ある人のブログで、『それ町』8巻のレビューを見かけた。
「あいかわらず」
このワンフレーズのみ。思わず笑ってしまった。
しかしそれでもこの作品を読んでしまう。読ませる。やはり、ただものではない。何だかんだといいながら、もう3回も読み返している。
オタコミュニストの紙屋研究所さんも言うように、石黒正数の作品は、後になるほど効いてくる。くせになる。この魅力を説明するのは、かなりむずかしい。
以下各話のメモ。微妙にネタバレがあるので注意。
◇第59話 笑ってごらん (歩鳥 3年進級時春休み?)
歩鳥の街デビュー(町ではなく)。デートの予行演習でもある。風邪のタッツン代理で、針原さんとアイドルのミュージカルに出かけた歩鳥。人生初ナンパは、バンズ病のお兄ちゃん。おばあちゃんにも迷子にも大モテの歩鳥。結果オーバードライブ(オールライトともいう)。
◇第60話 歩鳥となぞの王国 (第59話の前後?)
歩鳥が謎の王国へ。ジョセ似のポコ登場(でも名前はフォックス)。歩鳥はジョセフィーヌ王に会えるのか?
なぞなぞの一問目は解けたけれど、二問目はわからなかった。しかしポコはいつ見てもかわいいポコ。
◇第61話 大怪獣 尾谷高に現わる (歩鳥3年生・1学期)
映研の映画に主演することになった歩鳥。映研の福沢さんの代役。以前、中学でタッツン・針原さん・紺先輩と同じ中学の卓球部だった女の子。
この作者は、脇役キャラの扱いがうまい。映研部長の鈴木もそうだし、タケルの「メッシー」取材に協力した糸峰角緒(いとねすみお)もそうだった。顔見知りではあるけれど、特に親密なわけでもない人達。歩鳥の知らない所でも、この世界は廻っているのだ。
初登場の2年生の丹波凛ちゃん、美少女すぐる。特撮映画・怪獣映画が大好きなのもツボ。歩鳥が「オヤコドン」(尾谷〈オヤ〉高校だから)と名づけた怪獣も素敵。怪獣の学名は別にある
◇第62話 踊る大捜査網 (歩鳥2年生・夏休み?)
謎のドングリ教団登場(エビちゃんの家にも)。商店街のお店に残された謎のドングリは、何のメッセージなのか。安楽椅子探偵・歩鳥の推理やいかに?
オチに感心。作者はかなりのミステリの通である。
◇第64話 KAPPA QUEST (歩鳥2年生・夏休み)
いとこの真琴ちゃん再登場。天然成分たっぷりで、さしずめ北陸版・春日歩さん? でも学校の成績はかんばしくないらしい。歩鳥は学校の勉強はそこそこできる(ただし数学以外)。
タケル・ユキコがカッパに会いにいくお話。学校のあだ名が「ニンジャ」だけあって、ユキコのアクションがいい。
◇第65話 サインはB! (歩鳥2年生・2学期)
歩鳥と紺先輩。猫のコバン再登場(メイドの檻も)。
掲載順からいけば秋らしい。野球部は甲子園の終わる夏で引退だけれど、卓球部はどうなんだろう。国体があるから10月まであるのかな。
『木曜日のフルット』でも思ったけれど、猫を描かせてもうまい。
◇第66話 さよなら麺類 (歩鳥3年生・2学期?)
ラーメンを食べる歩鳥と真田。自宅で夕飯を食べないのか。
シーサイドに帰ると、この昔馴染みのラーメン店が店じまいすると聞く。
メイド服でなく私服で、タッツンがその場にいないのが、少し気になる。
「タッツンがここの天津麺が好きだった」という真田のセリフも過去形。3年生の秋で、バイトはもうお休みなのだろうか。
各話毎に、その話の歩鳥の学年・時期を付けてみた。雑誌掲載時には季節に合わせて描いている。61話では歩鳥はもう3年生なのに(モリアーキーに進路のことで怒られている)、63話では2年の夏休み。髪型で判別しているけれど、ときどき混乱する。まだ紺先輩の卒業は描かれない。
さて、アニメも始まり、単行本の帯のコピーは、「歩鳥がいるから大丈夫!」。
しかし「作者あとがき」では、正反対のことをいっているのがおもしろい。
「歩鳥が通用しない!…これまで大概の事は、その性格、人柄でどうにか収めてきましたが、歩鳥だからってどうにもならない事もあります」
この作者のテーマをいちばん強く感じたのは、最後の「さよなら麺類」。シャッター商店街の現状は、そう軽々しく扱ってほしくない。歩鳥もわかっている。
マンガだからって、どうにもならないことだってある。たんなるウソや絵空事と、フィクションはちがうのだ。長谷邦夫さんが、ある場所でこんなことを述べていたのを思い出した。
「最近の若い(そしてウマイ)人の作品からは〈幸せ〉みたいなモノしか見えません。『時代』『世界』は、決してそうではない!」
もっとも、〈幸せみたいなモノ〉しか描かせようとしないのも、この「時代」「世界」の作用である。この時流に逆らわないかわりに迎合も妥協もしない、石黒正数のプロ魂と職人芸。
「あいかわらず」
このワンフレーズのみ。思わず笑ってしまった。
しかしそれでもこの作品を読んでしまう。読ませる。やはり、ただものではない。何だかんだといいながら、もう3回も読み返している。
オタコミュニストの紙屋研究所さんも言うように、石黒正数の作品は、後になるほど効いてくる。くせになる。この魅力を説明するのは、かなりむずかしい。
以下各話のメモ。微妙にネタバレがあるので注意。
◇第59話 笑ってごらん (歩鳥 3年進級時春休み?)
歩鳥の街デビュー(町ではなく)。デートの予行演習でもある。風邪のタッツン代理で、針原さんとアイドルのミュージカルに出かけた歩鳥。人生初ナンパは、バンズ病のお兄ちゃん。おばあちゃんにも迷子にも大モテの歩鳥。結果オーバードライブ(オールライトともいう)。
◇第60話 歩鳥となぞの王国 (第59話の前後?)
歩鳥が謎の王国へ。ジョセ似のポコ登場(でも名前はフォックス)。歩鳥はジョセフィーヌ王に会えるのか?
なぞなぞの一問目は解けたけれど、二問目はわからなかった。しかしポコはいつ見てもかわいいポコ。
◇第61話 大怪獣 尾谷高に現わる (歩鳥3年生・1学期)
映研の映画に主演することになった歩鳥。映研の福沢さんの代役。以前、中学でタッツン・針原さん・紺先輩と同じ中学の卓球部だった女の子。
この作者は、脇役キャラの扱いがうまい。映研部長の鈴木もそうだし、タケルの「メッシー」取材に協力した糸峰角緒(いとねすみお)もそうだった。顔見知りではあるけれど、特に親密なわけでもない人達。歩鳥の知らない所でも、この世界は廻っているのだ。
初登場の2年生の丹波凛ちゃん、美少女すぐる。特撮映画・怪獣映画が大好きなのもツボ。歩鳥が「オヤコドン」(尾谷〈オヤ〉高校だから)と名づけた怪獣も素敵。怪獣の学名は別にある
◇第62話 踊る大捜査網 (歩鳥2年生・夏休み?)
謎のドングリ教団登場(エビちゃんの家にも)。商店街のお店に残された謎のドングリは、何のメッセージなのか。安楽椅子探偵・歩鳥の推理やいかに?
オチに感心。作者はかなりのミステリの通である。
◇第64話 KAPPA QUEST (歩鳥2年生・夏休み)
いとこの真琴ちゃん再登場。天然成分たっぷりで、さしずめ北陸版・春日歩さん? でも学校の成績はかんばしくないらしい。歩鳥は学校の勉強はそこそこできる(ただし数学以外)。
タケル・ユキコがカッパに会いにいくお話。学校のあだ名が「ニンジャ」だけあって、ユキコのアクションがいい。
◇第65話 サインはB! (歩鳥2年生・2学期)
歩鳥と紺先輩。猫のコバン再登場(メイドの檻も)。
掲載順からいけば秋らしい。野球部は甲子園の終わる夏で引退だけれど、卓球部はどうなんだろう。国体があるから10月まであるのかな。
『木曜日のフルット』でも思ったけれど、猫を描かせてもうまい。
◇第66話 さよなら麺類 (歩鳥3年生・2学期?)
ラーメンを食べる歩鳥と真田。自宅で夕飯を食べないのか。
シーサイドに帰ると、この昔馴染みのラーメン店が店じまいすると聞く。
メイド服でなく私服で、タッツンがその場にいないのが、少し気になる。
「タッツンがここの天津麺が好きだった」という真田のセリフも過去形。3年生の秋で、バイトはもうお休みなのだろうか。
各話毎に、その話の歩鳥の学年・時期を付けてみた。雑誌掲載時には季節に合わせて描いている。61話では歩鳥はもう3年生なのに(モリアーキーに進路のことで怒られている)、63話では2年の夏休み。髪型で判別しているけれど、ときどき混乱する。まだ紺先輩の卒業は描かれない。
さて、アニメも始まり、単行本の帯のコピーは、「歩鳥がいるから大丈夫!」。
しかし「作者あとがき」では、正反対のことをいっているのがおもしろい。
「歩鳥が通用しない!…これまで大概の事は、その性格、人柄でどうにか収めてきましたが、歩鳥だからってどうにもならない事もあります」
この作者のテーマをいちばん強く感じたのは、最後の「さよなら麺類」。シャッター商店街の現状は、そう軽々しく扱ってほしくない。歩鳥もわかっている。
マンガだからって、どうにもならないことだってある。たんなるウソや絵空事と、フィクションはちがうのだ。長谷邦夫さんが、ある場所でこんなことを述べていたのを思い出した。
「最近の若い(そしてウマイ)人の作品からは〈幸せ〉みたいなモノしか見えません。『時代』『世界』は、決してそうではない!」
もっとも、〈幸せみたいなモノ〉しか描かせようとしないのも、この「時代」「世界」の作用である。この時流に逆らわないかわりに迎合も妥協もしない、石黒正数のプロ魂と職人芸。
さよなら麺類、本当に切なかったですよね。メイド長も私服だし、
「メイド」の貼り紙も消えてるし。
タッツンがいないし!
阪神淡路大震災直後の宝塚に寄ったとき、
もちろん宝塚も大変だったんだけど、
神戸を思えば。……
「それでも町は廻っている」
神戸ではあんなにたくさんの人が死んだのに、
震災前と変わらぬ優しい宝塚の夜景に、
うれしいようなくやしいような気持ちになりました。
過去エントリにリンク
よかったら読んでください
「それでも町は廻っている」2巻
http://gold.ap.teacup.com/multitud0/237.html