KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

八ヶ岳・旭岳東稜(敗退)

2019年02月11日 | アルパイン(積雪期)
日程:2019年2月10日(日)~11日(祝)前夜発一泊二日
同行:ヒロイ(我が社の山岳部)
 
 さて、今週末は我が社の山岳部で中級冬山アルパイン。
 目指すは八ヶ岳東面の人気ルート、旭岳東稜。昨年3月に赤岳天狗尾根を登っているので、相方のヒロイ嬢には次はココと決めていた。
 もっとも三連休がずっと好天ならばツェルトビバークも含めて一気に権現岳東稜も登ってしまうつもりだったが、あいにく連休初日は東京でも雪が降る空模様。
 まぁ慌てず騒がず一つずつ片づけていきましょう。
 
 ちなみに旭岳東稜は私はこれで三回目。
 一回目は2002年3月に単独で(核心の五段ノ宮は左から巻き)、二回目は2008年2月に二人で直登ルートを登っている。
 あれからもう11年。はたして今回はどうなるか。
 
一日目 天候:
行程:道の駅・南きよさと-美し森P8:15-出合小屋10:20-旭岳東稜上ギャップ12:45-五段ノ宮下15:30(テント泊)
 
 前日夕方に茅ヶ崎発。圏央道~中央道経由で、その夜は小川山へ行く時によく利用する「道の駅・南きよさと」で車中泊とする。
 美し森の駐車場でもいいが冬季は水道もトイレも使えないし、それほど距離は離れていないので「南きよさと」の方が便利だと思う。
 
 美し森に着くと、驚くほどの車の数。まさかこれ全部、東面に入っているわけじゃないだろな。
 とりあえず準備を整え、出発。

 
 深雪も考慮して一応二人ともワカンを持参するが、歩き始めるとやはり雪は少ない。
 ほとんど靴が埋まらない程度の雪道を出合小屋までアイゼンを着けずに歩く。
 それでも先週は少しは降ったようで、前方に見上げる旭岳や権現岳はいい感じに真っ白だ。

 
 途中、一人が足を挫いたらしい三人Pと擦れ違い、出合小屋着。
 中には既に割と大きめのテントが三張、さらに赤岳寄りの平地にも二張あった。今日はどこに取付いているのだろう。
 
 この雪ではおそらくこの先は要らないだろうとワカン及びストックは小屋にデポする。
 メット、ハーネス、アイゼンを付け、改めて出発する。
 
 旭岳東稜へは手前の権現沢右俣から取付くのと、奥の上ノ権現沢側から取付くのと二通りあるが、今回はトレースに導かれ前者から。
 しかし、そのトレースはおそらく権現沢へアイスに行くパーティーのもののようで、二俣から先、旭岳東稜へ上がる際はけっこう急な斜面を自分たちでトレースを固めながら上がらなければならなかった。

 
 
 スネから膝まで潜る中を何とか稜に上がり、反対側の上ノ権現沢から上がってきたトレースと合流する。
 しばらくトレースを辿っていくと、やがてギャップ。
 それほどの落差はないが、ザックが重かったり、雪の付き方が不安定だと短いながらもロープを出した方が良い所だ。
 今回は長いスリングを使って通過。

 やがて前方に五段の宮が近づいてくるが、この辺りから稜はますます傾斜が強くなってくる。
 初めてのルートではないのだが、自分も歳を取ったせいか、こんなに急だったっけ?と何度も思ってしまう。
 途中の5mほどの雪壁は念のためロープを出して突破。
 
 
 
 その先で男性二人組に遭遇。出合小屋をベースにして軽荷で速攻を狙ったらしいが、ラッセルに時間がかかり、ビバークの用意無しでは今回はここまでとなり引き返すようだ。
 トレースの礼を言い、全装備担いでいる我々はそのまま続登。
 旭岳東稜はこのように二通りの登り方があるが、重荷が辛くとも自分は小屋をベースにせず、ルート途中にテン泊した方が確実で安全だと思う。
 
 さらに五段の宮直下の急斜面も草付きが一部凍っていて少し悪い。
 ザックが重いせいか新雪のステップも自分の重さですぐに崩れてしまい、難渋する。
 それでもたしか以前来た時に「五段の宮」の基部にテントを張っていたパーティーがいたはずだと思い、そこまで上がってみるとテン場としてはけっこう厳しい。
 今回は手抜きせずスコップを持ってきたので整地を試みるが、リッジの両側はスッパリ切れ落ちており、幅90cmのアライ「ライズ1」を張るのがやっとだ。

 
 左側の斜面にステップを刻み、何とかトイレも作り、シェルターに潜り込む。
 久々に間近に見る「五段の宮」は夕暮れのせいかもしれないが、ちょっと暗い雰囲気で、左の巻きルートもけっこう悪そうに見える。
 よくあの頃、何も怖れずに登ったな。
 
 今回は食料も軽量化でと言ったにも関わらず、ヒロイ嬢の用意した夕食はなかなかボリューミー。
 チーズをラザニアで挟み、さらにニンニクスライスを大量にまぶしたハンバーグ。

 
 梅酒を飲んで温まったら後はシュラフにくるまって寝るだけだが、その夜はけっこう冷え込み、二人ともあまり熟睡はできなかった。
 体感でおそらくマイナス20度ぐらいには下がったんじゃないだろか。この歳になると、冬山もけっこうキツイ。
 
二日目 天候:のち
行程:起床4:00-撤収7:30-出合小屋10:50-美し森P13:00 
 
 寒さと頻尿のため二回ほど夜半に起きたため、寝不足のまま起床。
 事前の天気予報では本日も晴れのはずだったが、空は曇り小雪が舞っている。
 
 明るくなるまで出発できそうもないので、のんびり朝食を摂り、様子をうかがうが天候はイマイチ。
 風が無いのはありがたいが、上部は灰色のガスに覆われ、視界はどんどん悪くなってくる。
 改めて五段の宮の取付きまで行き、1ピッチ目を観察するが、昨日は怖ろし気に見えた岩もよく見るとホールドがすぐに確認でき、前回登った時の手順が蘇ってきた。
 しかし、問題はこの曖昧な天気で、旭岳の頂上までは確実に登れる自信はあったが、その先のツルネ東稜の下降でホワイトアウトに掴まりトレースも新雪に埋まる可能性があった。

 
 
 ちょっと賭けになりそうだが、相方に聞くとやはり同意見。ここまで来て引き返すのはもったいないが、やはり天気の良い時にスッキリ登りたい。
 ということで、撤退決定。
 下りもそこそこ悪く、懸垂下降のため数回ロープを出す。
 
 
 
 途中で2パーティーと遭遇。ひと組は諦め切れず五段の宮だけでもと上部を目指していったが、もう一組は我々と同じく今回は諦めて一緒に下る。
 登って行った組も小屋ベースの軽荷なので、あまり無理しなければいいが。
 
 しかし、やはり下りはあっという間。
 昨日はしんどい思いをした登りもどんどん高度を下げ、出合小屋へ。

 
 
 デポしたワカン等を回収し、後はタラタラ林道を歩いて早い時間に下山。
 今回は運が悪かったが、無理をしないことが大切。また近い内、出直しましょう。



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