日々のメモ帳

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JR新幹線 台車亀裂問題 / 日常点検の難しさ

2017-12-20 18:44:51 | 安全管理

12月11日に発生したJR新幹線の台車に亀裂が走った問題については、今日も原因の追及と共に、脱線を引き起こす可能性のある運転をなぜ停止出来なかったかとの報道がなされている。

この台車が、なぜこんなに簡単に、紙を引き裂くように亀裂が走ったのか不思議であったが、新聞各紙に出ているJR提供の写真を見てみると、小生の認識不足かもしれないが、どうも昔の客車をささえている鋳物の台車のようではなさそうである。写真だけみると、中が空洞のハニカムのようにも見えるが。
もし軽量化のために空洞化をさせていたり、素材もアルミ主体の材料という事になると、このような現象は出てくるのかもしれない。

このあたり、原因究明もあるが、とりあえず産業界の人間にとってはどんな構造体なのか早く知りたい所である。

<日経新聞記事 掲載写真(JR提供)>


この写真を亀裂部を拡大してみた。

引きちぎられた部分が不思議な段構造となっている。

もしこの構造体であれば、昔から検査の一手順であるハンマの打音検査では確認できない可能性がある。アルミ主体の素材でも難しくなってくるかと思われる。

技術の伝承が出来ていない事も一要因に言われているが、昔の素材が最先端の素材や構造物に置き換わるに伴い、何十年も続けてきた検査方法は通用しないかもしれない。
検査そのものは必要であり、異常の有無を打音以外で判定できる事が必要であるが、非破壊検査のような大がかりの装置は駅の下には設置が出来ず、ごく僅かの停車時間の間での異常確認が出来ないと運行上問題が出てくる。
こうなるとハイテック技術の活かされるところであり、レーザーを使った干渉、赤外線波長変換での高低差確認、超音波、LED多軸照射などでの確認技術はあるのではと思われるが、原因究明と共に確実な検査方法も考案してほしいものだ。

この素材が変わることでの日常点検の難しさは、トラックのタイヤが車軸から脱落する問題が議論されていた時、日常点検は小ハンマでの打音でボルトの緩みを確認するが、昨今大型車にも導入され始めたアルミホイールでは『判断が難しくなった』と運転手さんが話されていたのを思い出した。
昔のような打音で『カンカン』という目安が、アルミではつかめなくなってきた事も一要因だと思われる。さらには、ベテランの運転手さんが若手に伝えるにしても、対象が変わってしまうと、どうすれば正解かも出しにくくなる。こうなると、締めすぎ防止を含め、トルクレンチしか日常点検をする方法は無いのかもしれない。

同じように、製糸会社では抄紙機という大型機器があるが、この機械は回転部が多く、大きなベアリングが入った軸受が取り付けられている。昔はこの軸受の部分へ細いパイプをあてて、擦れる音で確認がされていた事もあったが、ベアリングの素材や潤滑油が大幅に性能向上し、音での判断も出来にくくなったとベテランの方から聞いた事もある。
この機械は、さらに高速になれば軸受の異常は致命的な事故になる可能性があり、主要軸受部に温度センサーや振動センサーが取り付けられ、人間では判断できないところで予防保全策を取られているが、まだ現役で動いている少し古い機械であれば、人に頼るところも多々あり、素材や機構が高度化した事に伴う適切な日常点検方法も構築する必要があるとも聞かされている。
ただ、若手への引き継ぎ教育では、まだまだ『研ぎ澄まされた五感』に頼る所が多いとも話されていたが、今回もこの『五感』での危険予知と、この報告を受けた監督者の適切な判断が求められるが、
この部分は機械的な判断基準をベースにする事も必要なのかもしれない。

これとは別に、最初の項でも記載したが技術の伝承という問題である。
これもつい最近のJRでの架線事故での教育風景がテレビで報道されていたが、梯子を上がる際の支える相方の方法である。過去の安全対応では、架線などの不安定な所へ梯子をかける場合は、『立てかけた反対側から引っ張るように支える』と教育を受けたが、前の項で記載の素材が変わって来た事で正しいのかどうか疑問となった。アルミ素材などではどうなのだろうか。

このような事を考えると、やはり現実に合わせた所で危険予知をしていかないと、間違った結果を示してしまうかもしれない。
でも、『何がどう危険』という事を考えるためには、過去の知見を持ち合わせたベテランの力が必要となる。
JRも機関車から電車、さらには新幹線と進化はしてきたが、新幹線では今まで問題が起こっていなかったので、安全に対する『なぜなぜ問答』から出てくる『気づき』の欠落や、新しい事に対しての『創意工夫力』が落ちてきているのかもしれない。
あまりにもマニュアル化された事が、他の業界でも起こっている不祥事の背景にはあるかと思われる。
今一度過去安全の基本としてきた小集団活動で意識高揚を願いたい所である。



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