左右で浮いた草
髪に付きそうな雲
心臓が下って行く感覚
喉元から抜けて行く筋肉
抜けかけた首根っこ
骨だけを置き去りに
肉が草へ隠れていった
墓前で手をついて願った
黒服の人形が私を
慰め、ど突き、引きずって
森の奥へと連れて行こうとした
私はただ、願った。
こんな雨が黒い日はなかった。
こんな冷たい空気じゃなかった。
こんな空いた部屋に居た事なかった。
私のただいまを聞いてくれる人が消された。
一人分の食器が破られた床で血を流した。
赤く赤く模様替えをした。
打ち続けてトンカチが肉ドレスを纏った。
クイハヒッコヌイタ。
はずなのに。
私は願った。
水が黒い。
ドアノブがドブにまみれて
私の老後が鏡に映る
私は叫び願った。
容赦無く墓石を叩く粒
抱きついても守りきれない
私は、ネガッタ。