をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

第37回 東京国際映画祭~今宵の1本「宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」

2024年11月01日 | 映画
「宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」

©東北新社/著作総監修西﨑彰司

屋外上映でやっていたので、懐かしくなって観てしまった。
「地球か…、何もかもが懐かしい…」と、沖田艦長の名言とともに涙があふれた第1作に続き、作られた第2弾の作品だったと記憶している。
松本零士先生の原作を元にTVシリーズから映画へ、そして空前のブームとなった第1作とは違い、オリジナル感満載の本作。
リアルタイムで劇場で観たときは、これまた衝撃でした。
「ヤマトの諸君」のデスラーも再登場するし、最後は誰もかれも…悲壮感漂う内容に。
インストゥルメンタルだが、「真っ赤なスカーフ」が流れてくると、涙腺がうるんでくる。
そして、最後はジュリーの歌でエンドロール。当時はなぜ、ささきさんでなくジュリー?と思ったが…。

ああ、雨の中、最後まで観てしまった。
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第37回東京国際映画祭~今宵の1本「英国人の手紙」

2024年10月31日 | 映画

映画「英国人の手紙」

舞台は南部アフリカのナミブ砂漠。
父親の残した手紙を探しに、老小説家が旅をしていく話。
途中、手紙を見つけた2人の若者の話が挿入され、サイの角の密売や、内線、兵役逃れで辺境の部族村に行き、祈祷師の女性と出会って結婚したりといった話も現代のアフリカを垣間見させてくれる。
特に、辺境の地の部族のシーンは、今でもこうやって暮らしている人もいるのだと、その風景とともに見る価値がある。

手紙や日記を最終的に手にし、主人公はどんな思いを持ったのだろう。
それは、焚火を一緒に囲んだ同行女性との会話で分かるだろう。

内容的には、単館映画館でかかるような感じの映画であった。
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第37回 東京国際映画祭~今日の1本 「港に灯がともる」

2024年10月30日 | 映画
©Minato Studio 2025
映画「港に灯がともる」

東京国際映画祭は日比谷を中心に、有楽町・銀座も含めたエリアの映画館で行われています。
本日見たのは日本映画「港に灯がともる」です。

ストーリーの底にあるのは、阪神・淡路大震災。
震災の年に生まれた女性主人公を通して、いろいろな問題が浮かび上がるストーリーになっています。
最初に、主人公が心の叫びを吐露している場面から始まり、何にあてどない怒りなのか悲しみを抱えているのかが、成人式あたりにさかのぼって演じられます。それは、震災に遭った世代とそうでない世代の親子の意識のぶつかりだったり、両親の離婚や国籍の問題だったり、主人公の心を激しく疲弊させていきます。
港の造船所に就職し、一人暮らしをはじめたものの、とうとううつ病になってしまうのです。
通院するがよくならず、勧められた医院のカウンセリングの場で、回復していく主人公。

そして、新たな一歩として、小さな建築設計プランナーの会社に就職し、震災があった町の市場の再建という仕事と向き合っていきます。
ここから本編に入っていきます。
設計士も、あることを抱えているし、コロナ禍もあり、、主人公はどう向き合っていくのか…。

実際の場所映像や、実際にあったであろうことやイベントのようすなども取り込まれています。
単年に取材した上での作品ということで、しっかりした土台の上に、物語がきちんと乗っているといえます。

主人公役はNHK朝の連続小説「ブギウギ」で、主人公・笠木さんの印象的な付き人を演じたあの子(富田望生さん)。
あのときは、押し出しが強く田舎丸出しのブーちゃんな女の子を演じていましたが、本作では同じ顔ではありますが、きれいな年相応の美しさがあり、役によって違う。やはり女優さんなんだなと、思わせてくれました。

心をどこにぶつければいいのか泣きわめいていた彼女が、自分の意志で歩み始めたことがわかるラストは、小さな感動がありました。

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第37回 東京国際映画祭~今日の1本「劇映画 孤独のグルメ」

2024年10月29日 | 映画
映画「劇映画 孤独のグルメ

©2025「劇映画孤独のグルメ」製作委員会

昨日から始まった第37回東京国際映画祭。え、もうそんなになるの、というくらい参加させて頂いています。
今年の審査委員長は、トニー・レオン。
どこかで見かけられるかな~?(でも、私服になると普通のおじさんになってしまうのが残念。)

さあて、今日からガンガン観ましょう。
本日は、TVをつけると途中の場面からだがよく見かける「孤独のグルメ」の映画版。
それにしても、個性的な番組でグイグイと惹きつけるのが上手なテレ東さん。
主演の松重豊は、これで名脇役のおじさんの中からググっと全国区になりましたね。

でも、お店に入って食べるだけはTVの30分なら耐え得るけど、映画は難しいんじゃないの、と思った皆さん、当たりです。
だから、松重演じる主人公の井之頭五郎が、フランス・パリや韓国まで遠征、しかも、ある人物の依頼を受けて、食材を探しに行くというストーリーを、きちんと組み込んでいます。ただ食べて「うーん、これはいい」と言っているばかりではないのです。
それに、くたびれたサラリーマンかと思っていたけど、そうではないんですね。
なんとなくTVで観ていた人も、五郎さんがどんな人なのかがはじめて分かるかも。

もちろん、食べて、ぶつぶつ語るシーンは随所にありますので、お楽しみに。
TV版での本作ヒットの背景には、食べるシーンがおいしそうなだけでなく、松重さんの食べ方、つまりきれいに食べるというのが、好評の理由の一つのようですね。
映画でもいかんなく発揮されています。

それに、昔の日本映画にはよくあった、「そんなばかな~、ありえ~ん」といったシーンもあり、映画の楽しさを感じました。

最後には本作パロディも。ちなみに五郎役は、脇役界で似た位置のあの人が、三軒茶屋さんとして出演しているのもオマケです。
ま、気軽に観れる1本です。

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オッペンハイマー(映画)

2024年05月02日 | 映画
映画「オッペンハイマー」

好きな監督を聞かれれば、真っ先に挙げるうちの一人ががクリストファー・ノーラン監督だが、アカデミー賞(2023年)を撮った時点で日本は未公開だったこと、日本の過去の歴史に関わる内容であることもあり、めちゃ混みや席がとれないことが予想されたため、日本公開からしばらくたってから観に行くことにした。

いくつかのストーリーが走っており、どこの立場から観るかで何度も見直すことができる。
人類の存亡にかかわる話、発明と戦争、男女関係や男の嫉妬といやがらせなどの個人的な観点まで。
そして、主人公のオッペンハイマーに対し、出番は少ないが重要な役として、アインシュタイン博士が出てくる。
なぜアインシュタインは偉人として誰もが知っているのか、浮かび上がってくるような演出だった。

もう一人、主人公の人生を狂わそうとする議員(ロバート・ダウニーJr)が、出てくるが、まさに社内のパワハラと同じ。
自分が悪口あるいは無視されたと誤認して思い込んで、主人公を貶めていくのだ。
のちに、公聴会で科学者たちの抗弁によって疑いがはらされるのだが、その年月は戻ってこない。
疑いが晴れたきっかけの一つとして、「若手のケネディという議員が反対票を投じた」という一言が。その時代感が分かるし、いまだに欧米の人々にとって自由や希望といった名前なのだなと分かる。映画の中では一瞬の短い言葉だが。
最後に、監督は時間をさかのぼって起点となる場面に戻る。主人公らはそんな小さいことではなく、大きなことについて話していたのだということが分かる。

史実としては、目的がなくなったのに、ひどすぎると痛切に感じた。
あっさりと描きすぎだという意見もあったようだが、黒焦げの人やただれた人を主人公の幻影として見せ、ただれていく女性を監督の娘さんが演じているというから、観た人にわが事に感じてほしい、こういう目に家族を遭わせてはいけないという思いからではと思いたい。

そのほか、
キリアン・マーフィ―も好きな俳優の一人だが、実在する人物に近づけようとしたのか加齢か、ずいぶん老け込んだ感じがした。
ただ、彼の持つ危うさや人間としての弱さを見せる演技は、合っていたと思う。

ノーラン監督については、
時制が行き来するのはいつも通り。
女性に対する忸怩感も共通している。今回の愛人役が裸のシーンが多いのだが、特に聴聞室での奥さんの前での演技・演出は、女性というより蛇のように見えた。奥さんも不倫からだから、主人公の女性関係のだらしなさも分かるが、後味の悪いシーンだ。
テーマとしていつも物理学が根底にあるが、今回はそのものの話だった。同僚が「戦争のために物理学を使いたくない」と、袂を分かつシーンなどもあり、今回は理念の問題まで踏み込んでいる。
監督並みに逆行すれば、「テネット」「ダークナイトライジング」などにもその脅威が描かれていたと思う。




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