KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

八ヶ岳・自主トレ-阿弥陀岳北稜

2014年03月08日 | アルパイン(積雪期)

天候:
行程:美濃戸口10:30-行者小屋テン場13:30~14:10-ジャンクションP15:20-第二岩稜15:50-阿弥陀岳頂上16:20~30-文三郎道分岐17:30-行者小屋テン場18:20
行動:単独

 今週末は谷川(一ノ倉沢)の予定だったが天気予報が悪く、またしても見送り。
 八ヶ岳の方は良さそうなので、代わりに一人で自主トレとする。

 先月二回の記録的大雪がどのくらいの影響か気になるが、事前に「赤岳鉱泉」のブログで確認してみたら、まぁ何とか行けそうな雰囲気。
 単独だと大したところは行けないので、一日目は阿弥陀北稜、二日目は赤岳南峰リッジ(余裕があれば硫黄岳まで)とする。もちろん雪の状態次第だが・・・。

 今週は女房が車を使うので、電車とバスを利用。
 初日は横浜を早朝発で美濃戸口に着くのが午前10時過ぎ、翌日の終バスには美濃戸口に16時半には帰ってこなければならない。
 2001年12月にも同じパターンでやっているが、はたして今回どれだけ行けるだろうか?

 茅野駅に着くと、バス停には予想以上の登山者の列。
 バスが出発し車窓から見る茅野の風景は、先月の大雪がまだたっぷり残っていて、まるでドラマ「北の国から」の富良野のようだった。

  
 賑わう美濃戸口                                   積雪多いアプローチ  
 
 美濃戸口に着くと既にマイカー組も相当入っているようで、アプローチでのラッセルは杞憂に終わった。
 快適なトレースに導かれ、一時間ほど林道を歩き、分岐から南沢沿いの道へ。
 雪が多いせいか、いつもと様子が違い、ルートも以前より右岸の高い位置に付け替えられたように思えるが、気のせいか?

 行者小屋までほぼノンストップで進むが、後半、重荷にバテて結局3時間近くかかってしまう。

  行者小屋のテン場

 行者小屋に着くと、整地もそこそこにテント(アライの「ライズ1」)を張り、しばし作戦を確認。
 14時を回り、これから取り付くには遅い時間だが、偵察がてら必要最小限の物だけ持って阿弥陀北稜へ向かう。
 前回も使わなかったので、今回ロープは最初から持参せず。

 テン場から少し上がると、すぐにトレースが二手に分かれ、一方は右手の阿弥陀北稜へと延びていた。
 さすが人気ルートだ。

 トレースに沿って進んでいくうち、やがて前方から4~5人パーティーが降りてきた。
 ラッセルの御礼を言い、話を聞くと、今日は偵察だけでこの少し上までトレースを付けたとのこと。アイゼンを置いてきたので、明日を本番にするらしい。
 「これから登るんですか?」と聞かれたが、時間も時間だし、この先一人でどれだけラッセルを強いられるか見当がつかない。
 まぁ行けるトコまでで止めときます。(それよりもここまでトレースありがとうございました。)

  ジャンクションP手前から見る阿弥陀北稜

 その後、急な深雪の斜面を登った所でトレースは終わっていた。
 ジャンクション・ピークまであと少し。
 ここまでツボ足で来れたが、ここでようやくアイゼンを履く。

 幸い、雪はイイ感じに締まっていて、深くは潜らない。
 ジャンクションの直下は部分的に60度はありそうな雪壁だが、雪の状態は良く快適に登っていく。
 第一岩稜も細い灌木の間を深雪がイイ感じに埋めていて、特に問題無く越えた。
 
 そして核心の第二岩稜。
 最初の岩場は左から回り込んで凹角の所から取付くはずだが、たしかその凹角ラインも二つあって、前回は手前側を登ったので今回は少し奥の方から取付くつもりだった。

  第二岩稜

 で、まずは岩場に沿って左手の雪の斜面を登っていくが、どうやら少し上がり過ぎてしまったようだ。
 しかたなく途中から急な雪壁を登って岩稜上に戻るが、登り着いた先はちょうど1ピッチ目の終了点だった。

 結局、最初の岩の部分を1ピッチ分巻いてしまったわけだが、今回は雪も多く、巻いた雪壁もそれなりにスッキリした登りだったのでヨシとしよう。

 続く2ピッチ目。
 以前見た時より傾斜は無いように感じたが、出だしはともかく、抜け口辺りのホールドとなる岩がほとんど深雪に隠されてしまってイヤらしい。
 雪を堀り起こしながら登るが、ほとんどスローパー状態の岩をグローブはめたまま登るのはちょっと(いや、かなり)怖かった。

 そして、最後のナイフリッジ。
 ここも雪が安定して先行者のトレースがあればスタスタと進めるところだが、今は細いリッジ上にフワフワの新雪がテンコ盛り。
 試しに一歩踏み出してみると途端に大量の雪がモサーッと落ちて、これで一気にビビッてしまった。

 しばらく迷うが、今は自分一人だけだし、ここはリッジ上に半分馬乗りになって進む。
 またがってしまえば、それほど怖くない。

  
 最後のナイフリッジを越えて

 リッジを渡り、後は最後のなだらかな斜面をひと登りで、阿弥陀岳頂上。
 既に陽は西に傾き、もちろんこんな時間に頂上にいるのは自分一人だけだ。
 
 今回はけっこう厳しかった。でもとにかく無事に登れた。
 頂上の標識はほとんど雪の中に埋もれている。これまで何度も来た冬の阿弥陀だが、これほど大量の積雪は初めてかもしれない。
 それでも南稜から上がってきて、そのまま御小屋尾根方面に消えていくまた新しいトレースが一つだけあった。
 見た感じ、単独行かせいぜい二人組のような足跡で、この深雪の中、南稜から登ってくるのは凄いと思った。

  
 道標がほとんど埋もれた阿弥陀岳山頂(右の写真は2005年1月に北西稜から登った時の同じ道標。どれだけ雪が多いかわかります。)

 一人だけの頂上を十分満喫した後、下山開始。
 雪の状態によってはけっこう悪いこの下山路も、今日は多量の積雪が功を奏して、それほど悪くない。
 でも、さすがにその先の中岳沢は今日は足を踏み入れる気になれない。
 一歩踏み込んだ途端、自分の身体が埋まりながら一気に雪崩れそうな気配が簡単に想像できた。

 おとなしく中岳経由で文三郎道の分岐まで稜線伝いに行くが、いつもは気にも留めないこの稜線も今日はそこそこ見栄えのする雪稜になっていた。
 分岐に到着。ここまで来ればもう安心だ。
 後は暗くなりかけた雪の斜面をヘッドランプの明かりがチラチラする行者小屋に向かって一気に下った。

  暮れなずむ行者のテン場

 写真集 2014年 八ヶ岳・阿弥陀岳北稜
 

 



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