ライフ&キャリアの制作現場

くらし、仕事、生き方のリセット、リメイク、リスタートのヒントになるような、なるべく本音でリアルな話にしたいと思います。

61.キャリアコンサルティングの目線

2016-11-05 23:09:41 | 仕事 キャリア ライフキャリア
 キャリアコンサルタントの活動領域の中で、現状ではその多くがハローワーク等の就職マッチングの場で働いている。基本的にはどの領域であれ、まず相談者の話をよく聴くことで関係を構築し、見立てをして、その人に合った展開へとつなげて行く。

 かつては、職業紹介機関等の中には、上から目線で事務的な対応をする職員が少なくないと言われた。勿論、親身になって懸命に仕事をする職員もいたが、「目線を下げて相談者の話を親身に聞くように」と上司から指導され戸惑う職員も少なからずいた。

 しかし、言葉尻を捕らえるようだが、「目線を下げる」という言葉の裏には、どこか“お上意識”のようなものがあると思う。相手を下に見て、目線を下げてやってる、俺(私)が何とかしてやるという意識が隠されてはいなかっただろうか。なかなか就職できない、自分の思い通りにならない相談者は、事務的にあしらうようなことはなかっただろうか。

 確かに、相談者にもいろいろな事情や価値観を持った人がいる。非常識な人間もいるし、相当困難な事情のある人もいるから、腹立たしいことや面倒に思うことも、人間だからあるだろう。しかし、そんな溝や壁は「目線を合わせる」努力をすることで、緩和されたり解消されることもあるというのが私の実感だ。目線を合わせるとは、つまり、無条件の肯定的配慮と共感的理解に努めることだろう。

 以前にあるハローワーク職員から聞いた話がある。「ここには仕事をなくした、つらい気持ちや状況の人が来るのだから、あまり明るい挨拶や笑顔はいらない。」ここにも、上から目線の臭いがする。相手への配慮は必要だが、暗く希望が持てない雰囲気の中で前向きな気持ちになれるだろうか。見下されたと感じた相談者は来なくなるだろう。

 さまざまな事情や価値観を持った一人の人間として、対等な目線で、限られた時間と場所の中で誠実に向き合えばいいと思う。

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