をとなの映画桟敷席         ~ほぼ毎日が映画館

映画取材から編集裏話まで、るかのここだけの話を忘れた頃にアップします

エンパイア・オブ・ライト(映画)      ~そろそろアカデミー賞 第2夜

2023年01月25日 | 映画
映画「エンパイア・オブ・ライト

アカデミー賞の前哨戦ゴールデン・グローブ賞が発表され、この間紹介した「イニシェリン島の精霊」が、最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀脚本賞を獲得しましたね。作品賞がミュージカル・コメディ部門だったので、あ、そうなんだと思いましたが。

さて、今回紹介する「エンパイア・オブ・ライト」では、主演のオリビア・コールマンが主演女優賞にノミネーションされましたが、最優秀女優賞は「ター」のケイト・ブランシェットの手に輝きました。残念。

とはいえ、座長として本作をぐいぐい引っ張っていくのはオリビア。
本作の出演者で有名な俳優はコリン・ファースくらい。ですが、なんだか残念な人の役。でもそのおかげで変に突出せず、あとはあまり知らない人ばかりなので、生き生きとした群像劇としてストーリーが立つのかもしれませんね。
監督はサム・メンデス。

舞台は昔懐かしい感じの映画館。たまには名士の集まる場所にも使われる。その劇場のもぎりをしているのが主人公の中年女性。
そこへ黒人の若い男性が働くことになり…という話。
この主人公が若い男性とすぐ恋愛関係になるのがちょっと違和感を感じるが、その他の老若男女の人も含めて、それぞれが負い目を持ちながら必死で毎日を生きているんだというのが描かれているように思った。
途中、あれ、ギレルモ・デル・トロのあの作品にシチュエーションが似てるんじゃない?と思ったところも…。
あの日、あのとき、的な内容です。

2月23日から全国公開

(ストーリー)
 現代映画界&演劇界が誇る名匠サム・メンデス監督が満を持して、5度アカデミー賞作品賞を世に送り出したサーチライト・ピクチャーズとタッグを組んだ最新作。舞台は1980年のイギリス南岸の静かなリゾート地。本作はそこに生きる人々の絆と“映画と映画館という魔法”を力強く、感動的に描く、珠玉のヒューマン・ラブストーリー。
キャスト
オリヴィア・コールマン, マイケル・ウォード, コリン・ファース, トビー・ジョーンズ, ターニャ・ムーディ, トム・ブルック, クリスタル・クラーク
監督・脚本
サム・メンデス


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イニシェリン島の精霊(映画)~そろそろアカデミー賞・第一夜

2023年01月09日 | 映画
映画「イニシェリン島の精霊」

そろそろ近づいてきましたアカデミー賞。
ノミネーションが予想される作品を紹介してみよう。

初日は「イニシェリン島の精霊」。
題名だけ聞くとファンタジーかと思ってしまうが、「スリー・ビルボード」の監督作品と聞けば、かなり厳しい内容の話だろうと推測される。
映画って、ストレートに訴えたいことを伝えるものと、終わった後に観客に考えさせるものがあるが、これは後者だろう。

ますはストーリー。
場所はアイルランド、時は内戦が続いていた頃の設定。砲弾の音がやまない本土と違い、海を隔てたイニシェリン島はのどかでいつもと変わらない時間が流れていた。しかし、いつもパブで酒を飲みながら馬鹿話をしている友人が何だか態度が違う。
自分に話しかけてくれるなというのだ。
音楽創作の世界に没頭したい、お前の馬鹿話に付き合う暇はないという。
理解に苦しむ男は、何とか元通りの関係に修復しようと模索するが、相手はあろうことか、これ以上話しかけたら自分の指を切るというのだから穏やかではない。
でも、それは実行され、物語はエスカレートしていく。

そんなばかなという場面が後半次々と重なる。客観的に見たら、そんなことしなくても平穏に暮らせるのに、エゴとエゴのぶつかり合いが続いていく。
そして主人公の妹も、最初は何とかしようと間に立ったりするのだが、最後は見限って本土へ行ってしまった。

現在、世界で起きている争いを描いているのだと思うが、本人たちだけでなく、周囲の人間などもなぞらえているのではないか。
特に、ロバというのは象徴的な意味合いを持つから、主人公が豹変するきっかけとなったのだろうか。
最後に、本土からは砲弾の音が聞こえなくなった、というのは希望か願望か。
いろいろ見終わってから考える余地のある作品だ。

そしてなんだか、彼らが精霊なんじゃないかと思えてきた。

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