本年7月14~15日に東京で開催された第66回日本コンタクトレンズ学会の報告の続きです。
今回は、
遠近両用ソフトコンタクトレンズとその問題
について解説させていただきます。
② 日本では遠近両用ソフトコンタクトレンズ(以下、遠近)の使用が少ない
遠近を試供した方の満足度が低いことが日本の特徴だと感じています。
遠近ではなく、「通常(単焦点)のコンタクトレンズ(コンタクト)を装用して、近くを見るときは読書用眼鏡(いわゆる老眼鏡)を使用」という方が多いように感じています。
意外と知られていないのですが、ソフトコンタクトレンズ(以下、ソフト)は涙の状態により見え方の質が大きく変わります。
「ドライアイの方は、視力の質が低下しやすい。」と言えます。
一日、ソフトを付けていると目が疲れて、装用時間が長くなるにつれて目がかすんでくる、多くの方がこうした経験をされていると思います。
目の潤いが不十分だと、ソフトでの視力が安定しないのです。
このような方が遠近を使用すると・・・。
<遠近両用ソフトの仕組>
遠近両用ソフトコンタクトレンズとは、1枚のレンズに遠くを見る度数と近くを見る度数が同心円状に配置されているコンタクトレンズです。
レンズの中心部から周辺部分に向かって徐々に度数が変化する、マルチフォーカル(MF、多焦点)といわれるタイプがほとんどです。
(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニー ホームページから転載)
参考ですが、ハードコンタクトレンズ(ハード)ではバイフォーカル(BF、二重焦点)といわれる1枚のレンズの中で遠用・近用の2種類の度数がはっきり分かれているものもあります。
遠近のデメリットは、慣れるまで視界がぼやけることがあるという点が挙げられます。
慣れるまでは、近くも遠くも見えにくい状態です。
また、遠近は遠くも近くもどちらも見えるようにする構造になっているため、一般的な単焦点のコンタクトに比べると見え方の質が悪くなります。
特に注意が必要なのが夜間の運転です。
夜間の暗い場所では瞳孔が開くため、コンタクトの遠用度数部分と近用度数部分が同時に視界に入り、ぼやけたり光がにじんだりすることがあります。
明るい場所ではよく見えていたとしても、暗い場所では見え方が悪化しやすいため、遠近での夜間運転には注意が必要です。
上記のような遠近の特徴を理解いただいて上手に活用される場合は良いのですが、長年ソフトを使用していた方では「ドライアイ」は必発とも言えます。
ドライアイで涙の問題を抱えている方が遠近を付けた場合、それまで使用していた遠方専用ソフトに比べて「見えない」感覚が強くなるのです。
ソフトを使用される方には点眼保湿を強くお勧めしております。
使い終わって破棄するソフトを机の上などに放置すると、「干からびてレンズが固まっている」という経験をされていませんか?
日中、寝る前までソフトを着けていても、外したレンズは「干からびてはいない」ですよね?
相当量の涙を毎日ソフトに吸い取られているのです。
ドライアイにならないはずがない理由を理解いただけると思います。
このような場合は、ソフトの使用を少なくするべきです。
40歳以降の働き盛りの方で、どうしてもソフトの使用を減らすことが難しい場合は遠近両用ソフトより、通常のソフトを着けた状態で老眼鏡を使用する方が良い視力を出せると考えます。
繰り返しますが、この場合でもソフトを使用するのであれば保湿点眼はご自身の眼を守るために必須とお考えください。
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