彦星先生の情報意匠論、今年度の成果発表会が、大学会館であった。
上のリンク先で分かるように、本当にめざましい成果を上げている授業だけに注目度も高く、聴衆は100人に少し足りないくらいの人数。
受講生は50人も居ないはずだから、この手の発表会としては異例の入りだと言って良い。
それでも、学長と私以外教員は居なかったんだけども。
さて、今回の発表は8グループ。
「クライアント」別に4つのカテゴリーに別れている。
・財団法人静岡観光コンベンション協会
@静岡駅前地下道の広告の在り方
@しずおかクィーン 今後の在り方
・静岡大学 ~共有したい、静大のビジョンと戦略
・スーパーマーケットの戦略(スーパーもちづき)新聞広告の提案
・静岡大学人文学部言語文化学科 ~本当に使いやすい履修攻略本
いま、個別のグループについて細かく批評したり、優劣をつけるのは控えておこうと思う。
まして、内容は場合によっては知的財産として保護が必要かも知れないので、ここでは詳述できない。
それよりももっと重要な問題がたくさん浮かびあがってきた。
それは、強引に単純化してしまえば、学生や講師の問題ではなく、「クライアント」そのもののあり方が、成果にストレートに反映した、と言うことだと思う。
簡単におさらいしておこう。
・財団法人静岡観光コンベンション協会に関しては、二つのテーマ、それぞれ1チームが発表。
@静岡駅前地下道の広告の在り方
@しずおかクィーン 今後の在り方
どちらも、現状とは全く異なる発想からの提案だった。
アイデアそのものは高く評価できると思う。
どの程度協会と話しあっていたのかよく判らない部分もあるが、質疑応答の噛みあわなさは、新しい物を受け容れようとしない協会側の体質を印象づけたように思う。
勿論、発表のわかりにくさや実現可能性という問題を認めないわけではない。
それにしても、一旦「ちゃら」にしてみたら如何か。
何より、市民、学生からどう見えているのか、と言う視点を持って欲しい。
これ、大学も同じだ。
・静岡大学 ~共有したい、静大のビジョンと戦略
今年度の発表会で、最もショッキングだったのが、このテーマの2グループ。
両方共が、「自由啓発・未来創生」という、大学のスローガンを如何に憶えさせるか、と言うことに終始して(個別の「方法」は決して悪くないのだけれど)、中身を自分の物にすると言う発想が見えなかった。
君が代を一日百遍唄い、日の丸を毎日掲げても国を愛する気持ちは育たない。
そして、深く理解し、愛してしまえばスローガンはいらない。
大学を愛すること、君たちにとって「自由啓発」「未来創生」とは何なのか。
どうしてこんな事になってしまったのか、と言う謎は、次の発表を聞いて良く理解できた。
・スーパーマーケットの戦略(スーパーもちづき)新聞広告の提案
今年は一グループだけ。
実際、輝かしい受賞歴を前にしたら、押しつぶされそうな気分だろうと思う。
しかし、この人達はそれを乗り越えて、本当に次のステージに上がってしまった感がある。
去年、履歴書のアイデアを観た時も驚いたけれど、今回のはまた感動物だった。
なぜ、もちづきの広告の質が毎年高くなるのか、という理由は、(名前出して良いよね)vino君のわかりにくい質問に答えた采さんの発言の中にはっきり見える。
もちづきの人と話している内に、感情移入し、何か一緒にしたいと思い、同じ立場にたって考えた。それは、何かに気をつけて、と言うことではなく、自然にそう思えたのだ、と。
そう言うことなんだよね。
望月のSさん(あぁ、みんなSさんだ)と話をしたことのある人は、みんな引き込まれてしまう。この人と一緒に仕事をしたい。この人の思いをもっと伝えたいと思わされてしまう。だから、良い仕事が出来る。
翻って、大学のビジョン。
誰が、それを熱く語れるのか。
他の、何物にも代え難い、「静岡大学の」、がそこにあると、胸を張って言える人が居るのか。
残念ながら、学長の言葉には、そう言う説得力がないし、ペーパーも一緒。
そこが、もちづきの広告との決定的な違いだ。
メンバーをそっくり入れ替えても、多分似たような結果になったと思う。
クライアント・サイドに愛があるかどうか。
・静岡大学人文学部言語文化学科 ~本当に使いやすい履修攻略本
そう言う意味で言うと、これは実際かなり困難な課題のはずだった。
しかし、三つのグループが精粗の差はあっても、それぞれに明確な主張を持って提案できたのは、昨年度の「攻略本」を作った人達の思いがしっかり伝わったからだと思う。
前年度のメンバーは、乗り越えられる悔しさ以上に、そうやって、自分たちの思いが引き継がれることを、しっかり受け止めてくれたと思う。だから、次の企画にも加わりたいと言ってくれたんだよね。
こういう場面に立ち会える私は幸せだ。
多分、「ビジョン」も、来年もう一度取り組むチャンスがあったら、もう少し前に進めるかも知れない。
学問も、企画も、そうやって前に進むものだ。
ところで、彦星先生は、常に、この授業はスキル修得のためにあるのではないと言い続けている。
「型があるから型破り」。
それは、踏襲とは少し違う。
今回の発表の中で、「型」の使い方として「だいだらぼっち」の提案は良くできていたと思う。
そうやって見立てることこそが、情報意匠論の思いなんじゃないかな、と私は勝手に思っている。
長くなった。
発表会は、実は、通過点に過ぎない。
さしあたり「攻略本」は昨年度同様、私が引き継いで突貫工事で実現させることになる。
これからが本番だよ。
よろしく。
しかし、こんなに思いの詰まったプレゼントを貰える新一年生は幸せだなぁ。
上のリンク先で分かるように、本当にめざましい成果を上げている授業だけに注目度も高く、聴衆は100人に少し足りないくらいの人数。
受講生は50人も居ないはずだから、この手の発表会としては異例の入りだと言って良い。
それでも、学長と私以外教員は居なかったんだけども。
さて、今回の発表は8グループ。
「クライアント」別に4つのカテゴリーに別れている。
・財団法人静岡観光コンベンション協会
@静岡駅前地下道の広告の在り方
@しずおかクィーン 今後の在り方
・静岡大学 ~共有したい、静大のビジョンと戦略
・スーパーマーケットの戦略(スーパーもちづき)新聞広告の提案
・静岡大学人文学部言語文化学科 ~本当に使いやすい履修攻略本
いま、個別のグループについて細かく批評したり、優劣をつけるのは控えておこうと思う。
まして、内容は場合によっては知的財産として保護が必要かも知れないので、ここでは詳述できない。
それよりももっと重要な問題がたくさん浮かびあがってきた。
それは、強引に単純化してしまえば、学生や講師の問題ではなく、「クライアント」そのもののあり方が、成果にストレートに反映した、と言うことだと思う。
簡単におさらいしておこう。
・財団法人静岡観光コンベンション協会に関しては、二つのテーマ、それぞれ1チームが発表。
@静岡駅前地下道の広告の在り方
@しずおかクィーン 今後の在り方
どちらも、現状とは全く異なる発想からの提案だった。
アイデアそのものは高く評価できると思う。
どの程度協会と話しあっていたのかよく判らない部分もあるが、質疑応答の噛みあわなさは、新しい物を受け容れようとしない協会側の体質を印象づけたように思う。
勿論、発表のわかりにくさや実現可能性という問題を認めないわけではない。
それにしても、一旦「ちゃら」にしてみたら如何か。
何より、市民、学生からどう見えているのか、と言う視点を持って欲しい。
これ、大学も同じだ。
・静岡大学 ~共有したい、静大のビジョンと戦略
今年度の発表会で、最もショッキングだったのが、このテーマの2グループ。
両方共が、「自由啓発・未来創生」という、大学のスローガンを如何に憶えさせるか、と言うことに終始して(個別の「方法」は決して悪くないのだけれど)、中身を自分の物にすると言う発想が見えなかった。
君が代を一日百遍唄い、日の丸を毎日掲げても国を愛する気持ちは育たない。
そして、深く理解し、愛してしまえばスローガンはいらない。
大学を愛すること、君たちにとって「自由啓発」「未来創生」とは何なのか。
どうしてこんな事になってしまったのか、と言う謎は、次の発表を聞いて良く理解できた。
・スーパーマーケットの戦略(スーパーもちづき)新聞広告の提案
今年は一グループだけ。
実際、輝かしい受賞歴を前にしたら、押しつぶされそうな気分だろうと思う。
しかし、この人達はそれを乗り越えて、本当に次のステージに上がってしまった感がある。
去年、履歴書のアイデアを観た時も驚いたけれど、今回のはまた感動物だった。
なぜ、もちづきの広告の質が毎年高くなるのか、という理由は、(名前出して良いよね)vino君のわかりにくい質問に答えた采さんの発言の中にはっきり見える。
もちづきの人と話している内に、感情移入し、何か一緒にしたいと思い、同じ立場にたって考えた。それは、何かに気をつけて、と言うことではなく、自然にそう思えたのだ、と。
そう言うことなんだよね。
望月のSさん(あぁ、みんなSさんだ)と話をしたことのある人は、みんな引き込まれてしまう。この人と一緒に仕事をしたい。この人の思いをもっと伝えたいと思わされてしまう。だから、良い仕事が出来る。
翻って、大学のビジョン。
誰が、それを熱く語れるのか。
他の、何物にも代え難い、「静岡大学の」、がそこにあると、胸を張って言える人が居るのか。
残念ながら、学長の言葉には、そう言う説得力がないし、ペーパーも一緒。
そこが、もちづきの広告との決定的な違いだ。
メンバーをそっくり入れ替えても、多分似たような結果になったと思う。
クライアント・サイドに愛があるかどうか。
・静岡大学人文学部言語文化学科 ~本当に使いやすい履修攻略本
そう言う意味で言うと、これは実際かなり困難な課題のはずだった。
しかし、三つのグループが精粗の差はあっても、それぞれに明確な主張を持って提案できたのは、昨年度の「攻略本」を作った人達の思いがしっかり伝わったからだと思う。
前年度のメンバーは、乗り越えられる悔しさ以上に、そうやって、自分たちの思いが引き継がれることを、しっかり受け止めてくれたと思う。だから、次の企画にも加わりたいと言ってくれたんだよね。
こういう場面に立ち会える私は幸せだ。
多分、「ビジョン」も、来年もう一度取り組むチャンスがあったら、もう少し前に進めるかも知れない。
学問も、企画も、そうやって前に進むものだ。
ところで、彦星先生は、常に、この授業はスキル修得のためにあるのではないと言い続けている。
「型があるから型破り」。
それは、踏襲とは少し違う。
今回の発表の中で、「型」の使い方として「だいだらぼっち」の提案は良くできていたと思う。
そうやって見立てることこそが、情報意匠論の思いなんじゃないかな、と私は勝手に思っている。
長くなった。
発表会は、実は、通過点に過ぎない。
さしあたり「攻略本」は昨年度同様、私が引き継いで突貫工事で実現させることになる。
これからが本番だよ。
よろしく。
しかし、こんなに思いの詰まったプレゼントを貰える新一年生は幸せだなぁ。
だから、ビジョンも戦略も語れない。
しかし、「言語文化学科」のことなら、誰よりもたくさん語れると思うよ。
愛があるからね。
スーパーもちづきのグループに質問したことは非常に分かりにくいものでした。というか的を外していました。
「もちづきの『ビジョン』や『戦略』が心に落ちていなければこれだけの発表は出来なかったと思います。この発表までにもちづきの担当者とどのようなやり取りをしましたか?また、そのやり取りの中で何を感じましたか?」
と、聞くべきでした。
質問に答えた彼女は、私の表情を見て、あの質問の内容から上記のことを汲んでくれたので、非常に感謝しています。
ただ、答えがよくても、質問が悪かったので、聴衆に伝えるべきことが伝わっていなかったのではないかと思い、ここに書かせてもらいました。
さて、話は変わりますが、
いろいろと試行錯誤をし、熱い議論を交わし、たくさんの人の思いがつまった文言や活動について、本人たちは素晴らしいものだと思っていますが、端から見ている人たちにとっては表面に出てきているものが全てです。
文言を見たり、活動に参加してくれた人が、自然にこれらを素晴らしいものだと感じてくれることはなかなかありません。
平野先生は発表会のプレゼンで聴衆と「共感」することについて話されましたが、情報意匠論に関して言えば、コラボ先の組織と学生とが「共感」しなければ、お互いにとっていいものは出来上がって来ないでしょう。
もちづきのチームの発表を聴いて、羨ましいと仰ったある人は、静大の『ビジョン』と『戦略』について並々ならぬ時間と労力を割いていたでしょうから、この完成度の高さなら学生は自然とついてきてくれると思っているんだろうなと思います。
この落とし穴に気付かれたかどうか・・・。
来年、このテーマを再び扱うのであれば、学生だけでなく、大学側の対応も見たいなと思います。
でも、そこが一番大事でしたね。
ここのところ、vino君がずっと言い続けている問題でもありますね。