新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃんとお父さんの日々。

大阪的、あまりに大阪的な 橋下徹とその時代

2011年12月16日 | 大阪
 橋下府知事時代の2009年3月発表の18禁ゲーム「大阪CRISIS ~姦楽街開発プロジェクト~」が、今日の事態を先駆的に予見していた?!

 「こんな猥雑な街、いやらしい街はない。 ここにカジノを持ってきてどんどんバクチ打ちを集めたらいい。風俗街やホテル街、全部引き受ける」

 この橋下府知事の発言を、2009年10月29日の読売が報じています(元記事は消えています)。このゲームの発表後、半年後です。

 まさしく〈姦楽街〉構想。もしかすると、橋下はそのゲームの話題をネットで見たのかもしれません。風俗が大好物だそうで、今回の選挙では風俗街が橋下応援に回ったという報道もありました。そういやホリエモンさんもAVのレビューをやっていました。下ネタ好きを隠さずオープンなのも、いまどきのヒーローの条件なのでしょう。

 ただ、橋下が人を引きつけるのも、底なしのダークサイドがあるからだと私は思いますね。この人に嫌われたくないとか、敵に回したくないというカリスマの条件を備えています。

 「大阪CRISIS」のレビュー的な何かを期待した人はごめんなさい。で、別のゲームの話を。

 私のソウルゲームは『大戦略IV』と『Fate Stay Night』です。『戦国ランス』の難易度☆5のオロチ戦に燃えまくりです。

 このゲームは戦国日本をモデルに、織田家の影番になったランスが、エロく天下統一をめざします。

 われらが「なにわ」は石山本願寺をモデルにした「天志教」の支配国。一揆軍の軍団名が「給料あげろー」「何でも反対」「人権まもれー」なのは、笑ってしまいました。それぞれ、労働組合・左翼団体・人権団体のパロディ、あるいはカリカチュアです。今回の大阪ダブル選挙で、「既得権益」として攻撃された人たちですね。

 橋下現象は、ネットはもちろん、ゲームやアニメ・コミックなどのサブカルチャーと一体になった動きでした。

 しかし、こういう時代の到来は、20年以上前から予想されていたことです。まだネットもPCも、ケータイもない時代から、その温床はあったのです。

 1990年ごろの早稲田の学園祭で(橋下の在学中です)、栗本慎一郎講演会がありました。その案内ビラが、村上龍『愛と幻想のファシズム』からの引用で埋め尽くされていたのには、おどろきました。肝心の講演者の栗本については、プロフィールの記載しかない。残りスペースは、「大衆=弱者=百姓は死ね」という、村上龍作品の引用で埋め尽くされ、大衆への呪詛と憎悪で満ちあふれていたのです。

 龍さんの初期の傑作『コインロッカー・ベイビーズ』には、世界を破壊する最終兵器〈ダチュラ〉が登場します。この全否定・総破壊の精神は、60年代ラディカリズムの精神の文学的到達点でした。

 1987年刊行の『愛と幻想のファシズム』は、情報化社会を舞台に、ハッカーを登場させた、たぶん最初期の作品です。しかし〈ダチュラ〉の呪文は、80年代後半には〈ファシズム〉の形しか取れなくなっていました。

 1990年代に入り、左翼反体制派に代わって武装蜂起したのは、オウム真理教でした。われわれは二重三重に敗北しました。

 オウムには高学歴な社会的エリートが大勢いて、「なぜ?」という話になったわけですね。

 ひとつだけいえるのは、あの時代、私の周囲には、オウム候補生はゴロゴロ転がっていたということです。

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 答えを求めつつ、得られぬもどかしさの果てに、ニーチェは風狂の人となった。
 「答えが出せないなら、こんな世界、オレが破壊してやる!」。

 少年はいつしか世界の破壊を夢想し始めた。

 「生命を人工的に作り出せたら、人間に価値などないとハッキリする。そうすれば人生の意義も道徳も崩壊し、人はただ欲望のままに生き、世界は滅ぶ」。

 京都大学工学部工業化学科に入ったのも、動機はこんなシナリオを実現させるためだった。

http://www.shinrankai.or.jp/koe/070822Nietzsche.htm
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 橋下徹も、この〈ニーチェを捨てた少年〉だったのかもしれませんね。

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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kuro-mac@osaka)
2011-12-16 12:21:08
嫌われてもいい。たくましく育ってくれたら。そして、もちろん「敵に見える」であって、敵ではないんですけどね(たぶん)。

そう見える理由は、次のエントリで触れているかも。

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Unknown (焚火派GALゲー戦線)
2011-12-16 20:08:09
 「大阪crisis」の宣伝ありがとうございます。この9月30日に再発売(ヒロイン1人追加で)されていますので、凌辱に耐性がある方はぜひ購入を。
 ストーリーをまとめたサイトがあるので、紹介します。
http://wiki.livedoor.jp/esosmw658/d/%C2%E7%BA%E5CRISIS
 それはともかくとして、当戦線は音感がないので、お尋ねしたいのですが「戦国ランス」のHシーンのBGMは「ああ栄冠は君に輝く」なのか「ドイツ民主共和国(東)国歌」なのかどちらなのでしょうか? 
 さて、別の話。 例えるならアリスソフトは18禁ゲーム界の自民党(ただし、自民党と違って反発は感じながらも作品の質は水準以上なのは認めざるを得ない。)。 elfは社会党→社民党(失礼ながら少なくとも新世紀以降は勢力の減衰は覆いがたい) ただ、近年の当戦線の好みは特にマイナーなものに。
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Unknown (くろまっく)
2011-12-16 22:14:32
アリスちゃんが雪の中くるくるしていました。春はセーラー、夏スク水、秋は巫女、ランスの起動画面には季節の移ろいを感じます。

音感どころか、
「極道は歌わぬ」
で、音楽何も知らない私がお答えしますよ。

やはり、ドイツ民主共和国国歌(廃墟からの復活)ではないでしょうか。YouTubeの関連動画に「ランス 我が栄光のメドレー」がありました。初期のCGには「思えば遠くへ来たもんだ」と思いました。
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Unknown (焚火派GALゲー戦線)
2011-12-16 22:38:59
 ありがとうございました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm1119631
 最初に聞いたとき、「お、東独国歌じゃね。」と確信もちましたが、後で「ああ栄冠は君に輝く」にも聞こえるかなと思ってましたが、先に検索してみれば良かったですね。
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Unknown (kuro-mac@osaka)
2011-12-18 00:05:42
アリスソフトは他にエスカレイヤー、エルフは同級生しか知らないけれど、自民党、社民党の例えはおもしろいですね。これぞ西高東低ですな!(違う)

香姫と謙信とウルザと虎子と球磨とノワールと蘭と傾国といわし姫の悪口は当ブログでは禁止します。

しかし「ハイパー兵器」「皇帝液」というファロス主義剥き出しなエロシーンには引いてしまいますね。吉本初観劇で「ペチャパイ」が笑いのネタなのに怒りで席立ちかけたの思い出します。「大」坂のマジョリティは、ステータスな希少価値の圧殺の上に成り立っているんだな。ちびデコロリ眼鏡の子鹿はかわいそうです。もっといいキャラになれたのに吉本ノリ(あえて「大」坂ノリとはいわない)が邪魔していますね。それから(以下5000字略

しかし、戦国ランス、販売10万、パッチ版100DLだったとか。

エロゲ業界が終わったという風潮
http://workingnews.blog117.fc2.com/?no=4576

大手とニッチに特化したメーカーだけが生き残れる構造がここにも。
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Unknown (kuro-mac@osaka)
2011-12-18 00:32:37
100DL→100万DLの間違いでした。
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Unknown (焚火派GALゲー戦線)
2011-12-18 19:33:04
 山中某は、モデルの人物も経過はともかく結果を取れば七難八苦で生涯を終えましたね。
 18禁ゲーム業界の終焉説は21世紀に入って常に流れていますよね。 ただ、確かに深刻さは増しているのはわかります。 基本的にはフルプライス版のボリュームのあるやつが高価でプレカリアートが入手をためらうようになったことが大きいと思います。(廉価版やヒロイン1~2名の安いDL作品を買う人まで含めたら人口はさほど減ってないのかもしれないが、売上金額は伸びない。) それとも関連しますが、「この作品をやっていれば取りあえず話のネタはある」というのが今は無い。
 自分用のパソコンを持つのが遅かった当戦線にとって「2大政党時代」はアリスとエルフではなくLeafとKeyでした。 この時代には「18禁ゲームの大衆化」が起こった時代で、その多くが保守反動的政治観を持つとはいえ、「対抗文化」の拡大としてその将来に期待しておりました。 しかしながら「大衆的」ということはラノベや一般アニメとの垣根が低くそちらにヒット作品が出れば、「ユーザーの非18禁世界への帰還」が系統的に起こり、東独のようにベルリンの壁を築いて衰退を止めるようなこともできませんでした。(何かこれ、本来の一向の後継者が真宗本願寺派に乗っ取られて一向の名すらも大抵の衆人から真宗系と勘違いされるのに至ったのに似ています)
 Leafの主に人事問題から来る威信の低下とKeyのCLANADを出す出す詐欺と出てみれば非18禁作品だったことで「第二次2大政党時代」2000年代の早い時期に終わりました。(97~01年) しかし、2001年あたりはそれ以外のメーカーから良作が輩出して業界の今後は決して暗くないと思っていましたが、そうではなかった。(D.O.が事実上消滅したり、活動を停止後再起したものの見る影もない「ねこねこ」とか)
 ただ、「商業エロゲー」として発売されたものは一応店に置くという販売店・販売サイトの網はまだ機能しており、「非18禁世界では決して全国販売されないであろう(エロが原因でなく、作品の万人受けのなさから)」ものが全国の大衆の手に取られる機会を提供する点が残っており、今後もその線だけでは生き残るものと。(「車輪の国・向日葵の少女」、「紅殻町博物誌」など)=あ、これニッチな作品さのままか=
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Unknown (kuro-mac@osaka)
2011-12-19 21:09:26
ゼロ年代のアニメ・ラノベとギャルゲーの関係は、80年代の自販機劇画とサブカルブームの関係を髣髴とさせます。

最後の2タイトルは覚えていました。三次会かどこかでレビューを拝見した記憶があります。そういや銚電を知ったのも「KANON」がらみの紹介記事でしたよ。銚電支援の頃は、わが弱小労組が某大手と戦争突入した頃。濡れせん食べながら、おれらもたこ焼き焼いてがんばろうと励まし合いました。

いつか、黒幕舎が本を作ることがあったら、ぜひギャルゲー戦国史編の執筆ご担当を。銚電支援からハシゲーまで、おもしろくなりそうです。タイトルは仮題「革命の道具と機械の本」。これからもごひいきにどうぞ。
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Unknown (kuro-mac@osaka)
2011-12-24 12:10:53
 そう、80年代のネオ・ファッショに「共鳴」していた部分が、当時も今も闘争を支えているんですよね。よく叱られますけど。(拍手コメントに)
 以下、Arisanさんの『思想のドラマトゥルギー』のレビューより。活動家時代、私も読み耽りました。いい本ですよ。
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 久野は、左翼からファシズムへの転向ということは多くあっても、逆にファシズム経験をくぐって左翼にやってくる人間の少ないことが、日本の運動にとって大きなマイナスになっているのではないか、ということを指摘する。……ファシズムに回収されかねない民衆の心情を、左翼的なロゴスによってではなく、その「想像力」への働きかけによって包み込むことが重要だとする林や久野が、ここで提示する武器は、「レトリック」というものである。
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http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20111221

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