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ちまちま中間手続12

2024-08-24 21:24:13 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続12

拒絶理由 進歩性

刊行物1には、「・・・を乾燥粉末状としてこれに金属酸化物の粉末を添 加混合し、この混合物に水蒸気を通気しながら加熱して金属ハロゲン化物を分解 させることを特徴とする廃棄物残渣の処理方法」が記載されている

意見書
引用文献1では、金属ハロゲン化物をその処理対象としているが、本願発明では、・・・水銀含有廃棄物(但し金属ハロゲン化物を除く)を処理対象としている点で全く異なっている。さらに、処理対象が異なることに起因して引用文献1では金属酸化物を触媒として添加し金属ハロゲン化物を分解させているが本願発明では金属酸化物を添加しておらず、また金属ハロゲン化物を含んでいないので金属酸化物を添加する意味もない。したがって、これらの点で引用文献1は本願発明とは構成が全く異なるので、本願発明は新規性を有する。 
 このように、金属ハロゲン化物を処理対象とする引用文献1と金属ハロゲン化物を除く・・水銀含有廃棄物を処理対象とする本願発明とでは、技術的思想が全く異なるので、本願発明と引用文献1とは全く関連がない別発明である。すなわち、「金属ハロゲン化物に対して加熱条件下に金属酸化物を触媒として作用させることにより、金属ハロゲン化物を水に不溶性の金属酸化物または金属と、ハロゲン化水素とに分けることができる」という引用文献1の思想と、「過熱水蒸気を接触させることにより、ガラス部や蛍光剤等に吸着された水銀が容易に脱着される」という本願発明の思想とは全く異なるものであるから、引用文献1に基づいて本願発明に想到することはできない。したがって、本願発明は進歩性も有する。

拒絶査定
上記引用文献1に記載された発明における、廃棄物残渣を乾燥粉末状としてこれに金属酸化物の粉末を添加混合した混合物は、水銀含有廃棄物と云えるものであって、上記混合物に通気される水蒸気は、上記混合物に接触され、凝縮されて、水銀が回収されるものである。 
 そうすると、上記引用文献1に記載された発明は、水銀含有廃棄物に水蒸気を接触させる工程と、この工程から排出される気体を凝縮して凝縮物から水銀を回収する工程を含むものであって、その処理温度からみて、上記水蒸気が過熱水蒸気であることは明らかである。

審判せず。負け

拒絶査定の理由は、理解に苦しむものであって、審判すれば、登録査定にできたかもしれない。
当初明細書にて「過熱」をもっと精密に定義しておくべきだったか。「加熱」と「過熱」を混同しているようにも見える。
処理対象を、括弧書きでハロゲン化物を除く、としているが、これももっと規定の仕方があったのではないかと。反省点も多い件であった。

補足
本件の主クレームは、方法に係るものであって、工程としては1工程のみの構成になっている。

本願と引例では、「工程」が違う、ということを相違点とすればよかった、と思われる。

引例は、「・・・を乾燥粉末状としてこれに金属酸化物の粉末を添 加混合し、この混合物に水蒸気を通気しながら加熱し 」ので、金属酸化物を被分解物と反応させているが、これと、本願にいう「過熱」とは、両立しないものではなかったか?という点をつければ、覆せたのかもしれない。

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