1月27日、1年ぶりのポゴレリチのコンサートに行ってきました!
ショパン:前奏曲op45
シューマン:交響的練習曲
シベリウス:悲しみのワルツ
シューベルト:楽興の時
…全部「シ」から始まる作曲家だ(笑)
2013年のオール・ベートーヴェンのコンサートから皆勤賞のポゴレリチ。よく知っている曲でさえ毎度新たな発見をさせてくれる演奏ですが、10本の指に10人の声楽家を従えているポゴレリチの両の手。解釈だけでなく、その音色の多さに毎度感動します。悲愴の2楽章でその感覚を味わってから必ずコンサートに行くようになりました。
ポゴレリチと言えば異常なスローテンポで話題になりますが、それは結果的に現実の時間が長いのであって、聴いている人間の受けた感覚としてはそこまでではないのかな、という感じがします。
cis-mollでまとめられた前半。悲しみのワルツの最後のGからそのまま始まるシューベルト。
恐らくこの日最も感動的だったのはシューベルトかもしれません。演奏者も聴衆もまさに「楽興の時」でした。まるで室内楽や小編成のオケを聴いているよう。
しかし個人的にはシューマンに心底驚きました。バロック的な手法でまとめられたテーマ(ゲマトリアで13という意味ありげな数になりますが、関係はなさそう)から成る変奏は確実な響きの基に構成されていきました。思いつきや即興要素を一切排した、ある意味完璧に練られた音楽でした。ポゴレリチの考えた音楽がそのまま現れたような気がします。シューマンにせよシューベルトにせよ今まで聴いたことのない解釈であったかもしれませんが、ポゴレリチによる深い譜読みによって説得力のある演奏になっていました。表面的なテンポの問題はそこまで重要ではありませんでした。我々が普段一般的に持っている富士山のイメージが山梨側であるのに対し、ポゴレリチは静岡側から見た富士山をイメージしているといったところでしょうか。つまるところ見ている物そのものは同じでも、見る視点が違うというだけな感じです。
彼のコンサートはいつも楽しいですが、1つ難点があります。500円で販売されるプログラムです。本人の言葉ではないのは仕方のないことなのですが、音楽学者という人が「〜かもしれない」や「〜ではないだろうか?」ばかりというのは正直厳しい💦そこは100歩譲ったとしても、CDの曲目など誤情報がいくつか見受けられた。それはあまりにも…と思う(誤情報はライターの責任ではけれども)。500円とはいえお金を払っているので確認はしていただきたい。これまでの来日情報やその時のプログラムを見るのはとても面白いだけに残念に思ってしまった。
すでに来年の来日も決まっているとのことなので、彼の演奏を聴けるのを楽しみに待ちたいと思います。
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