3月1日、大阪市議会は橋下市長に市教委などの調査権限を与える条例案を維新、公明、自民の賛成で可決しました。可決した条例は、教育内容への無制限の介入を可能とするものです。しかも条例は、いじめや体罰などの「重大案件」が対象のように報じられていますが、そうではありません。
条例には、市長に調査権限を与える場合として
(1) 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するために事実関係を明らかにすることが必要であると認めるとき
(2) 住民の福祉に重大な影響がある本市職員の職務の執行について、法令等(法律及び法律に基づく命令並びに条例及び規則(地方自治法第138条の4第2項に規定する規程、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する管理規程その他の地方公共団体の長以外の機関の定める規則その他の規程を含む。)をいう。)に違反するおそれがあり、住民の福祉を確保するため必要があると認めるとき
となっています。これらに該当するかどうかを判断するのは、市長自身であり、あらゆる問題への調査権限拡大を含んでいます。また、対象も教育委員会に限らず市の行政全体となっています。
<可決された条例>
公正な職務の執行の確保のための市長の調査権限等に関する条例案
(目的)
第1条
この条例は、本市職員の職務の執行に関する市長の調査等の権限及び市長の調査等に対する本市の機関の協力義務を定めることにより、本市における公正な職務の執行を確保し、もって市政に対する市民の信頼を確保することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において「本市の機関」とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2編第7章の規定に基づいて設置される本市の執行機関、消防長又は公営企業管理者をいう。
2 この条例において「本市職員」とは、本市の機関の職にある者、地方自治法第138条の4第1項に規定する委員会及び同条第3項に規定する附属機関の構成員並びに本市の機関の事務を補助する職員をいう。
(市長の調査権限等)
第3条
市長は、次の各号のいずれかに該当するときは、本市職員の職務の執行に関する調査を本市の機関に求め、又は自ら調査を行い、若しくは専門委員に調査を委託することができる。
(1) 人の生命、身体、健康、生活又は財産を保護するために事実関係を明らかにすることが必要であると認めるとき
(2) 住民の福祉に重大な影響がある本市職員の職務の執行について、法令等(法律及び法律に基づく命令並びに条例及び規則(地方自治法第138条の4第2項に規定する規程、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第10条に規定する管理規程その他の地方公共団体の長以外の機関の定める規則その他の規程を含む。)をいう。)に違反するおそれがあり、住民の福祉を確保するため必要があると認めるとき
2 本市の機関は、前項の規定により市長から調査を求められた場合には、当該求めに係る調査を行わなければならない。この場合において、本市の機関は、地方自治法第180条の7の規定に基づき、市長と協議して専門委員に調査を委託することができる。
3 市長は、第1項の規定により、自ら調査を行い、又は専門委員に調査を委託しようとする場合には、あらかじめ本市の機関と協議するものとする。ただし、証拠の保全に支障が生じると認められるときは、この限りでない。
4 本市の機関及び本市職員は、第1項又は第2項の規定により市長、専門委員又は本市の機関が行う調査に協力しなければならない。
5 市長は、第1項又は第2項の規定による調査の結果、人の生命、身体、健康、生活若しくは財産に危険が生じ、若しくは生ずるおそれがあり、又は住民の福祉に重大な影響があると認めるときは、本市の機関に対し、調査の結果に基づいて必要な措置を講ずるよう求めることができる。
(市会への報告)
第4条 市長は、前条第1項の規定により、調査を本市の機関に求め、又は自ら調査を行い、若しくは専門委員に調査を委託したときは、その旨を市会に報告するものとする。
(施行の細目)
第5条
この条例の施行に関し必要な事項は、市規則で定める。
附則
この条例は、公布の日から施行する。
「大阪教育条例NO!」ブログからの転載です。
(転載 by ウナイ)
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