KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

初夏の飯豊縦走

2013年07月01日 | ロングトレイル

2013年6月28日(金)夜行-7月1日(月) 前夜発二泊三日 単独

 今週末は女房の友人が我が家へ泊まりに来るというので、おじゃま虫は山へ避難。
 梅雨の合間を狙って飯豊へ向かう。

一日目 
天候:のち
行程:(JR米沢駅4:30~5:50-小国駅7:25~8:00-)梅花皮荘8:40~50-飯豊山荘10:00~15-丸森峰13:15-地神山14:43-門内小屋15:55(泊)

 前夜、新宿から夜行高速バスで米沢、そこから始発のJR米坂線で小国へ。
 以前、上の息子がこちらの学校に行っていたので、この辺りは何回か来ており、周辺景色が懐かしい。

 

 小国駅ではバスを待つ間、東京から渓流釣りに来たニイちゃんと地元のニイちゃん、それに私の三人で四方山話。
 鄙びたローカル駅の前でのこんなひとときがいかにも「テレ東・旅番組」的でイイ感じ。

 飯豊の山形県側は7/1から山開きということで、本日の路線バスはまだ登山口手前の梅花皮荘まで。
 飯豊に登るのは初めてだが、梅花皮荘は何度か泊まったことがあるのでこれも懐かしい。

 梅花皮荘からは一時間ほど林道歩き。
 天気は上々、夏の陽気で早くも汗ばむ。
 この辺り、マタギの里でも知られるように国内一のツキノワグマ出没地帯であるため、熊鈴を鳴らしつつ登山口へ。

 

 登山口の飯豊山荘からは有名な石転び沢をはじめ、いくつかコースがあるが、今回はフツーにまったり縦走しようと丸森尾根にする。
 しかし、この尾根、そのやさしそうな名前と裏腹に出だしからなかなかの急登。蒸し暑い陽気もあって一気に滝汗となる。
 急登というとよく甲斐駒の黒戸尾根などが引き合いに出されるが、その比ではなく、北アでもこんなキツイ登りはそうそう無いんじゃなかろうか。
昨年の仙台・二口山塊もそうだったが、東北の山というと何となく朴訥で柔和なイメージを持ってしまうが、実はかなりシンドイ急登であるのを改めて思い知る。

 途中、単独の人を一人抜き、ようやく我慢の樹林帯を抜けて視界が開ける。
 丸森峰の少し上から豊富な残雪が現れ、先にもう一人、単独の人の姿が見えた。

 雪渓から流れる冷たい水を飲みながら小休止していると、脇の草陰にまだ真新しいゴミを発見。
 まったく、何でこういうことするのかね。野口某ではないが、ちょっと目に余るので回収する。

 ところがその先、雪田を一つ上がったところでさらに見たくないモノが。
 何と先ほど見えた単独のおっさんが道のど真ん中で用を足している。もちろん

 こちらの存在に気付いてないようなので、悪いと思ってしばらく待ったが、なかなか終わらない。(というか、下半身モロ出しでこちらに向かって仁王立ちしている。)
 こちらもいつまでも待っているわけにもいかないので頃合いを計って「すみませーん!通りますよっ!」と声を掛けるとさすがに慌てたようだが、しかし最近は山ガールも多いし、こんな道の真ん中でするかね。

 どうやらこの御仁、私が通り過ぎてもまだバツが悪そうにしゃがんでいて、どうやら腹を壊しているようだ。
 で、思い出したのが先ほどのゴミ。紙に包んでオニギリが半分残っていた。
 山に来て食べ物を捨てるなんてまず無いし、もしや・・・?。よっぽど問い正そうと思ったが、初日からイザコザを起こしても疲れるので不問にして先を急ぐ。(もし濡れ衣だったらすまないけど。)

 

 丸森尾根の急登もようやく終わり、地神山を越えて、この日は門内小屋泊。
 時間的にはその先の梅花皮小屋まで行けなくもなかったが、石転び沢から上がってくるパーティーが多そうだったので、予定通り今日はここまで。
 エアリアマップに表記は無いが、近くの雪渓から水は豊富に確保できた。

 

 30~40代の男性二人組が既に来ていて、地元・会津山岳会とのこと。
 ここ数年、八ヶ岳や甲斐駒、あるいは谷川などで少なからず身勝手な山岳会の人たちを見てきたが、このお二人はとても穏やかで何とも好感が持てた。

 先ほどのおっさんの残像が頭に残り、イマイチ食欲なし。
 今回は気楽な尾根歩きのため軽量化はあまりきにせず、酒とつまみは十分に持ってきたので夕方には早々と酔いつぶれてしまった。

 


二日目
天候:のち
行程:起床4:45-出発5:50-梅花皮小屋7:30-御手洗ノ池9:30-御西小屋11:10~40-大日岳12:55~13:35-御西小屋14:45-飯豊山16:30~45-本山小屋16:55(泊)

 昨夜はけっこう風が強く小屋の屋根を叩いていた。
 朝起きると一応晴れているが、ガスが西側から吹き上げ、展望はあまり利かない。
 いつものように餅入りマルタイラーメンの朝食を終え、お二人さんより一足早く出発。

  
 
 反対側からやってくる数パーティーと擦れ違い、北股岳では団体さんと一緒になるが、その後しばらくは登山者も途絶え一人歩き。

  

 梅花皮岳から御西岳の稜線はまだ残雪が豊富で、ほとんど雪の上を歩く。
 今回、靴はローカットのアプローチ・シューズ(ファイブテンの"Camp4")。軽アイゼンは持ってきたが、まぁ何とか履かずに雪面の凸凹を拾って進む。
 
 

 途中にある御手洗ノ池。
 よく見ると小さな黒いサンショウウオが泳いでいた。

 ガスがなかなか切れず景色がイマイチなのが残念だが、まぁ仕方がない。その代わり、さすがに飯豊は高山植物が豊富で飽きさせない。
 花に興味が無くてもついつい足を停めてマクロで撮ってしまう。

 

 

 やがて御西小屋に到着。
 ここには管理人が既に入っていた。素泊まり2,000円、食事付きだとプラス1,500円とか。
(飯豊の小屋は基本的に避難小屋なので期間外ならタダ。協力金は任意で。シーズンになると管理人が常駐して有料になるようだ。)
 本来の水場が雪で隠れてしまっていたため、少し手前まで戻り雪渓からチョロチョロ流れる水を補給する。

 

 ここから飯豊最高峰の大日岳までピストン。
 ピーク直下の最後の登りは長く縦走してきた足にはちょいとシンドい。
 頂上の標識は一番高い所より一段低い広場にあった。
 周りには誰もいなく、山頂独り占め。ゆったりとした気分でしばし休憩する。

 その後、御西小屋へ戻り、本日のラスト、飯豊山へのゆったりとしたトレイル。
 ここはまた何とも気持ちの良い山道で、イメージ的にはバックパッカーが歩くアメリカのロングトレイルのよう。

  

 飯豊山頂。ここも当然独り占め。
 さっきまでいた大日岳が随分と遠くに見える。
 飯豊は稜線に上がるまでが急登で大変だが、一旦上がってしまえば後は比較的緩やかな勾配で、時間の割に思いのほか距離を稼げる。

 本日の宿泊地、本山(ほんざん)小屋に到着。
 日曜の夕方だし貸切かと思ったが、私より年配の男性二人組、さらに二階に年配夫婦が一組。
 岐阜から来たという男性二人組は何とも親切で、(別に欲しそうな目で見ていたわけでもないのに)ビールとつまみを差し出してくれた。どーもすみません!


三日目 
天候:
行程:起床4:30-出発6:00-三国岳8:20-川入11:45

 いよいよ最終日。
 御来光は雲がかかってイマイチだったが、その後どんどん雲が切れ快晴に。
 最初は小屋の前で写真を撮っていたが、たまらず年配夫婦の後を追って昨日に引き続き飯豊の山頂に立つ。
 最後になって飯豊の主稜線を一望にできて満足だ。

 

  飯豊山頂からのパノラマ

 しばらく山頂で写真を撮りながらのんびり過ごし、小屋を軽く掃除してから下山。
 先の二組はもうずいぶん前に出発してしまった。

 

 飯豊山から三国岳への道はこれまであまり見なかった濃いピンクの百合が見事。
 今日から山形県側は山開きのためか朝からヘリが上空を旋回していた。

 三国岳の直下は剣が峰と呼ばれる岩稜。ここは最近、中高年の転落事故が立て続けに起きているようだ。
 両脇はそれなりに切れ落ちているが、幅があり岩も階段状なので慌てなければ別に怖いことはない。
 ただ岩のフリクションがいいので、逆に靴底を岩角に引っ掛けたりしてバランスを崩してしまうんじゃなかろうか。

 

 岩稜から樹林帯に入り、途中の分岐から川入方面へ。
 昨夜のお二人さんが新しくできたという飯豊トンネルからのコースの入口に車を停めているというので頼めば乗せてもらえそうだったが、あつかましいので当初の予定どおり川入からタクシーを呼ぶことにする。

 途中、何とも細い樋状にえぐられた道を行き、最後は巨大なブナや杉の木が聳え立つ登山口へ下山。
 後は川入の民宿村から電話を入れタクシーを呼んで終わりのはずだったが、最後になってケチがつく。

  

 民宿村はケータイの圏外なのでどこかで電話を借りようと思っていたのだが、まるで人の気配が無い。
 とある一軒の玄関が開いていたので声をかけ、奥の方からようやく現れたオバちゃんが言うには「ここで電話してもいいけど、すぐ下に温泉があるから、せっかくだからそこ行ってみ。」とのこと。
 地図で「いいでの湯」という日帰り温泉があることは知っていたが、たしかここからは5~6km先だったはず。
 「いや、歩きだったらけっこうかかるでしょう?」
 「いんや、歩いても15分だから。すぐだから行ってみ。」

 

 もしや、また別に新しい温泉でもできたのかと半信半疑ながら歩き出したが、30分歩いても何も見えてこない。
 途中、渓流釣りのおじさんがいたので聞いてみると、やはり先の温泉までまだまだ距離があると言う。

 結局、アスファルトの道を歩くこと1時間以上。ようやく電波が入り、タクシーを呼んで事無きを得たが、一体どういうつもりだったんだろう。 (少なくともまだそれほど耳が遠くなく、ボケてもなさそうだったのだが)

 「いいでの湯」は入りたかったが、電車の時間もあり見送り。会津若松まで出て、駅からすぐの「富士の湯」へ行く。
 ちょっとゴテゴテ感があるが、390円で数々の風呂を堪能できて先ほどの怒りをようやま鎮めることができた。

 帰りは再び高速バス。
 飯豊は横浜からだと距離が遠く、交通費がかさむものと思い込んでいたが、今回往きのバスが4,700円、帰りはネットの早割りで何と2,500円!
 その他、JRや地元バスなどの運賃がかかるが、こんなに安く行けるとは思わなかった。
 次回はもう少し雪の残る時期、石転び沢からダイグラ尾根など歩いてみたい。

飯豊写真集


おまけ 飯豊・花の写真集



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