この日も朝から快晴、規模的にも大きくご当地ビールにも命名されているエフェソス遺跡を見物する。ローマ時代の都市遺跡、解
説によると保存状態は抜群にいいとある。遺跡の詳細は別の書に譲るとし、ここでは私が歩いてみた様子を残しておく。広大な遺跡
群には現代社会に通じるものが、既に完備されている。
パムッカレに来るまでの道中は小高い岩山や日本で言えば荒れた畑ばかりのような景色、昔は岩だった所が風化して徐々に砕か
れ、更に風化が進んだ所に畑が出来た。そんな流れではないかと思う。パムッカレからエフェソスに移動する、つまり内陸部から暖
かい西のエーゲ海方面に向かっている。殺伐とした景色に緑の牧草のようなものが一面に見え始めた。時折、ピンク色の花をつけ
た木々も見られ一気に春めいてきた。一昨日の夕方アンカラ近郊に到着した近辺やハットゥーシャス遺跡は雪だったから、その変わ
り目に心もウキウキモード。トルコは火山が多くあるらしく地熱発電に力を入れているとガイドの説明がある。湯気か煙のようなものを上
げている施設が遠くに見えた。トルコで稼働する何基かある内の1基だという。日本は火山列島で地熱を利用するには抜群の環境
にありながら、その大半は国立公園の中にあり、研究開発の足かせ手かせになっている。
また温泉施設で生計を立てている人たちからは、そうした設備により温泉の枯渇を心配するため調査さえできないようだ。
遺跡は一つの町が残されていて、それの目ぼしいところをつまみ食いしながら見学する。それぞれの場所に来ると歴史的な背景、逸
話などを詳しく説明してくれると同時に、日本の時代では・・・・とそれも詳しく説明してくれる。
トルコ遺跡の歴史を説明して貰うのは有り難いが、トルコのガイドに日本の歴史を説明されてもよく分からない自分が恥ずかしい。
遺跡を歩き始めるといきなり、倒れた柱や門、壁などがゴロゴロしており、そのすぐ横や跨いで行くから、歴史的価値のあるものを何と
無造作なこと。最初の大物は円形劇場、最初に見た時は途轍もなく大きいと思っていた。後に出かけたクロアチア、プーラの円形
劇場の説明を聞くとかなり大きな部類になるとあったが、私はトルコの方が圧倒的に大きいと思っていた。トルコ編を書くに当たり写真
を見直したところ、大きな勘違いでクロアチアの方が大きいと判明した。
昔の町がそのまま掘り起こされた、こんな表現がぴったりだ。通りの石畳、両側には柱や壁、中には部屋が残された家並みを通り、
当時の生活様式や社会構造などの説明が続く。その中には、当時から整備されていた水洗の公衆便所、下水道に跨りトイレをする
ようなものだが、上下水道の整備は他の遺跡でも同様だから、日本人より綺麗好きだったようだ。
ガイドブックにも必ず出てくるセルシウス図書館は建物の原型の一部が2階建てで残されている。この前は写真スポットだから人の入
れ替わりが激しい。こうしてみると公共施設の概念がかなり発達していたことが、この遺跡から読み取れる。
非情に残念至極なことは、沢山の説明を受けていながら改めて写真を見ても、その説明を断片的にしか覚えていない事だ。
まあ、こうした遺跡を素人が見て、誰かに受け売りの薀蓄(うんちく)で伝えようなんて烏滸(おこ)がましいことだ。
曇りながらゆっくりと遺跡見物を終え、今宵の宿泊地アイワルクまで250kmのドライブで本日は締めくくる。海岸線に出て時折、海が
見え隠れする。天候は崩れ始め厚い雲は黒くなり、やがて大粒の雨が落ち始めた。後はホテルで寛ぐだけだから雨でも槍でも降って
くれ。ホテルに到着すると雨脚は酷くなり、窓のから見える穏やかなはずのエーゲ海は大変身して、数々の唄でその美しさを讃えられ
ている景色とは程遠い。
地熱発電所
トルコには猫が多くいる
ニケの掘り出し物
水洗式の公衆便所跡
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