茶の湯 徒然日記

茶の湯との出会いと軌跡、お稽古のこと

八代吉向十三軒茶陶展

2008-06-05 10:10:07 | 美術館・展覧会
 横浜高島屋で開催されていた、今日庵出入方 八代 吉向十三軒(きっこうじゅうそうけん)茶陶展を見てきました。2008年5月28日~6月3日。
 この名前、初めて耳にしました。十三と書いて、じゅうそうと読むなんて。
 初代 吉向治兵衛が大阪十三の地に窯を開き、200余年、その伝統を踏まえて、八代は裏千家御出入方陶器師として作品を作っているとのこと。
 千家十職の他に出入りを許された道具師を出入方というのですね。
 展示会では、たくさんの作品が並んでいました。お茶碗は楽のような雰囲気のものと土の味わいを生かしたすっきりとしたもの、水指では交趾や焼締風のもの、花入は、伊賀を思わせる自然な少しざらりとした味わいのものが多かったように思います。私が見たところでは、どれも、突出したところのない、端正な雰囲気でした。ひとつだけ少し変わっているかなと思ったのは、飴釉の、鯉幟が泳ぐ様子を掘り出した菓子器でした。
 さすが裏千家出入だけあってか、お茶碗は大体50万円前後。
 鵬雲斎大宗匠と坐亡斎お家元の箱書の茶碗も7つほどありました。そのうち6つが鵬雲斎大宗匠のもの、1つだけお家元でした。美術画廊の方に伺うと、作家さんがこれぞと思うものを家元に持ち込み、箱書をして頂くもので、よければ銘を頂ける場合もあるのだとか。1つだけ、鵬雲斎大宗匠が”佳日トス”と銘を与えた茶碗がありました。坐亡斎お家元は、茶道具は箱書に頼らず自分の目で見極めるようにとおっしゃっているだけに、箱書の数も少ないようです。

 受付で吉向焼の沿革についての説明書きを頂きましたので、一部省略しつつご紹介しておきます。
***引用***
 当 吉向焼の沿革を申しますと、伊予の国大州上灘に当地の藩主加藤出羽守の家臣戸田源兵衛高義の十二代目の孫にあたる武兵衛は、特に陶器を好み四国の伊予にて戸部焼を開窯し、後ち弟子に譲り自分は摂津大坂十三村(じゅうそうむら)にうつり、始めは十三焼と銘称し陶業を営みました。
 其の子治兵衛の代に、当時大阪の県令を務められていた岸本武太夫の紹介で、江戸寺社奉行の水野泉守左近将監の依頼により口径三尺五寸の大金魚鉢と海亀の大食籠を献上致しました。水野候は之を徳川将軍家へ献上し賞詞を受け面目を施しました。将軍は特に亀の食籠が殊の外お気に召して、亀の食籠に因み吉向(きっこう)の姓を承り、三分の金印と四分の銀印を頂き、時の歌所で有名な加茂季鷹に委嘱し、文政二年吉向の二大字を揮豪、同時に拝領致し、吉向焼の名称となりました。
 又、十三軒の軒号は当時、初代が築窯した十三村の地名に因み文政十年片桐候より十三軒の印を拝領し、十三軒の号となり、各地の御庭焼にもたずさわりました。
 尚、六代目より裏千家御出入方を許され茶陶を専として当代である八代吉向十三軒によって家伝を受け継ぎ現在に至っています。
**************

 吉向の名は亀の甲羅の亀甲からきていたのですね。吉に向かう、亀の甲羅とどちらもおめでたい。
 毎日添釜もありましたが、私が行った時間は遅く、既に片づけられておりました。家元の掛物もあり、たくさんのお道具を楽しむことができました。陶芸の世界も、たくさんの作家さんがおられ、それぞれの特徴があるものですね。

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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ありがとうございます (m-tamago)
2008-06-27 10:38:44
宗英さん、はじめまして。
ブログを読んで下さっているとのこと、ありがとうございます。
ところで、当代の名前が違うとのことですが、具体的にどこでしょうか。読んでみましたがよくわかりませんでした。思い当たることは正式には吉の字の下の棒が長いってことかしらとしか思いつきませんでした。
お気づきでしたら具体的にご指摘頂ければと思います。
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至急 ご連絡 (宗英)
2008-06-24 12:22:34
 始めまして! 栃木県下野市の大竹宗英です。

 最近、こちらのブログを知りまして、楽しく拝見させていただいています。

 八代吉向十三軒 の記事中の、御当代のお名前が違っています。至急チェックしてください。 宜しくお願い致します。  
                      敬具
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亀の食籠 (m-tamago)
2008-06-12 09:30:54
たまなさん、こんにちは。

>丁度こちらの大丸では吉向窯5代目から分かれた吉向松月さんの展示会をやってます。
そうですか。京都も展示会が充実していそうですよね。亀の食籠の写し、どんなでしょう。

>お茶碗に天竺と書かれていてブツブツとしたのは現地の砂とのこと。
天竺の砂ですか。なんだか有難い感じですね。シルクロードの風を感じられそう?!
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吉向さん (m-tamago)
2008-06-12 09:27:59
Akatsukiさん、こんにちは。
長男の方の作品は、機会あればまた拝見してみたですね。

吉向十三軒窯で陶芸体験もできるのですね。私も以前多治見で陶芸体験をしたことがありますが、土を触っている時間はとても楽しく、作品が届いたときはとても嬉しかったものです。

>横浜そごうで京焼の加藤利昇さんの茶陶展
残念ながら見落としてしまいました~。デパートの展示会は気軽に見れていいですよね。
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週末 (m-tamago)
2008-06-12 09:25:20
ぶりさん、こんにちは。
お値段は確かにすばらしかったですね、、、、
あの値段だったら、もう少し面白みや味わいのあるものがいいかなあ。とにかくシンプルなイメージ、シンプル=何にでも合うという意味では魅力ですが。

>十三(じゅうそう)といえば大阪の地名で、阪急電車の乗換駅
そうなんですか。大阪の人には馴染みの読み方なんですねえ。
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はじめまして (m-tamago)
2008-06-12 09:22:40
komachiy0519さん、はじめまして、でしょうか。
十三とかいて、じゅうそうとは読めませんよね。
本当にいずれの道具もすっきりとした印象ですね。

デパートの茶陶展は、お手軽だし、よくのぞいています。高島屋は日本橋、横浜など、充実している気がします。新宿にはあまり縁がないので、行くことがありませんが、よい展示会があったらお知らせください。デパートの展示会では、作家さんと直接お目にかかってお話ができるというのも醍醐味のひとつですね。 
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Unknown (たまな)
2008-06-07 21:51:42
こんばんは。
丁度こちらの大丸では吉向窯5代目から分かれた吉向松月さんの展示会をやってます。
亀の食籠の写しもあり、インパクトがありました(でもかわいいお顔でした^^)
ご案内を受けていた方にくっついていったのでちゃっかりお茶をよばれましたが、お茶碗に天竺と書かれていてブツブツとしたのは現地の砂とのこと。埋もれないようにするのが大変だったとお伺いできました。
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吉向さん (Akatsuki)
2008-06-06 13:24:08
こんにちは。
私も行ってきました。
ステキでしたねぇ。
ちなみに、長男の翔平さんの作品もいいですよ。
(今回は出されていらっしゃらなかったけれど)

「大阪・十三」で補足しておきます。
現在の吉向十三軒窯は東大阪の石切にあります。
(以前、御邪魔して陶芸体験をしました)

今週は横浜そごうで京焼の加藤利昇さんの茶陶展も開催中!
こちらもすてきです。

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週末 (ぶり)
2008-06-05 21:07:38
通りすがりに見てきましたが、お値段もすばらしかったので、とっとと退散いたしました。

十三(じゅうそう)といえば大阪の地名で、阪急電車の乗換駅ですので、関西人には耳馴染みあります。
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Unknown (komachiy0519)
2008-06-05 14:43:14
こんにちは
私も十三軒という字と音がすぐには結びつきませんでした。3月の稽古茶事の時つかわせていただいたのが、十三軒の掛けわけの茶碗で、すっきりした印象を持ちました。
 デパートでは茶陶展をよくやっていますが、たまご様は横浜が便利なのですね。私は、わたしの先生がよく新宿京王で添え釜をなさるので、京王によく出かけます。本当にたくさんの作家さんがいらっしゃいますね。窯元まで行かなくても東京にいながらにして、そのような作家の方の話が聞けて 有難いことです。お高くてとても手は出ませんけど。。。 
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