三文書は幼稚な思い込みが多くとても日本の安全保障の基本となるような代物ではない。その極めつけは「ロシアがウクライナに侵攻したことから、次は、中国も同様に尖閣諸島に進行してくる」という、相関関係と因果関係の区別もなく単なる連想ゲームのような稚拙な発想で増税を含む莫大な防衛予算を獲得するためだけの作文なのである。
それも恐らくはNATOと英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)に作文を手伝ってもらったものであろう。だからNATOは自身の生き残りのため日本に支店を作ることに同意しているのだ。
ブリンケンの真意が日本国民に正確に知らされ論議となったならば、解散総選挙は、いくら労働組合を引き込み、野党の国民民主党と日本維新の会を自民党の第二列と万全の体制で臨んだとしても、惨敗となることは必定であろう。だから解散総選挙はできなかったのである。ゼレンスキーのような詐欺師に騙されて日本の国防方針を作成した日本政府の国際政治感覚は愚かであるよりも危険である。
自民党の唯一の救いは、立憲民主党の党首が対局軸を作ることもできないほどに凡庸であることである。
以上(寄稿:近藤雄三)