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藤野可織著「青木きららのちょっとした冒険」

2023-01-28 17:56:26 | 日記
この本を読むと、またこの社会で女性であることへの絶望がふつふつと再燃してくる。
藤野さんはそれを狙って書いている。
昨年11月に発刊された新刊本。割と早く予約したのか、一月中旬には図書館から回ってきた。
最初は、とてもつまらなく感じて、私には、ポップ(装丁も)でファンタジーすぎたのか、なんのこっちゃ?な内容。ところが、3話目ぐらいから、上野千鶴子氏のフェミニズムを小説として書き上げたんじゃないのかこれは!とそんな感じを強く受けた。
「夫が戦うことなく得るものを、自分は戦わないと得られないというのはどうにも納得できないことだった。」
また「愛情」ではこんな記述も
「ここは愛情が制度の肩代わりをすることがないよう整備された社会だけど、(略)べつに愛情を抱くのは悪いことじゃない。人は助けあって生きていくのだし。ただ、愛情は人質に取られる危険があるから気をつけなければならないというだけで…」「仕事に結びつかない趣味、たとえば恋愛みたいなものは彼女にとって用無しだ。(略)彼女ほど人を愛さない人をきららは知らない。すごくかっこいい、ときららは思う」などなど。現状の鬱憤に切り込みを入れる鋭い描写が続く。
また、この現代に住む人々は徐々に管理されていき、それを良しとする人、しない人、なにを選んで生きていくか?大きなテーマもはらんでいる。
とにかく、最初こそなんだかなだったがしだいに、怒りや同意をビシバシ感じなら興味深く読み進めた。
全9話だが、全編に青木きららが登場。人気芸能人であったり、カメラマンだったり、男の子だったり、少女だったり、おばさんだったりするのも粋な設定。
まあ、私のことだから女性問題がテーマだから、図書館で予約したんだろう。