二日目
天候:
行程:八ツ峰Ⅱ峰下の岩小舎5:13-池ノ谷乗越BC設営7:50-Ⅵ峰Aフェース中大ルート9:30-Cフェース剣稜会ルート12:50-八ツ峰上部-池ノ谷乗越BC17:00
4時起床、5時過ぎ出発。
まずはテン場を撤収。全装備を担いでⅥ峰フェースそばのインゼルまで歩を進める。
ここでロープ、ガチャ類をデポ。残りの宿泊セットを担いで池ノ谷乗越を目指す。
雪渓は次第に急になり、細かくジグザグに登っていく。
いくつか底の浅い亀裂を避けていくが、やがて乗越手前に大きなクレバスが立ち塞がる。
どこか抜け道はないかと偵察すると、向かって右端、雪渓から岩のバンドに下り、4m(アルパインのⅢ級)ほどの岩場を登れば上まで抜けられそう。
他にルートを捜すが、いいのが無い。
ただ、ここを越えて池ノ谷乗越に上がると、その後で再び下へ戻らなければならないため、ロープ無しでクライムダウンすることになる。
juqcho氏は少し難色を示すが、ま、行くしかないでしょう。
で、池ノ谷乗越に着いてみると一面雪に覆われ、三ノ窓への下り口のほんのわずかのスペースしか地面が出ていない。過去二回のGWの時より雪が多いぐらいだ。
運良く雪の庇で半カマクラ状になった所が自然のテントスペースを作っており、そこに私の年季の入った二人用ゴアライズを張る。
ベース設営を終えると、例のクレバスを慎重にクライムダウンし、デポ地のⅥ峰フェース近くのインゼルへ向かった。
時間は十分にあり、Ⅵ峰フェースは1ルートが3~4ピッチと短いので2ルート継続しようと話が決まる。
で、まずはAフェースの中大ルート。 (※以下、グレードは日本アルパインのRCC基準。ローマ数字で記載。)
1P目 Ⅳ+、40m 私のリード。
クラックからフェース、そしてコーナークラック。
下から見ると残置がどれほどあるか微妙だったが、登ってみるとけっこうベタ打ち。トポでは浅いチムニーとなっているが、どちらかというとコーナー・クラック。
同じ体勢が続き途中で窮屈になってくるが、左足を高く外側に出してステミングを決めていけばOK。ピッチ終了点には比較的新しい青スリング有り。
2P目 Ⅳ~Ⅲ、40m juqcho氏リード。
出だしがちょい立っていてホールド細かいが、すぐに手頃な易しさとなる。トポでは4級+となっているが、ほんのワンポイント。
3P目 Ⅱ、15m 私のリード。
ちょこっと上がって終了。
下降は這松を支点にして同ルートを懸垂。
juqcho氏が先に1ピッチ降りた後、私が続くが、ここでプチ・アクシデント。
上部でロープが浮石に触れたようで、ふいの落石。岩が大きくバウンドしたのでjuqcho氏は無事だったが、私は一瞬岩が掠めたようで左足首流血となる。
幸いしばらくして血は止まり、直撃したわけではないのでそのまま続行。
続いて、Cフェース・剣稜会ルート。
1P目 Ⅲ、30m juqcho氏リード。
昨日、長次郎谷で擦れ違ったパーティーが言ってたが、出だしで雪渓が覆い被さっていてビショビショ。ほんの一瞬だが、沢登り状態。
2P目 Ⅱ、35m 私のリード。
ほとんど印象に残ってない簡単なピッチ。終了点には結構新しいハンガーボルトが2つ。
イージーでロケーションもいいから、きっとガイド用のルートなんでしょう。
3P目 Ⅲ、40m juqcho氏リード。
出だしがちょい立っているが後は簡単なスラブ・フェース。岩峰左端のカンテ沿いに上がっていく。
上がった所で、上から降りてきた妙齢の女性二人組と鉢合わせ。懸垂途中でロープがスタックしてしまったらしい。
4P目 Ⅲ+、40m 私のリード。
このルートのハイライト。鶏冠状のスッキリしたリッジを快適に上がっていくが、岩はフリクションが効き、高度感が気持ちいい。
このピッチの写真はヒロケン氏の本やネット上でもよく見かけ、Ⅵ峰フェースの中でも人気なのがよくわかる。
引っ掛かっている女性パーティーのロープを解こうとしたが、さらに上で引っ掛かっているようで届かず。
5P目 Ⅱ、15m juqcho氏リード。
易しいリッジ。女性Pのロープも無事回収でき、剣稜会ルートも終了。
A、Cフェースを快適に終え、八ツ峰上部へ入る。
道は良く踏まれていて、ほとんど右側を巻く感じ。
途中二か所ほど短い懸垂をこなし、特に危なげなく池ノ谷乗越のBCに着。
17時着とちょっと時間がかかってしまい、それなりに疲れてしまったが、剱尾根の前座試合としてはほど良い感触。
気持ちを切り替え、明日も頑張りましょう。