池田浩子監督は指導に当たって決して押しつけはしない 山陽新聞文字起こし

2021年5月21日(金)、山陽新聞朝刊文字おこし

タクト　リーダーたちの指導論

池田浩子監督(サッカー・作陽高女子)

池田浩子監督は指導に当たって決して押しつけは
しない。自主性を重んじ、成長を促す=美作市

自主性重視　成長を促す


高校女子サッカーの頂点を決めるピッチに甲高い声を
響かせる。「思い切って仕掛けよう」ー。

ノエビアスタジアム神戸(神戸市)で1月10日に行われた
全日本高校女子選手権決勝。前回覇者の藤枝順心
(静岡)に敗れ、初の全国制覇こそ逃したが、
作陽のスタイルは見る者を引きつけた。

DFが前線に飛び出したかと思えば、FWは中盤で攻撃を
組み立てる。複数の選手が目まぐるしくポジションを
変えながらボールを動かし、主導権を握る独特の
戦い方で大会最終日まで勝ち上がった。「チームの
約束事の中で選手一人一人が個性を発揮できる
サッカーが形になってきた。自分も子どもたちも、
もっと成長していきたい」

練習で最も重視するのは自主性を育むことだ。
「他のパスコースはないかな」
「考えを共有できるよう声を出し合おう」。
選手自らが何をすべきかを考え、それを率先して
実行できるように促す。
具体的な指示はあえて封印するという。

列島を席巻した「なでしこフィーバー」は2011年。
日本がワールドカップを初制覇したのを機に女子
サッカーの育成環境は急速に整い、選手たちの技術は
底上げが図られた。その半面、抱いたのは危機感だ。
「ゲームでも練習でも、指示がなければ動けない
選手が増えた」と感じる。

自身は競技を始めた小学生の頃から大学時代まで、
見よう見まねで育ってきた。「上達するために、
うまい先輩の体の使い方や練習をとことん観察した。
そこからキックの仕方などを習得していった」。
教え子たちに自主性を芽生えさせようとするのは、
そんな経験があるからだ。

つづく




9月30日（木）閲覧数:562PV 訪問者数:348人