三日目
天候:
行程:起床4:20-出発5:50-稜線-神室岳(仙台神室)7:50~8:10-南沢二俣10:00-南沢出合10:50
二日目のテン場
昨夜、濡れた服は全て焚火で乾かしたつもりだったが、半乾きだったのか、夜半に少し寒い思いをした。
おまけに寝ている間に虫に刺されたようで、朝起きると左まぶたが腫れている。・・・やれやれ。
で、朝からまた焚火をして虫を蹴散らし、熊除けのためホイッスルを吹き鳴らして出発。
テン場から小滝や釜はまだいくつか続くが、銚子大滝を越えてしまうと源頭部は近い。
最後まで忠実に詰めず、稜線が近そうな適当な枝沢を選んで進む。
枝沢の上部もナメ滝が続く。
やがて水は涸れ、藪の中の微かな踏跡を辿るが、少しの藪漕ぎで済むかと思ったらここで大いにハマってしまう。
上越のシャクナゲ地獄ほどではないが潅木と熊笹の中をもがくこと20分。
真っ直ぐ南へ進めば絶対に登山道にぶつかることはわかっているのだが、なかなか抜け出せないのでちょっとアセった。
ヤブの中から見る神室岳。遠い・・・
ようやく道に出て、左手、東側にある神室岳を目指す。
ここものっぺりした山容だが、その割には急な登りで頂上直下はお助け用のトラ・ロープがFIXされていた。
トラロープを伝って神室岳山頂へ。疲れました・・・。
しばらく展望を楽しんだ後、最後の南沢下降に移る。
ここから先、道は無く、頂上の標識裏から熊笹に隠された僅かな踏跡を辿る。
しかしタケちゃんレポのとおり、踏跡は10mほどで忽然と消えてしまう。
眼を凝らして捜してみると、少し左にずれてまた踏跡が見つかったが、それもすぐに消え、再び藪の迷宮に突入。
先ほどの沢の詰め同様、赤テープの類は一切無し。
しばらくもがくが、方角はわかっていても背丈を越す藪の中を一人で進んでいると本当にこっちでいいのか、実は少しずつズレて違う方に向かっているんじゃないかと思えてくる。
沢らしい所に出る気配がまったく無い。
一旦、仕切り直そうと周囲を見渡すと、左手斜め後ろに5~6mの露岩を発見。まずはそこまで行って現在位置を確認することにする。
ヤブの中でランドマークとなる岩場
苦労しつつも何とか岩に辿り着き、その上から周りの地形を改めて頭の中にインプット。
で、露岩の裾からまっすぐ藪斜面を下っていくと、ほんの少し藪が開け、そこから今度は左に曲がる形で微かな踏跡が延びていた。助かった・・・か?
目印としてその分岐点の木に昨日拾った青いぼろスリングを結び付けておいた。(今後行かれる人の助けになれば幸いです。)
ほとんどこんな感じ
やがて踏跡は涸れ沢となり、少しずつ水も現われ、まずはホッと一息。
自分にとっては大行沢のゴルジュや銚子大滝を登るより、神室岳周辺の藪漕ぎの方が核心だったかも・・・。
下っていくにつれわかったが、自分のとった下降路は南沢の左俣のさらに左の枝沢だったようで、神室岳からは随分余計な藪漕ぎをしてしまったようだ。このあたり、まだまだ要修行。
南沢も下部はナメ。ここまで来れば一安心。
藪漕ぎで泥の染み付いたフェルト・ソールはズルズル滑り難儀したが、あせらず下降を続け、ようやく昨日の二口沢本流に戻ることができた。
二口沢本流に戻ってきた。最後までナメ。
ここから本流を行き、林道を通って二口温泉までせいぜい1時間半。
バスの時間まで多少の時間が残っていたので、最後の悪あがきで釣りタイムとする。
南沢出合から少し下の大きな釜に良いポイントを発見。上から覗くと25cm級だが、けっこう多く泳いでいるのがはっきり見える。
最後に一発逆転の豊漁で締め括りたかったが、なぜかここでもまったく釣れず。
一応、ブドウ虫に反応して近づいてくるのだが、目の前まで来るとなぜかプイと方向転換して食いつかない。「何でだろ~、何でだろ~」
時間も迫ってきて、結局打ち切り。はぁー、情けない。
昨日ヤな汗かいて登ったスラブ滝を左岸の巻き道で下り、最後のナメを堪能した後、林道に上がった。
スラブ滝を左岸の巻き道から下る
安全圏に着くとそれまで我慢していた爪先の皮が剥がれたところが一気に痛み出し、まともに歩けない。
平日だが、少しは一般車も行き来しているので、誰か親切な人が乗せてくれないかと願うが、皆さんサッサと素通りしてしまう。
二口林道から見る磐司(ばんじ)岩
ま、しかたないか・・と足を引き摺りながらトボトボ歩いていると、少し行ったところで写真を撮りに来ていた熟年夫婦が声を掛けてくれた。(ラッキー!)
このお二人は主に動物写真を撮っているようで、帰りの車の中で野生のクマタカやらツキノワグマを至近距離から収めた見事な写真を見せてくれた。
で、話は自然とイワナに移っていくのだが、ここで初めてショックな事実を知る。
「現在、この周辺の岩魚は例の原発事故の影響でセシウムが検出されたので釣り(捕食)は自粛せよ。」と、お達しが出ているらしい。
「ま、少しぐらいなら大丈夫だと思うけど。却って元気になったりしてね。ハハハ。」
とおじさんは笑うが、でもイワナがダメなら当然、沢の水も良くないってことでしょう?
けっこう飲んじゃったけど、ホントに大丈夫なのかっ!?
まぁ今さらジタバタしてもしかたない。
きっと今回、釣れなかったのは、そんなイワナを私にたくさん食べさせまいとする山の神の思し召しだったに違いない。(←涙目)
親切なお二人は「帰り道なので仙台まで送るよ。」と言ってくれたが、帰りの深夜バスまでのんびりしたいので途中で降ろしてもらう。まずは温泉。
磊々(らいらい)峡の「ホテル華乃湯」・湯テルメ
900円とちょい高めだったが、川沿いと林の中、二つの趣の違う露天風呂があって。
濡れた装備も乾かし、ゆっくりくつろいだ後、夕方になって仙台へ戻り、生ビールと牛タン・シチュー。
デザート?は地元の「末廣ラーメン」で締め。
牛タン食って、ラーメン食って・・・。
最後がちょっとショックだったが、二口山塊・名取川のナメは関東や奥秩父ではけっして見ることのできないスケールで見事だった。
横浜からだと東北の山はどうも遠いイメージがあるが、高速バスだと交通費も時間も北アへ行くのとそう変わりなく、これからもイワナを求めていろいろ出かけてみようと思う。
現場監督さんの記録をいろいろ見せていただきましたがすんごいですね。
また東北にお出での節はどこかご一緒させていただきたいです。
とはいっても難しい沢は無理ですが。
ではまた訪問させていただきます。
いやいや、全然すごくないです。
もう歳なので、できる範囲でボチボチと・・・。
そちらも毎週のようにお出かけですね。
今回、私は東北の沢は初めてだったのですが、それほど高くない山なのに奥深いし、癒し度も高くて新鮮でした。
トラ山さんのブログは写真も大きく迫力がありますね。
東北方面、高速バスだと意外と早くてエコノミーなので、これからちょこちょこ出かけてみたいと思います。
お薦めエリアあったら案内してくださいね。