橋下徹氏の見解では、安倍政権は国民の信頼を失ったために
政権維持できないポイント・オブ・ノーリターン
(引き返せない地点)にあるという。
安倍政権は、「自分たちには何の問題もない、一点の曇りもない」と、
論理的正当性を主張するが、
その官僚的思考が支持率低下の原因という。
安倍政権の本質的な問題点は何なのだろうか。
安倍晋三氏の「一点の曇りもない」主張は、
論理的正しいのだろうか。
総理が作った特区に、友人を優先的に許可
公文書、日報の隠ぺい
公文書の改ざん
口裏合わせ、虚偽の発言の強要
セクハラを容認
今、安倍首相は、これらの疑惑の真相解明に全力を尽くすという。
加計学園に関しては、
「首相案件」の指示が、内閣府ではなく官邸からでていたこと、
森友学園に関しては、
昭恵夫人が主人からと100万円を籠池氏に渡していたこと、
が、関与していたかの確認が必要で、
事実関係が明らかになって初めて、
論理的に正しいかどうか言えるだろう。
また、安倍首相は福田氏に関する報道を読んで、
「ほんとにくだらない会話して、許せないね。もう麻生さんに任せるよ」
と語っていたという(『週刊文春』4月26日)
麻生副総理は、「そんな発言されて嫌なら、その場から去って帰ればいいだろ。
財務省担当はみんな男にすればいい。触ってないならいいじゃないか」
と語ったという。
麻生氏の対応に批判が集まる。
『 。。。「麻生太郎副総理兼財務相の責任は二重に問われている」
資質に問題のある福田氏を財務次官に任命した責任、そして、
セクハラ問題に対して被害女性記者当人に調査協力を求めるという驚きの対応を取ったことに対する責任だ。。。
被害者の人権や尊厳を踏みにじる対応をとった責任はとても重い」。
麻生氏は、セクハラ被害を告発した女性記者に「名乗り出よ」と呼びかけ、
「福田にも人権がある」と擁護した。事実確認が重要であることは言うまでもないが、
麻生氏の認識にはトップ官僚とイチ報道記者の間には圧倒的な力関係の差があり、
決して対等ではないということが欠如しているようだ。
これはセクハラ告発の反応としてしばしば見られることだが、「男女の仲のことじゃないか。大事にするんじゃないよ」と、。。。男と女が対等な関係であれば、そもそも問題は表面化していないのだ。今回のケースでいえば、報道記者は官僚から“ネタ”を引き出すのが仕事であり、官僚の機嫌次第で一人の記者だけでなく所属先の報道機関にまで“迷惑”がかかる懸念があるため、力関係は官僚のほうが明らかに上だ。その歪なパワーバランスがあるゆえに、加害者は被害者の人権を踏みにじることが出来、かつそのことに鈍感でいられるのである。』
自民党は、モリ・カケ問題で、野党の証人喚問を拒否し、
与党のみで国会審議を強行しようとする安倍政権に
国民の不信感はつのるばかりだ。
安倍首相の言うように「膿を出し切って」ほしい。
森友、加計疑惑に深く関わってきた昭恵夫人は
ちまたでは皆様の前で発言したいと言っておられるとのこと、
これ以上、国会を空転させないために、
昭恵夫人の証人喚問が、
今、一番、求められている。
連休にかけて、全国で集会が行われるようだ。
しかし、7月から国会や官邸前の抗議デモは
迷惑行為防止条例禁止となる。
ーーーーーーーーー 参照記事 ーーーーーーーーー
http://blogos.com/article/292083/
底なし沼に陥った安倍政権
安倍総理は日米首脳会談で人気の回復を図ろうとしましたが、セクハラによる財務次官の辞任と重なり、失敗に終わりました。一連の不祥事は、一強を誇った安倍総理が官僚に忖度政治を強要したことが原因です。底なし沼に陥った安倍政権が沼から抜け出すには、自らの責任を認め、辞任するしかありません。
安倍政権の5年間で、積み残された政治課題は山積しています。この5年間、安倍政権は原子力ムラの手先となって原発復活政策をとり続けたために、全てのエネルギー源を再生可能エネルギーに転換する世界の趨勢から大きく取り残され、この分野での競争力が減退し、経済成長のチャンスを失ってきました。そして、非正規雇用を拡大するアベノミクス政策のため、格差の拡大が止まらず、日本社会が不安定化してきました。さらには、安倍政権は過疎化の進む農村地域の活性化には言葉だけで全く成果を上げていません。再生エネルギーを梃子に、農村地域を農林業とエネルギー供給地域として再生させ、若い人が経済的にも環境的にも子育てをしやすい地域社会に生まれ変わらせることです。。。。
と話すのは、名古屋学院大学の飯島滋明教授(憲法学)。私たち主権者から国民の代表として選ばれた国会議員の責務だという。
誰が、何のために公文書の改ざんを行ったのか、徹底的に解明するのが国会議員の役割。私たちの財産である国有地が約8億円も安く払い下げられているわけですし、徹底究明しようとしない国会議員に国民の代表を名乗る資格はありません」(飯島教授)
衆参両院で実施された3月27日の佐川氏の証人喚問は、すっきりするどころかフラストレーションのたまる内容だった。森友学園の決裁文書改ざんへの関与については「刑事訴追されるおそれがあるので、答弁を差し控えたい」と頑なに口をつぐんでおきながら、安倍首相や昭恵夫人、麻生財務相らの指示はなかったと言い切ったからだ。
・・・
「自民党内でも昭恵夫人に厳しい声は出ている。党三役の竹下亘総務会長は直近の講演で“安倍昭恵さんという存在が政権に迷惑をかけたことは事実”などと述べており、先行きは不透明ともいえる。しかし、それでも政権は、昭恵夫人の証人喚問は拒否し続けて死守するだろう」
と指摘する。
昭恵夫人は日本のファーストレディーとして、海外の要人夫妻らと高級ディナーを囲むなど“おいしい役回り”は積極的にこなしてきたといえる。気乗りしない話になった途端、隠れようとするのはひどくないか。
「昭恵夫人が国会に出てくれば国民にはわかりやすい」
「ウソをつけば偽証罪に問われる証人喚問で、何を話し、どういう態度をとるか。本当に隠し事は一切なく無関係ならば国民にもそれはわかるだろうし、信用されると思います。逆に隠し事があればそれも見抜かれるでしょう。国有地の売買交渉時に財務省理財局長だった迫田英典氏や、昭恵夫人付き職員だった谷査恵子氏も証人喚問すべきだと思います」(飯島教授)
このままでは、国民の疑念は永遠に晴れない。まずは、昭恵夫人の出番といえる。
橋下徹"森友・加計問題が収束しないわけ"
森友学園・加計学園問題が一向に収束しない。その最大の理由は、当初安倍政権が説明していたことと異なる事実や証拠類が次から次へと出てくるからだ。
。。。違法・不正ではないその周辺的事実について、安倍政権の当初の説明と異なる事実や証拠類が次から次へと出てきている状態だ。
安倍政権擁護派は、安倍政権には何の問題もないと突っぱねる。森友学園問題は財務省が勝手にやった悪事であるとし、加計学園問題でも安倍晋三首相と加計孝太郎理事長が飲食・ゴルフをしていたことには何の問題性も指摘しない。
。。。安倍政権に直接的な関与・指示や違法不正がなくても、国民の信頼を著しく害する事情が存在したのは確かであり、未だその信頼回復ができていないということだ。
民主政治というのは、論理的な正当性だけではなく、有権者の主観的な満足度を高めることも必要となる。。。有権者は、論理をひとまず横に置き、「嫌いだ」という感情一つでもって、政権にNOを突き付けることができる。。。
安倍政権は、自分たちには何の問題もない、一点の曇りもないと認識しているのであろうが、有権者の信頼を失ってしまえば終わりである。。。信頼失墜が一定の限度を超えると、安倍さんが何を言っても国民が耳を傾けなくなる状況になる。こうなれば、もはや政権は維持できない。これがポイント・オブ・ノーリターン(引き返せない地点)で、今それに近づきつつある。。論理的正当性さえ主張していれば大丈夫だという官僚的思考である。これでは有権者からの信頼こそが基盤である政治力は回復しない。
柳瀬氏の参考人招致見送り 野党6党も追及戦略描けず
『自民、公明両党が加計学園の獣医学部新設に関し、23日の柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致を見送ったのは、野党が欠席する中で強行して、安倍政権のイメージがさらに悪化することを恐れたためだ。首相官邸は一時「与党だけで参考人招致をしてほしい」と打診したが、与党側から「『政権擁護のお手盛り』と批判される」と慎重論が出た。。。
「強引にやるイメージは良くない」。自民党の森山裕国対委員長は記者団に、衆参の予算委員会集中審議と参考人招致を見送った理由を、こう説明した。参考人招致は全会一致で決めるのが慣例だが、野党が20日から審議を拒否し、実施するには与党が数で押し切るしかなくなっていた。
しかし森友学園などを巡り、首相に近い自民党議員の質問が「政権擁護が露骨すぎる」と批判を浴びたこともあり、公明党は、厳しい質問の少ない与党だけの質疑では、世論の反発を招きかねないと懸念。結局、自公両党は「無理をするのはやめよう」と安全策を採った。公明党の井上義久幹事長は20日の記者会見で、「参考人招致は全会一致が基本だ」と語った。
一方、野党は麻生太郎副総理兼財務相の辞任や柳瀬氏の喚問を求め、審議拒否に踏み切った。ただ、もともと集中審議を強く要求していたのは野党で、首相らをただす「見せ場」を失ったことも否めない。
通常の法案審議については、与党は野党抜きでも進める構え。立憲など3党が欠席して20日に開かれた衆院厚生労働委員会は、18日と合わせて10時間、野党の質問時間を空費した。
立憲の福山哲郎幹事長は「異常事態を整えるのは政府・与党の責任」と反発したが、「追及材料は多いのだから、委員会で議論すべきだ」(民進党の桜井充参院議員)と疑問も漏れる。このため野党側では「十分な質疑時間の確保」などを条件に、集中審議に応じる案も浮上している。【木下訓明、原田啓之、立野将弘】』
『
安倍昭恵夫人の証人喚問どうなる?「応じたら政権もたない」政府・自民党は絶対拒否
自民党は財務省の佐川宣寿・元理財局長の国会証人喚問に応じたが、野党が要求しているもう一人、安倍昭恵夫人の喚問はなにがなんでも拒否する構えだ。
「昭恵夫人も出て、全部語ってもらった方がいい」(ジャーナリストのモーリー・ロバートソン)、
「昭恵さんは出さないとかではなく、はっきりさせた方がいいと思うけどなあ」(司会の加藤浩次)という声が強いが、
昭恵夫人を呼ぶと「思いがけない発言が飛び出して、事態が発展してしまう可能性があります」と日本テレビの青山和弘・官邸キャップはこう解説する。
昭恵夫人が証人席に立てば、「夫の安倍首相は奥さんを人身御供にして政権にしがみついている」と言われかねない。そうなったら、政権はもうもたない。
』
財務省の福田淳一事務次官がセクハラ疑惑で辞任した。事実上の更迭である。“最強官庁”と呼ばれた財務省だが、国税庁長官と事務次官が相次いで辞任するという異常事態となった。福田氏の発言を中心に一連の問題を振り返ってみたい。
◆ ◆ ◆
福田淳一 財務事務次官
「すいません、おっぱい触っていい?」
『週刊新潮』4月26日号
福田淳一事務次官のセクハラ疑惑が報じられたのは4月12日発売の『週刊新潮』だった。記事では「胸触っていい?」「手縛っていい?」など、飲食店で一対一だった女性記者に対する福田氏のセクハラ発言が逐一報じられていた。
4月18日、セクハラ発言で辞任を表明し記者会見する福田事務次官
ところが事態は意外な展開を見せる。16日、財務省が福田氏のコメントを発表。「相手が不快に感じるようなセクシュアル・ハラスメントに該当する発言をしたという認識はない」とセクハラ疑惑を完全否定してみせたのだ。
セクハラや労働問題に明るい板倉由実弁護士は「福田さんの認識は関係ありません。女性が不愉快に思う発言をすること自体が問題なのです」と断言(『週刊新潮』4月26日号)。
しかし、福田氏は「週刊誌報道は事実と異なるものであり、私への名誉毀損に当たることから、現在、株式会社新潮社を提訴すべく、準備を進めている」とし、さらに財務省は「福田事務次官との間で週刊誌報道に示されたようなやりとりをした女性記者の方がいらっしゃれば、調査への協力をお願いしたい」とセクハラの被害に遭った女性からの申告を求めた(産経ニュース 4月16日)。
◆
麻生太郎 副総理兼財務相
「相手(被害を受けた女性記者)の声が出てこなければ、どうしようもない」産経ニュース 4月17日
「こちら側も言われている人の立場も考えないと。福田の人権はなしってわけですか」
テレ朝News 4月17日
17日、財務省トップの麻生氏は記者会見で、女性記者が名乗り出ない限り、セクハラの事実は証明できないとの認識を示した。福田氏をかばい、財務省の異例の要求を認めた形だ。
衆院財金委にて麻生副総理兼財務相
財務省の福田淳一事務次官がセクハラ疑惑で辞任した。事実上の更迭である。“最強官庁”と呼ばれた財務省だが、国税庁長官と事務次官が相次いで辞任するという異常事態となった。福田氏の発言を中心に一連の問題を振り返ってみたい。
。。。
矢野康治 財務省・官房長
「弁護士に名乗り出て、名前を伏せておっしゃることがそんなに苦痛なのか」
東京新聞 4月20日
財務省の矢野官房長は18日の衆院財務金融委員会で「女性記者は名乗り出ない可能性が高い」と指摘されて、こう返した。「中身がわからないことには処分に至らないのが世の常ですよ」とも発言している(J-CASTニュース 4月18日)。なお、矢野氏は福田氏の聴取を担当した人物であり、次の次官に就任すると目されている。
ハラスメントや労働問題に詳しい寺町東子弁護士は、「ハラスメントの調査の手法として、財務省のやり方はセオリーを踏まえていない。逸脱している、稚拙なものです」と厳しく指摘。記者が名乗り出なければセクハラはなかったことにするという麻生氏の見解については「強者が弱者に、無理を押し付けている、暴力的な構造があります」とも語った(BuzzFeed NEWS 4月17日)。
安倍晋三 首相
「早く辞めてもらうしかない」
産経ニュース 4月19日
福田氏のセクハラ疑惑に激怒したのが安倍晋三首相だ。菅義偉官房長官とともに15日の段階で福田氏の更迭を決断したが、麻生太郎副総理兼財務相が同意しなかった。安倍首相は福田氏に関する報道を読んで、「ほんとにくだらない会話して、許せないね。もう麻生さんに任せるよ」と語っていたという(『週刊文春』4月26日)。
結局、福田氏は4月18日に辞意を表明した。プチ鹿島氏の記事にもあるとおり、19日の産経新聞は「福田財務次官 更迭」「確実に政権への打撃になっている」と大きく報じた。事実上の更迭であることに間違いない。
麻生太郎 副総理兼財務相
「そんな発言されて嫌なら、その場から去って帰ればいいだろ。財務省担当はみんな男にすればいい。触ってないならいいじゃないか」
『週刊文春』4月26日
これは12日に行われた麻生氏の派閥「志公会」パーティー終了後の発言。これがこの国の大臣の認識ならば、セクハラは金輪際なくならないだろう。19日には野党6党が麻生氏の辞任を要求した。
福田淳一 財務事務次官
「好きだからキスしたい。好きだから情報を……」
『週刊新潮』4月26日号
4月19日発売の『週刊新潮』(4月26日号)が福田氏のセクハラ発言についてさらに詳しく報じている。2016年11月には「お胸触っていい?」「すごく好きだって気持ちとぉ、胸を触りたいって気持ちとぉ、キスをしたいって気持ちが同時に湧き起こってる」などの発言をしていたそうだが、なんといってもこの発言にトドメを刺す。情報を提供する代わりにキスを要求しているのだ。同号には、ある民放記者の「アラサーの女性記者は、ほとんど被害に遭っています」との証言も掲載されている。
なお、福田氏は辞任を表明した折も「あんなひどい会話をした記憶はない」、19日朝に自宅前で記者団の取材に応じたときも「全体としてみると、そういうことではないということだ」とセクハラそのものを否定(朝日新聞デジタル 4月20日)。今後は裁判で争う姿勢を示した。
篠塚浩 テレビ朝日・取締役報道局長
「社員からセクハラ情報があったにもかかわらず、適切な対応ができなかったことに関しては深く反省しております」
朝日新聞デジタル 4月19日
セクハラを受けた女性記者が所属するテレビ朝日の対応も問題視されている。19日未明に開かれたテレビ朝日の記者会見では、女性記者が上司に相談しながらも「報道は難しい」と伝えられ、『週刊新潮』に連絡したことが明らかにされ、篠塚浩取締役報道局長は適切に対応できなかったことに対して反省の弁を述べた(朝日新聞デジタル 4月19日)。
。。。経済評論家・池田信夫氏の次のようなものが挙げられる。「公平にみて、福田氏がスケベオヤジであることは事実だろうが、そんなことは事務次官の業務とは関係ない。こんなくだらない事件で行政を混乱させたテレビ朝日は関係者を処分し、全社員に報道倫理を教育すべきだ」(アゴラ 4月19日)。この人は何を言っているんだろう? セクハラが悪いに決まっているじゃないか。また、フリー記者の堀田喬氏が19日の民進党の記者会見で、質問の形であえて女性記者の実名を公表したことも話題となった。
日本文学研究者のロバート・キャンベル氏は17日の『スッキリ』で、セクハラ疑惑を報じて「#MeToo(私も)」のムーブメントを起こしたニューヨーク・タイムズがピューリッツァー賞を受賞したことを引き合いに出し、「女優たちが一人ひとり実名を名乗って伝えられたのは、自分たちが不利を被らないという自信、社会が彼女たちを支えるという暗黙の了解があった」と指摘。昨年、伊藤詩織氏が当時TBSワシントン支局長だった山口敬之氏に性的暴行を受けたことを告発したが「葬られてしまった」ことを例に挙げて、「なぜ手を挙げなかったか、挙げられなかったのかは、けっこう根深いこと」と語った。
麻生太郎財務相の女性蔑視、福田財務事務次官セクハラ問題で浮き彫りに
4月12日発売の「週刊新潮」(新潮社)の報に端を発する財務省・福田淳一事務次官によるセクハラ問題。刻一刻と状況は変化し続けている。福田氏は16日の時点でセクハラを否定。財務省が報道各社の女性記者に調査の協力を依頼するなど、セクハラ被害者にとっては理解に苦しむ動きを見せたことでおおいに批判を浴び、最終的に麻生太郎財務相に対して福田氏が辞任を申し出た。これが18日のことだ。だが同日、それでも福田氏はやはり「自分の声は自分の体を通じて聞くんで、録音された声が自分のものか、わからない」「あんなひどい会話をした記憶はありません」など釈明し改めてセクハラを否定した。辞任を申し出たのはセクハラを認めたわけではなく「職責を果たすのが困難」だという理由からであった。
4月19日未明、くだんの女性記者が自局の社員であることを深夜の記者会見で発表したのはテレビ朝日。会見に出席した篠塚浩取締役報道局長は「適切な対応ができなかったことは、深く反省している」と謝罪したが、一方で録音データを第三者に渡したことは「不適切な行為だった」と当該社員の対応を問題視する発言も飛び出した。局でこの問題を公にせず、いわば握りつぶした対応にも批判は集まるが、なにより森友学園問題での文書改ざんなどに加えたこのセクハラ問題で、財務省への厳しい批判は日々強まり、麻生氏に対してもその責任を問う声は高まっている。
あらためて、このセクハラ問題での麻生氏の対応を振り返ってみよう。16日、財務省は福田氏がこの問題を否定したと公表し、あわせて調査のために報道各社の女性社員へ財務省に対して協力を求めた。セクハラ被害者が加害者側に名のり出よという構図に世間も強く反発。だが翌日、麻生氏は「名乗り出やすいように第三者の弁護士、女性の弁護士を入れて対応している」「本人が申し出てこなければ、どうしようもない」などと述べ、あくまでも被害者が名乗り出なければ調査しようがないという強硬な姿勢を貫いた。
福田氏が麻生氏に辞意を申し入れたのは18日昼だが、麻生氏はいったんこれを断ったと言われている。ところが、福田氏の元には直接、辞任を求める電話が関係各所からかかってきており、もはや辞任やむなしと、再び覚悟を決めた。しかし一方の麻生氏は、福田氏の辞任発表ギリギリまで、事実確認に固執。18日午後の衆院財務委員会では「週刊誌には言っても、守秘義務を守る弁護士には言えないっていう話はちょっとよく理解できない」と、再び、被害者が名乗り出ないことに対して疑問を呈す。「向こうが誘って言っているのかどうかも、全然わかりませんから」と続け、矢野康治官房長までも「弁護士に名乗り出て、名前を伏せておっしゃることはそんなに苦痛なことなのか」などと、被害者に名乗り出るよう引き続き呼びかけた。
こうした対応には与党内からも「違和感がある。加害者側の関係者に話をしにいくのは普通ではできない」(野田聖子総務相)といった疑問の声があがっていた。二階俊博幹事長も「本人が考えることだ」と辞任を促す発言をし、最終的に麻生氏は福田氏を守りきれず、福田氏は辞任に至った。
明らかな人権軽視である理由
安倍政権にとって麻生太郎氏の存在は大きく、これまでの森友問題でも麻生氏は守られ続けていたが、今回のセクハラ問題における対応で国民はおろか与党内からも白い目で見られることとなった。
「週刊新潮」は19日発売号でも再びこの問題を取り上げ、さらに福田氏のセクハラ発言に踏み込むとともに、同日には編集部が「この期に及んで否定していることに驚きを禁じ得ません」と、辞任してもなお、セクハラを認めようとしない福田氏に対してコメントを発表した。
野党各党は19日付で麻生氏の引責辞任を強く求め、志位和夫共産党委員長は「麻生太郎副総理兼財務相の責任は二重に問われている」とコメント。資質に問題のある福田氏を財務次官に任命した責任、そして、セクハラ問題に対して被害女性記者当人に調査協力を求めるという驚きの対応を取ったことに対する責任だ。志位氏は「最悪、最低のものだ。被害者の人権や尊厳を踏みにじる対応をとった責任はとても重い」と、セクハラ問題における麻生氏の対応のまずさを会見で糾弾した。
麻生氏は、セクハラ被害を告発した女性記者に「名乗り出よ」と呼びかけ、「福田にも人権がある」と擁護した。事実確認が重要であることは言うまでもないが、麻生氏の認識にはトップ官僚とイチ報道記者の間には圧倒的な力関係の差があり、決して対等ではないということが欠如しているようだ。
これはセクハラ告発の反応としてしばしば見られることだが、「男女の仲のことじゃないか。大事にするんじゃないよ」と、両者のパワーバランスの差を度外視し、恋愛関係のいざこざに矮小化する動きがある。しかしその男と女が対等な関係であれば、そもそも問題は表面化していないのだ。今回のケースでいえば、報道記者は官僚から“ネタ”を引き出すのが仕事であり、官僚の機嫌次第で一人の記者だけでなく所属先の報道機関にまで“迷惑”がかかる懸念があるため、力関係は官僚のほうが明らかに上だ。その歪なパワーバランスがあるゆえに、加害者は被害者の人権を踏みにじることが出来、かつそのことに鈍感でいられるのである。
財務省が女性記者に調査協力を依頼したことについては、4月18日に全国の新聞社が加盟する日本新聞労働組合連合が「セクハラが人権侵害だとの認識が欠如していると言わざるを得ない」と抗議声明を発表。続けて、財務省の記者クラブとテレビ局の労働組合による日本民間放送労働組合連合会も同日、抗議声明を発表し、「一連の政府の対応を見ると『女性の人権』を軽んじているようにしか見えない」と批判した。
女性が輝く日本、など声高に叫ぶ安倍政権だが、今回のセクハラ問題により、組織に所属する女性がセクハラ被害に遭った場合の声の上げづらさが浮き彫りになった。また、政府自体が「被害者は名のり出よ」と、セクハラ被害者に対して加害者側に申告を求めるという驚きの対応を見せたことで、欧米でもこの問題は報じられた。
「日本では著名人が関与するセクハラ問題は、ほとんど報じられてこなかった。被害者は責められることを恐れて告白したがらない」(ロイター紙)
「日本では、セクハラや性暴力を公の場で議論することは避けられ、今回のような辞任は珍しい」(ワシントンポスト紙)
さらにロイター紙は、今回の問題に「違和感がある」と声をあげた野田聖子総務相が「2人しかいない女性閣僚の1人」だという点にも注目し、職場や政界での男女格差が大きい日本の現状も報じている。
今回のセクハラ問題に対する麻生氏のまずい対応とともに日本の男女格差が国外にも改めて知られることとなったが、当の麻生氏は19日、主要20か国の財務大臣・中央銀行総裁会議(G20)出席のため米国ワシントンへ飛び立った。帰国後の動向が注目される。
(鼻咲ゆうみ)
麻生財務相がテレ朝記者と応酬 セクハラ問題めぐる質問に苦笑い
麻生氏は米首都ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席し、現地で取材に対応。セクハラ疑惑を巡って福田氏と主張が対立するテレビ朝日の記者から「セクハラ問題について伺います」と切り出されると、質問の途中で「まず(G20の)話をしたほうがいいんじゃねえか」と相手に鋭い目を向けた。指摘を受けた記者が一呼吸置いてから「テレビ朝日は会見をして…」と質問を続ける姿を見て、苦笑いで「無視か」とぼやいた。
テレ朝が財務省に抗議文を提出したことについては「しっかり受け止めないといけない」と神妙な表情。一方で、目を通したかと聞かれると「抗議文は一枚紙で書いていた。もう少し大きな字で書いてもらった方が見やすいなと思った程度に読んだ」と述べ、抗議をちゃかしたとも受け取れる言葉を口にした。
さらに、野党から辞任要求されていることに踏み込まれると、そっぽを向いて「考えてません」と辞任を否定。次官を任命した責任については「(週刊誌で)報道されている内容が事実かどうか定かではない」と強調した。
「これまでの実績、仕事ぶりは遜色ない。この一件をもって本人が全否定されるものはない」と、この日も部下をかばうような発言を続けた麻生氏。福田氏の辞任表明まで対応が後手に回った側面は否めず、その間に世論の反発は強くなった。与党内からも「先週の段階で(福田氏辞任を)判断できたのではないか」など対応を疑問視する声が相次いでおり、麻生氏は自らを苦しい立場に追い込んだとも言える。
「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇
なぜ京都産業大への対応と大差があったのか
加計学園の獣医師学部新設は、果たして公正に行われたものなのか――。この問題で国会が大揺れに揺れている。
それまで愛媛県が「ない」としていた獣医学部新設を巡る政府関係者とのやりとりを記した「愛媛県文書」の存在が、4月9日に明らかになった。翌10日には中村時広愛媛県知事が当時の関係者にヒアリングを行い、「職員が作成したメモ」と確認した。
その内容は、13日に齋藤健農水相が会見で「農水省内で見つかった」と発表した文書の内容とほぼ同じだ。いずれも2015年4月2日に愛媛県地域政策課長と今治市企画課長、そして加計学園事務局長らが藤原豊地方創生推進室次長(当時)と柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面談し、獣医学部設置について積極的なアドバイスを受けていたことが記されている。
希望・玉木氏「安倍政権おかしいという議員、自民にも」
2018年4月21日23時14分