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空き家管理ビジネスは成立するか?

2014年03月20日 | 不動産
【空き家管理ビジネスは成立するか?】
(住宅新報の記事から)

空き家管理 ビジネスの可能性は―所有者への「啓発」も重要
賃貸・管理
[住宅新報 2014年3月18日号]
この記事を読むのに必要な時間:約8分



「空き家管理」をどのようにビジネスへとつなげていくか、業界内での模索が本格化している(写真はイメージ)
「空き家管理」をどのようにビジネスへとつなげていくか、業界内での模索が本格化している(写真はイメージ)
 住宅・土地統計調査(総務省)によると、空き家の数が、この20年で倍増している。国土交通省は昨年度から、その対策を本格化。空き家の放置を解消する選択肢に「活用」と「管理」を位置付け、所有者が賃貸物件として貸し出しやすい環境の整備や、空き家管理業の育成に向けた土壌づくりを進めている。一方で空き家増加の要因は、少子高齢化や人口減少も深く関わる。住宅・不動産分野にとどまらない多様な関係主体を巻き込みつつ、長期的目標のもとに推進されるべき課題と言える。
採択団体、国交省に報告書

 「高齢者施設への入居に伴い、自宅に誰も住まなくなる。持ち家があるため、遠方の実家を相続したが空いた状態にせざるを得ない」(国交省住宅局住宅総合整備課)。住宅が空き家化する、典型的事例だ。

 住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の総数は約750万戸(08年)。人が出入りせず放置された住宅は、災害や犯罪、周辺環境の悪化などの温床になりかねない。こうした問題意識に基づき、国交省はまず状況改善の選択肢を「除却」「活用(賃貸・売買)」「管理」に整理。このうち活用と管理に焦点を当て、それらを促す指針づくりや補助事業を実施している。

活用と管理の両輪

 「活用」は、賃貸住宅としての需要を喚起する方向性を主に模索。13年秋に「個人住宅の賃貸流通の促進に関する検討会」を設置し、賃貸借ガイドラインを含めた報告書を3月中旬に公開予定だ。そして、空き家をひとまずそのままの状態にしておきたい、というニーズに対応する「管理」については、13年度からの3カ年計画として「空き家管理等基盤強化推進事業」を実施。相談体制の整備と、「空き家管理に関するビジネス」の育成を柱とする。

 空き家に特化した管理サービスは広がりつつあるが、建築・不動産業のほか造園業や警備業など事業主体が多岐にわたり、料金体系やサービス内容もまちまち。また、業務を規定する法律も存在しない。そこで国交省は同事業を通じて、事業者が守るべきルールの整理と、新規参入を促すための環境整備を行う考えだ。

 「空き家管理ビジネス」では、民間事業者などで構成される団体を採択し、「消費者保護」や「業界コンプライアンスの増進」といった複数の取り組みの実施を求める。13年度は「九州・住宅流通促進協議会(九住協議会)」「空き家ビジネス推進協議会(空き家ビジネス協)」「全国不動産コンサルティング協会(全コ協)」の3団体が採択され、このほど報告書が出そろった。

ガイドライン作成へ

 九住協議会には、不動産業者や建設業者、不動産鑑定士などが参画。福岡県内で空き家管理サービスを提供している7社を対象に、ヒアリングや現地調査を実施した。その結果、従前の見立てとは異なる知見も得られたという。

 当初はトラブル事例集の作成を予定していたが、実際には「トラブルがほとんどなかった。各社で業務がきちんと行われていた」(三好琢事務局長代理)。そのため事例集ではなく、起き得るトラブルとその対策を整理し、今回の報告書でまとめている。また、1種類のみの制作を考えていたサービス内容に関するガイドラインは、2種類に変更。各社のサービスを精査したところ、依頼目的に応じて「近隣への迷惑防止」と「住宅機能の維持」に分類されることが分かったためだ。それぞれに即したガイドラインを用意する必要がある、と判断した。

 ALSOK、ダスキンなどで構成する「空き家ビジネス協」は、今期を調査フェーズと位置付け、空き家管理の実態調査などを行った。今回の事業参加のきっかけは、12年10月から開始した「HOMEALSOKるすたくサービス」。セキュリティーサービスのインフラを活用し、空き家管理として全国で展開中だ。

 事務局を務めるALSOKの内城大輔氏は、空き家ビジネスの問題点を「認知度の低さ」とする。

 「空き家の所有者も、どこまで何をする必要があるかを知らない。今後、空き家管理について、消費者に情報を発信する啓発活動と共に、空き家管理に関する契約内容のガイドラインなどを作成していきたい」と語る。

資格創設の動きも

 昨年末に事業実施団体として採択された全コ協は、空き家管理・活用の実務家、研究者へのヒアリングを進め、「空き家管理・利活用マニュアル」「空き家管理契約約款」のひな型を国交省に提出した。13年度は基本的な調査業務で終了したが、14年度も再びエントリーし、実際に見回りサービスなどを手掛ける方針だ。そこで得たノウハウを、今回提出したマニュアルや契約約款にフィードバックし、完成度を更に引き上げる狙いがある。

 そのほか、同協会では「空き家対策士」の創設に向けた動きも本格化させる。空き家管理をリードする資格としての位置付けで、事業に参入しようとする事業者に対して、コンサルできるだけの経験と知識を積んでもらう予定だ。

「適正管理」の自覚を

 全コ協では、「空き家管理は簡単にビジネス化できないと思う。ただ、特に地方エリアは、通常の不動産業務だけでは収益が上がらないケースが多くなっている。最終的な〝空き家の利活用〟に向け、その入り口となる管理ビジネスを何とか形になるものにしたい」と話している。

 「空き家管理」の基本的業務は、「通風・換気の実施」「蛇口の通水確認」「簡易な清掃」「庭木の確認」など。物件所有者に代わって行うものだが、そもそも戸建て所有者には、「お金を払ってまで管理を任せる」という意識が乏しい。

 みはる不動産(神戸市)の山城敦人氏もそれを痛感している一人だ。「事業を立ち上げてから1年経過したが、問い合わせがほとんどない」と言う。

活性化のためには

 「『所有者には空き家を適正に管理する義務がある』という認識が広がれば、(ビジネス)活性化の突破口が開ける可能性がある」。九住協議会の委員も務める、エステートプロモーション北九州(福岡県北九州市)の北島達夫代表が言う。

 所有者の意識が希薄である一因として、九住協議会の三好事務局長代理は「災害や犯罪、環境毀損といった問題で実際に迷惑を受けるのは、空き家の周辺住民やその地域全体」と指摘。肝心の所有者自身は遠方に居を構えて状況が分からないため、放置につながると指摘する。同協議会ではこうした所有者に対して、各自治体が送付する固定資産税納付書に、管理を促す書類の同封を提案。そこから相談や事業者斡旋といったニーズが発生すれば、協議会が受け皿として機能する流れだ。今後、各自治体と協議していく予定だという。

「片手間では難しい」

 空き家管理ビジネスの最大の課題は、「採算性」だ。現在、1物件当たりの管理料を月額数千円前後でとしているケースが多いが」、それだと費用対効果の面で難が出てくる。空き家問題に詳しい富士通総研の米山秀隆上席主任研究員は、「将来的な売却依頼を目標に、管理戸数の分母を広げるしか方法はない」と語る。

 金沢市のあおぞらプランニングは、現在5戸の空き家を管理している。事業を始めて数年経つが、「それほど積極的に営業していないため、増えも減りもしない」と代表の柴野道雄氏。最終的に売却(仲介)へと結び付いた案件もあり、できる範囲で事業を手掛ける方針だ。

 現在約30戸を管理する、前出のエステートプロモーション北九州。北島代表は「採算はもちろん合わない。人件費すら出ていない」と言い切る。

 管理が売買の斡旋につながった実例はないが、近く売却に進みそうな案件はいくつかある。「今後契約件数が増えれば、大きな収入に発展するかもしれない」(北島代表)。ただし、同社にとってその仲介手数料は〝臨時収入〟。あくまで、空き家管理業単体で収支を合わせるのが目標だ。一方、管理後の仲介業務の受託を見込んだ参入に対しては、「1つの考え方」と前置きしたうえで「将来的に厳しいのではないか」と話す。

 空き家管理サービスの費用は各社でばらつきがあるが、北島代表は「更地にした場合の固定資産税額以下」を目安として挙げる。それを超えると、管理を任せるより更地にした方が安くつく、と所有者が考えるからだ。現状はともかく、北島代表は「新規参入が増えれば価格競争になる」として、この目安がいずれ妥当性を持つとみる。そうなった時、外注ではコスト引き下げが難しい。つまりサービスを内製化する必要があるが、「空き家管理は仲介の片手間でできる仕事ではない」(北島代表)。仲介目的で空き家管理業を営む場合の、リスクの一端を指摘する。

事業者に聞く エステートプロモーション北九州 「夏場の草刈り好評」

 北九州市で1年前から空き家管理ビジネスに取り組む、エステートプロモーション北九州の北島達夫代表に話を聞いた。

 ――サービス開始のきっかけは。

 「以前から、売却受託物件に対して清掃や草刈りを行っており、これで収益を生み出す仕組みができないか模索していた。地域における購入需要が減退し始め、主力の売買仲介が難しくなってきたこともあり、将来性が見込めると判断した」

 ――サービス内容と料金は。

 「月1回の建物外部からの状況確認、維持管理の提案、門扉の施錠などが基本サービス。月額3000円。室内の状況確認や清掃、除草などもオプションで対応している。1棟当たりの平均収入は毎月約6000円だ」

 ――業務上の過失について、何か対策は取っている?

 「特にないが、受託時に家財の管理責任は持たない旨を契約書に記載する。重過失の場合、建物本体に関する賠償責任はあるが、原状回復費用満額までは賠償しないスタンスを取っている」

 ――利用者の属性、傾向について。

 「空き家所有者の子どもが大半。県外が9割を占め、特に関東居住者が多い。親が亡くなったり施設に入居したりした直後に依頼されるケースが目立つ。『一周忌が過ぎていない』『仏壇がある』といった理由で売却が難しいが、かといって『放っておくと、親戚に対して気まずい』などの事情を抱える人が多いようだ」

 ――利用者の感想は。

 「報告書に対する評判は良い。また、夏場の草刈りが非常に感謝されているように思う」

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私見ですが、中古不動産流通と、税制の問題点が有るのでしょう。
空き家ビジネスの民間の動きについて、これが現代の少子高齢社会の住宅問題を解決するキーとなるでしょうか?

経済発展や豊かさを追い求めてきた日本社会は、人口集積の効果と弊害、核家族化の形をもう一度見つめて、より良き方向に軌道を修正する時が来ているのでしょうか。

税制面での、建付地より更地が税金の評価が高いということ、市場価格は無論そういうことですが、税金面では評価の見直しが必要でしょう。

貴方は、如何お考えですか?

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