竹を切りに行くための道具を取りに山小屋に行き、車に乗せていた時、山にある小
さな清水が流れる小川からバシャバシャと大きな水音がした。山の事だからカエル
が蛇にでも襲われたのかと、その方向に行って見ると音の主は大きなボッカだった。
山のボッカにしては大型で約10cmはある奴が、鯉の滝登りならぬ清水登りをして更
に上流を目指しているのだ。何の目的があって上の方に行くのか。
以前、もっと上流で7~8cmのものを見たことはあるが、雨で水かさが増すと鉄砲水の
ような勢いで流れるので、そうした時に流されて下の方に行ったに違いない。それに
しても、この魚は不格好なのに綺麗な水を好むようで、泥や濁りある所では見かけな
い。ここに来るまでにも段差が沢山あり、水のない場所を迂回しなければ来られない
はずなのに、現にここにいるのだ。こいつは水の少ない所でも平気のようで、身体が
半分くらいしか浸かっていなくても、じっとしている。
魚は身を隠すためにも少々の濁りがある方が安全だと思うが、この魚は黒に近い茶
系のマダラで清水の石ころと同化することで身を隠している。ボッカとはこちらの方言
での呼び方だ。私は海釣り専門だったからボッカと聞いた時、海のボッカかと思った
ら、山のボッカとは違っていた。因みに海のボッカはカサゴのこと。
枯葉や岩に紛れて暮らす、キンタロー。のように頭が大きい
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