田園 里山 野鳥そしてアルプスの山々

日進市と近隣の里山、春から秋にはアルプスの山々を歩いて感じたこと、考えたことなど・・・

天白川のヒクイナと徒然草

2012年04月12日 | 野鳥

12日朝、いつものように折戸川沿いの道を歩きました。天白川に近づいたとき、ヒクイナの声が聞こえてきました。今年初めてです。藪を踏み分けて川岸に近づくと、合流点上流の対岸から声は聞こえてきます。下の写真中央のヨシの陰のようです。

対岸に渡り、そっと近づきましたが、気づかれて鳴き声が途絶えてしまいました。しばらく藪を探しましたが見つかりません。15分くらいであきらめました。

ヒクイナは、2年ほど前、天白川のもう少し上流で偶然見つけたことがあります。そのとき撮影した写真を下に載せました。

徒然草の十九段「折節の移り変るこそ、ものごとにあはれなれ・・・」で始まる一節に水鶏(クイナ)の話が出てきます。

「灌仏(かんぶつ)のころ、祭のころ、若葉の、梢涼しげに茂りゆくほどこそ、世のあはれも、人の恋しさもまされ」と人の仰せられしこそ、げにさるものなれ。五月、菖蒲(あやめ)ふくころ、早苗とるころ、水鶏の叩くなど、心ぼそからぬかは」

という部分です。「灌仏会(かんぶつえ)」は釈迦の誕生日を祝う仏教行事で旧暦の4月8日、「祭」は5月中旬、上賀茂神社の葵祭を指すので、ここで言われているのは今から1ヶ月ほど季節の進んだ頃の話です。

この当時はクイナとヒクイナは、はっきり区別されていなかったと言われています。ここに書かれている「水鶏」は、鳴き声の調子からクイナよりもヒクイナの方ではないかとされています。徒然草は高校の国語の授業で学んだのですが、「水鶏の叩くなど・・・」という一節がなぜか心に残っていて、2年前に天白川で出会ったとき、感慨深く思ったものでした。

天白川でヒクイナの声を聴くのは毎年今頃から6月にかけてです。徒然草の時代から、毎年春を告げる自然の音として親しまれてきたということなのでしょう。

野鳥観察辞典によると、ヒクイナは警戒心が強く、なかなか人前に姿を見せないそうです。それでもYouTubeを検索すると、大変きれいな動画がいくつか見つかります。しかし、わが町、日進での動画は無いようすので、あまりよく撮れているとは言えませんが2年前、今回とほぼ同じ、4月8日に撮影した動画を投稿しておきます。

12日の朝、声だけの動画

   http://youtu.be/MDrwyGizowY

2年前の、姿も入った動画

   http://youtu.be/_e8GNHYpyE0