子供さんが近視で視力が低下した場合、メガネで矯正すればよいと考えておられるご両親が多いようです。
一般的に近視は「怖い」という認識は少ないと思われます。
ところが過去ブログ「近視と失明」でお伝えしたように、近視が強くなればなるほど様々な失明疾患の発症率が高くなるのです。
特にアジア諸国では急激な近視人口増加に伴い、国家プロジェクトとして近視対策を開始している国もあります。
近視による視力喪失が、国力低下にも繋がる問題と捉えているのです。
先月、シンガポールで開催された学会(第17回 Asia-Pacific Vitreo-Retina Society ) でも、
今後予想される近視人口の増加とそれに伴う失明増加の問題について
様々な研究報告や議論が交わされました。
アジアでは断トツの近視大国であった日本に、各国が追いついてきていることを大きな問題としているのです。
ところが近視の本家とも言える日本では、近視を大きな問題と考える人が少ないようにも感じます。
病的近視とは?
一言で「近視」と言っても、特に問題となるのは「病的近視」です。
病的近視とは、「屈折度数は問わず、びまん性脈絡膜萎縮以上の萎縮性変化(特に乳頭耳側)もしくは、
後部ぶどう腫を有する状態」のことを言います。
失明原因としての病的近視
多くの近視では、眼鏡などによる矯正により良好な視力を得ることができます。
しかし、近視の中でも「病的近視」という状態になると、眼底などに様々な合併症を生じ、
眼鏡やコンタクトレンズを使用しても視力が出ない状態となります。
合併症が進行してひどくなると失明する可能性があります。
運転免許更新の際に、「メガネを強くしても視力低下で免許が維持できなくなる」という問題が生じて
初めて大変なことが自分の眼に起こっていることに気が付く方も多いです。
視覚障害1級の原因疾患として、少し前のデータですが病的近視は我が国で4番目に多い疾患となっています(表1)。
病的近視は一度起こしてしまうと視力回復が困難な疾患です。
これまで繰り返しお伝えしましたが、成長期の近視進行予防が重要です。
とはいえ既に病的近視となった方には視力を失わないために可能な対応が必要となります。
次回は病的近視の合併症と治療についてお伝えしたいと思います。
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