2014年8月現在の情報。
ただし短期間での個人的経験によるものなので、あくまで参考として。責任は負えませんので悪しからず。
サファリ@マサイマラ
【予防接種、病気、薬】
これからアフリカや中南米に行こうとしている人にとって、まず気になるのは伝染病の予防接種だろう。
日本の検疫所では、狂犬病、マラリア、破傷風などいろいろ勧められるが、ケニアの場合、まず問題となるのが黄熱病である。
ケニアは現在「黄熱病」の危険がある国とされている。
そのためケニアからの帰りに途中経由する場合、あるいはケニアを出てすぐに近隣のアフリカ諸国へ入国する際は予防接種の証明書(イエローカード)の提示を求められる(らしい)。
これは国によってまちまちで、例えば今回のように中東(ドーハやドバイ)経由の場合は必要ない。
ちょっとわかりにくいので、詳しくはWHOや厚生労働省、検疫所のHPで。
極端な例ではバルーン・サファリでケニアから飛んだのに、風に流されタンザニアに入ってしまった場合もイエローカードが無いので着陸を拒否されたとかいう話も聞いた。
けっして安いものではない(一万円以上)ので私も当初は打たないつもりだったが、結局、いつどういう状況になるかわからないし、訳のわからない所で足止めとなるのも面倒くさい。
今後もアフリカや中南米には行くかもしれないので、これを機会に地元の横浜検疫所で打ってから出かけることにした。
実際に現地では蚊に数回刺されたが、刺されても日本のように痒くなったり腫れたりはしなかった。
そんなわけで無頓着ゆえ虫除けスプレーも蚊取線香も一回も使わなかった。
思うに二週間ほどの旅行なら、マラリアや黄熱病はそれほど心配する必要はないのでは?と思う。
例えば外国人が日本に来て一回蚊に刺されただけで大げさに「日本脳炎」を心配するのと同じレベルで、そんなに神経質にならなくてもいいような気がする。
検疫所に問い合わせるとやたらあれもこれもと強く勧めてくるが、そんなにいくつも打っていたらお金がいくらあっても足りないし、それこそ本当の病気になってしまいそう。
予防接種を打ったらその副作用で出発前に具合が悪くなったという人もいるようだが、申し訳ないがそういうデリケートな人は最初からアフリカへ行かない方が無難だろう。
注射自体はそれほど痛くない。健康診断の採血の方がよほど痛い。
結論として、今回のアフリカが最初で最後というなら打つ必要なし。今後もアフリカ、中南米へ複数回行くつもりなら打っても良し。
病気の予防というより、第二のパスポート的意味合いが強い。
次に衛生面。
生水や水道水はそのまま直接飲まず、町での飲料水はペットボトルのミネラル・ウォーターとした。
山では沢の水をコックが煮沸してくれていたが、便が緩くなったことは一日だけで下痢は皆無だった。
手洗いもそれほど神経質にならず、持参した消毒済みのウェット・ティッシュもそれほど使わなかった。
個人差があるが、むしろ、こうした旅では生野菜がなかなか摂れないため便秘の方が大敵である。
今回、私は整腸剤として蒼井優ちゃんがCMをやっている「ビオフェルミン」を持参したが、腸(便)を正しく整えるという意味でなかなか良かった。
あと空気が乾燥していて隣の人と近接する飛行機内や埃っぽいサファリなどでは使い捨てマスクがあると重宝する。
そして高山病対策。
今回、事前に富士山に二回登って臨んだが、私の場合ほとんど意味は無かった。
また、素人考えで血液内で酸素を運ぶ役割を担うヘモグロビンを増やそうとヘム鉄のサプリ、レバー肉などを出発前から摂っていたが、効果のほどは定かでない。
高山病の薬としてはDiamoxが良く知られており、私もイギリス人のマットからもらって飲んだが、これも即効性があるわけでなく、本来は利尿剤であるとのこと。
今回、私は3,300mと4,200mで軽い頭痛、4,500m以上で激しい呼吸、肺の痛みなどを経験したが、吐き気や意識朦朧となるまでには至らなかった。
自覚できるうちはまだいいが、突然ガクーンと意識が飛んで力が入らなくなってしまうのが一番怖い。
また今回は利用しなかったが、最近日本にもある低酸素室は一つの経験にはなると思うが、それを一回や二回使っただけで即、高度に強い身体になれるわけではないだろう。
やはり高山病は付け焼刃でどうなるものではなく、現地でゆっくり少しずつ自分の身体を慣らしていくしかないように思える。
【気候】
ケニアは年二回の雨季とそれを挟んでの乾季がある。
もちろん乾季が旅行に適しており、大乾季が12~2月、小乾季が7~9月。日本の冬休み、夏休みと比較的合わせやすい。
今回7月下旬に行ったが、アフリカといえばとにかく暑いイメージ。しかし、赤道直下にもかかわらず、実際はそれほど暑くなく快適である。
首都ナイロビの標高は1,700m。日本でいえば上高地や軽井沢とほぼ同じ。空気もドライでとても過ごしやすい。天気としては、ナイロビの朝夕はどんより曇ってちょっと暗い日が多かった。日中は晴れ。
山では午前中は晴れ。午後一時頃から雲が下界から湧いてきてその後、雨か小雪となり、夕方頃からまた晴れだし、夜は満天の星というのがパターンだった。
気温は山の下の方では日本の春の2,500m級。レナナを未明から登り始めた時は、日本の厳冬期とまではいかないもののダウン・ジャケットや厚手の手袋、ウールの帽子などそれなりの冬仕様が必要。
紫外線、空気の乾燥度はそれほど強くなく、私はサングラス、日焼け止めクリームなどは一切使わなかった。
唇は多少荒れるのでリップ・クリームがあるといい。
【山の装備】
GWの北アルプスを想定。
エージェントからの事前情報では、レナナの頂上付近はマイナス15度まで下がるという話だったので、冬用ダウンシュラフを持参したが、さすがにそこまで冷えることはなかった。
ロープやクライミング・ギアは現地でレンタル。
ほとんどの人はエージェントを介してコックを雇うことになるが、外国人のグループはMSRのガソリン・ストーブを持参していた。
しかし、そのほとんどが不完全燃焼を起こしていたようだ。おそらくホワイト・ガソリンが入手できず、現地の質の悪いレギュラー・ガソリンを使っていたせいだろう。
現地のコックらは、今では日本ではほとんど見ない昔ながらのオプティマスやプリムスの石油ストーブを使っていた。こちらは良好。
詳しく調べていないが、ケニアはナイロビ市街でも登山用品の専門店は無さそうだった。
したがってガス・ストーブを持って行っても、カートリッジはまず手に入らないだろう。もちろん飛行機での持込みも無理。
ヘッデンは大手スーパ-Nakumattにも売っていた。
【食事】
残念ながら今回これが一番の失敗だった。あまり食事にはうるさい方ではないのだが・・・。
とにかく、ホテルの朝食にしろ山でコックが作ってくれる食事にしろ、何というか全体的に「味」そのものが無いのである。
ケニアは植民地であったことから、おそらく外国人に対してはイギリス風の様式である。イギリスの料理は美味くないという定説があるが、やはりその流れを汲んでいるのか。
フルーツは美味い。アリージャが作ってくれたパン・ケーキもうまかった。
ただ、その他の料理に関しては何かが足りない。たぶん塩の加減だろう。というか、ほとんど味付けしていないような気がする。
卵は好きな方だが、なぜか目玉焼きだと黄身の匂いがキツくて「うっぷ」となってしまう。スクランブル・エッグなら大丈夫。
食が気になる人は日本から調味料、さらに山での勝負メシとしてレトルトごはんなど多少は持っていった方がいいだろう。インスタント麺は現地スーパーにあり。
ナイロビ市街のファスト・フード(ピザ)などはアメリカ・ナイズされていて日本と変わらぬ味だった。
コーヒーはキリマンジャロ系で酸味がやや強い。
今回、残念ながら屋台があるような庶民的な一画には行く機会が無かったが、B級グルメなら案外美味しいかもしれない。
【お金】
2014年7月現在で、US1ドル=約103円=80ksh(ケニアシリング)。
大きな店や中級ホテル以上ならクレジット・カード(VISAなど)が使えるが、町の小さな店ではケニアシリングしか使えない。
旅の期間、スタイルにもよるが、とりあえずケニアシリングで1万円分、10ドル札×10枚、あとはVISAカードを持っていれば十分だろう。
ガイドブックによっては、USドル札だと20ドル札以上の高額紙幣が換金のレートが良いと書かれていたりするが、そんなことは無い(と思う)。
むしろ100ドル札などいきなり出しても相手方に両替やお釣りの持ち合わせがなく、まったく宝の持ち腐れである。ドルなら10ドル札が手頃だ。
JCBも近年、ケニアの大手銀行と提携し使えるようになったと聞くが、実際にはまだまだ少数派で利用機会は少ない。
【人柄】
みんな色が黒いので最初はちょっとたじろぐが、まなざしは優しく、人柄も穏やか。
中にはセコく、調子のイイ輩もいるが、外国人に対しては日本人よりよほどフレンドリー。しつこくもなく、実にあっさりしている。
特にドライバーの人たちは、感じが良かった。
外国人に対しては(村に住んでいるマサイでさえ)英語を使うが、現地の人同士ではスワヒリ語?を使っているようで何を話しているのかよくわからない。
【土産】
ナイロビだったら、ヒルトン・アーケード(ヒルトン・ホテルの下にあるが、ホテルとは無関係)にある"Haku Crafts"と"Afriprints"。
この二店が絶対に安い。ここの値段を見てから他店に行くと、いかに他店が高いかわかるだろう。
郊外にもいい店がある。
特にさまざまな部族のマスク(お面)は、郊外の店の方が種類も豊富で興味深い。
他には木彫りの人形(マサイ族やキリンをかたどったものが多い)、バティック(ろうけつ染めのパテストリー。これもマサイの女性がモチーフのものが多い)、木の皿、ビーズを使ったネックレス、マサイ族の盾のミニチュアなど。
お菓子はケニア・オリジナルといったものはあまり無かったように思う。
買ってきたアフリカ土産の一部
【サファリ】
今回はナイロビから三日間の日程で、初日は現地に着いて夕方から、二日目は一日中、三日目は朝見て回り、そのままナイロビ帰着というパターンだったが、それだけ見れば十分満喫できる。
マサイマラは広いので大抵の動物は見ることができるが、雄ライオンとサイは見ることができなかった。
ドライバーは外国人客が喜ぶだろうと特にライオンとレパード(豹)探しに躍起になるが、それらは大抵ブッシュや木の上に隠れていてよく見えない。それよりも私は象やキリンのようなデカイやつの方が迫力があって良かった。
動物を求めてその場所へ向かう有様は、日本の釣り船と一緒である。
あとケニアといえばマサイ族。
マサイの人たちは今ではすっかり観光ズレしていて、入村料を取られたり、お土産攻撃があったりするが、それでも私はとても楽しめた。
エージェントのプログラムによっては、最初からマサイ村訪問もセットにして組んであるものもあるようだが、今回たまたまキャンプまで向うから「お迎え」が来ていてラッキーだった。
以前はマサイ戦士があの恰好でナイロビ市街を歩く姿もあったようだが、今は街ではまず見ない。
【ガイドブック】
今回、事前に定本「地球の歩き方・東アフリカ編」と「ケニア・タンザニア旅ガイド・まるまるサファリの本(武田ちょっこ・著)」をチェック。
昨年のカナダでも感じたことだが、前者の方はどうも最近はフツーの観光客をターゲットにし、安全快適旅行主義になってしまったようで、自分としてはかなり不満である。
紹介されているホテルやレストランも中上級のものが多く、昔は「歩き方」と唱っているとおり、もっと貧乏旅行のバック・パッカー向きの内容で、そこが魅力だったのだが・・・。
最新版を見てもナイロビは世界で最も危険な街の一つ、夜の独り歩きなどとんでもないように書いてあるが、少し前ならともかく今現在はそこまで過剰に身構える必要はまったく無かった。
自分がたまたま何事も無くラッキーだったのかもしれないが、ケニア山で一緒だったJune、サファリで一緒だったカリーナにしても20歳前半ぐらいの女の子が一人旅をしている。
それに較べると、後者の本は現地に惚れた著者が自らの体験に基づいて情報をまとめていて、おすすめ!
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