二日目
天候:のち
朝4時半起床。
タケちゃんは早くも起き出し、セッセと焚火の準備をしている。
ゆっくりと朝食を済ませ、再び遡行開始。
本日一本目の滝は逆層のスラブ滝で、朝一から濡れる気になれず、トットと右岸から巻く。
その先には白い砂地の絶好のテン場がいくつかある。しかし、入渓するパーティーが少ないのか焚火の跡などまったく見当たらない。
大岩の間から水流がほとばしるような小滝をいくつかやり過ごすと、こちらの腕を試すかのように手強そうな10~20m級がまだまだ出てくる。
二人して「またかよ!」といった感じで顔を見合わせる。まったくなかなか楽させてもらえない沢だ。
で、こちらはジェット水流のトイ状。
途中、大きな倒木が逆さに引っかかっているのを掻き分けて進み、V字の狭い放水路を行く。
それでもさすがに水が減り始め、中央に大岩を控えた二俣を水量の多い方を選んで二つほどやり過ごすと、何やらガスで霞む前方に不穏な雰囲気の中、茶色い巨大ガレが見えてきた。
いよいよ最後の大物「七丈大滝」(三段130m?)である。
デカい
たしかにデカいが、ただ最上流部だけあって水量は少なく、迫力・見映えとしては昨日出だしに見た「篠沢大滝」の方がインパクトは上か。
いずれにしても、この滝も沢登りとしては完全に巻き。
小休止し、何枚も写真を撮った後、右俣沿いの踏跡を辿って黒戸尾根に上がる。
ほとんどヤブこぎなしで樹林帯を抜けていくとやがて登山者の声が聞こえてきて、六合目辺りの登山道にポッと出る。
ここで完登の握手。
事前の予想を覆し、手応え十分。美しい緑のナメと豪快な滝が連続し、ワイルド感たっぷりの実に中身の濃い沢だった。
小休止した後は勝手知ったる黒戸尾根の下り。
疲れた身体に鞭打ちながら下山。少々の登り返しにウンザリしつつも、まずまずの時間に横手の駒ケ岳神社に到着。
(下山時はもっぱらお互いの頻尿やら便潜血の話題で、最終的には「胃カメラと尿道結石だけは避けたい」という結論に至った。)
いやはやお疲れさんでした~。
最後は最寄りの「藪の湯鉱泉」に寄ってみるが、奥の方にペンション風建物があって何だかハズレの気配が濃厚。
思わず躊躇してしまい、定番の「尾白の湯・べるが」に向かうが、こちらは夏休みということでナント満員札止め!
しかたなく、再び「藪の湯」に引き返し、「みはらし」というペンション風にお邪魔すると、ナントこれが正解。
風呂自体はそれほど大きくないが、正面に八ヶ岳を望む絶景の展望風呂。ガキんちょがはしゃぐ「尾白の湯」に較べれば全然イイかも。
鉱泉ではあるが、ハーネスの締め付けでできた私の股ズレのヒリヒリが入浴後キレイに治ってしまったので、効用もそれなりにあると思う。
料金500円で隠れた穴場としてオススメ!
p.s.今回、タケちゃんのチョイスで行ってみた篠沢だが、予想以上に良かった。
終点が甲斐駒黒戸尾根の中間部のため、黄蓮谷に較べると人気薄なのだろうが、その分、南ア特有の濃い自然が残され、変化に富む沢の内容はまったく遜色ない。
アプローチなどはむしろこちらの方が楽なので、もっと登られていい沢だと思う。
ただし、ロープやハーケン、カムなどは必須。巻きは赤テープ皆無で、際どい箇所も多々あり。ちょっとした小滝でもお互いお助け紐を何回出したことか。
気合を入れてかからないとそれなりにシゴかれ、何より「突破力」が求められる中級以上の沢である。
思った以上に良い沢で、ご一緒出来て楽しかったです。
篠沢大滝は確かに下棚に似てます似てます!
”登山大系”の南アルプス版はもう絶版されてるようですが、これで、この沢も日の目が当たる事でしょう(笑)
内容が濃く刺激的な沢で、とりあえず「篠沢教授に3000点!」といったところでしょうか。(古い?
「登山大系」無き後、今後ますますの「沢大系」の充実をお願いします。
また、よろしく。