高田博厚の思想と芸術

芸術家の示してくれる哲学について書きます。

参照 言葉 文化

2023-06-23 01:37:58 | 参照


 

【特集】「わたしたちは言葉に、音を通して感じることができる特別な意味を込めている」アレクサンドル・ラエフスキー東北大学助教授

2023年6月22日, 08:30 (更新: 2023年6月22日, 20:58)
 
ドミートリ ガヴリーロフ
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アレクサンドル・ラエフスキー氏は千葉大学で3日間にわたって、東京に住むロシア語ネイティヴの色の知覚に関する心理言語テストを行った。被験者らに与えられた課題は、330枚の異なる色―中にはかなり珍しい複雑な色も含まれている―のカードを見て、その色をなんと呼ぶか回答するというものである。その回答が独特の表現だった場合、ラエフスキー氏は回答者に11の基本色(青、赤、白、黄など)のどれに当てはまるかを答えさせた。この実験には、「スプートニク」の記者も参加し、その後、ラエフスキー氏に取材を行った。
スプートニク:アレクサンドルさん、今日は色に関する心理言語テストを行われたわけですが、なぜこのような実験をしようと思われたのですか?またこの実験の目的はなんですか?
アレクサンドル・ラエフスキー氏:わたしは音象徴(サウンドシンボリズム)や言葉のイメージを専門としていることもあり、昨年、東北大学で色の近くに関する研究をしてみてはどうかと提案されました。今回の実験は、1940年代に出版されたB.ベルリンとP.ケイの共著による著作に書かれていたアイデアを基にしたものです。彼らは色の知覚において革命を起こしたとされています。というのも、当時は、人々がどのように色を知覚し、なぜ色をそのように表現するのかについては諸説ありました。
 
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アレクサンドル・ラエフスキー氏
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心理言語テスト
 
 
アレクサンドル・ラエフスキー氏
B.ベルリンとP.ケイは今日、わたしたちが実験でやったような方法論を用いたのです。わたしは、さまざまな色をどのような言葉で表現するのかについて興味があります。というのも、ロシア語には、「子豚色」、「なすび色」、「ラズベリー色」、「カラシ色」、「砂色」など、非常に独特の色の名前があるからです。こうした色の名前にわたしたちの文化や歴史が影響を与えていることは間違いありません。これはロシアの文化コードの特徴を物語っています。つまりわたしたちはこの世界を違った形で捉えているということです。
スプートニク:普段はどのような研究をされているのですか?
アレクサンドル・ラエフスキー氏:わたしの専門分野は言語心理学です。これは、言語というものがわたしたちの思考回路や周囲の世界の知覚にどのような影響を与えているかについて研究する学問です。研究の主なテーマは音象徴に関するもので、色に関する実験を並行して行っています。音象徴の研究というのは、なぜ音というものが一定のイメージを結びついているのかを理解しようとするものです。
例を挙げましょう。「ブーバ・キキ効果」という言葉を聞いたことはありますか?2001年に、実験を基にした有名な学術論文が発表されました。それは、2つの図形を被験者に見せて、どちらが「ブーバ」でどちらが「キキ」かを尋ねるという実験です。この図形というのが、一つが丸くて大きなもので、もう一つは小さくて星のようにギザギザしているんです。あなたならどちらを「ブーバ」と名づけますか?
スプートニク:そうですね、大きくて丸い方でしょうか。「ブーバ」という音は厚みがある感じがするからです。
アレクサンドル・ラエフスキー氏:その通りです!では、なぜ「ブーバ」というのはそんな感じがするのでしょうか。言語、文化、年齢に関わらず99%の被験者が丸い図形をブーバだと答え、小さいギザギザした図形をキキと答えます。
概して、「イ(i)」という音は何か小さなもの、「オ(o)」や「あ(a)」は何か大きなものをイメージすることが多いのです。「grand」と「petit」、「おおきい」と「ちいさい」、「マクロ」と「ミクロ」などの組み合わせを見てもわかると思います。音象徴というのは、多くの言語に表れています。
スプートニク:今後はどのようなプロジェクトを予定されていますか?
アレクサンドル・ラエフスキー氏:現在は音象徴に関するプロジェクトがあります。音象徴のコンセプトというのは、音声から言葉の意味を予測することができるというものです。言語学者らの基本的な理論では、音と意味の関係は相対的なものだとされています。つまり、「ドーム」とわたしたちが口にするとき、この音と「人が住む建物」という意味の間にはいかなる関連性もないということです。
しかし、音象徴はこの理論を覆しています。もし相対的なものだとしたら、なぜ「ブーバ・キキ効果」というものがあるのでしょう。やはり何か関連性があるはずです。わたしは、人がある言葉を考案し、作るとき、そこに言語を知らなくても、音を通して感じる一定の意味が込められているのではないかと仮説しています。
そこでわたしは次のような実験を行っています。まず5つのまったく異なる言語―ファルシ語、ロシア語、モンゴル語、タイ語、カザフ語―のネイティブに「白い」「黒い」、「大きい」「小さい」、「長い」「短い」、「遠い」「近い」などのペアとなる形容詞、そして「生」と「死」などの名詞を発音してもらい、録音します。
被験者にはスクリーンにその対となる言葉を見せ、音を聞いてもらい、どちらが何を意味するのかを選んでもらうのです。今のところ、日本人と中国人合わせて20人ずつが参加してもらっただけですが、すでにこれまでの結果から、人は、母国語以外の言語を、実は想像よりもよく理解できるのだということが判っています。
 
 
 



参照 来年秋の保険証廃止に反対72%

2023-06-19 03:37:38 | 参照

参照 来年秋の保険証廃止に反対72%



 

来年秋の保険証廃止に反対72% 内閣支持率は40%に下落

2023年6月18日, 21:07
 
共同通信社が17、18両日に実施した全国電話世論調査によると、現在の健康保険証を来年秋に廃止してマイナンバーカードに一本化する政府方針に関し、延期や撤回を求める声が計72・1%に上った。岸田内閣の支持率は40・8%で5月27、28両日の前回調査から6・2ポイント下落した。不支持率は5・7ポイント増の41・6%。少子化対策で新たに必要となる3兆円超の財源について、具体策は年末に示すとした岸田文雄首相の説明に「納得できない」が72・7%に達した。
内閣支持率の下落は、マイナカードを巡り相次ぐトラブルや、首相の秘書官を務めていた長男が公邸で親族と忘年会を開き、公的スペースで記念撮影していた問題などが影響したとみられる。
マイナカードの活用拡大を巡り「不安を感じている」「ある程度不安を感じている」は計71・6%。来秋の現行保険証廃止は「延期するべきだ」が38・3%、「撤回するべきだ」が33・8%で「予定通り廃止するべきだ」は24・5%だった。
有効回答者数は固定電話422人、携帯電話622人。
(c)KYODONEWS
 
 
 



参照 日本の手まり

2023-06-18 15:57:46 | 参照

参照 日本の手まり 



 

【人物】ロシアの手まり職人:「わたしにとって、手まりは単なる装飾ではなく、もっと大きな意味を持つもの」

2023年6月17日, 10:30

(スプートニク記事)

リュドミラ サーキャン
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糸で美しく飾られた手まりは祝祭日の飾りでもあり、子どもの玩具でもあり、装飾品の一部でもあり、お土産品でもある。一見、とても単純なものに思われるが、実際には、手まりを作るには細かい職人技が求められる。しかし、生花、盆栽、着物、浮世絵などの日本文化についてはイメージできる人が多い中、この手まりという工芸品はそれほど多くの人には知られていない。とはいえ、驚くべきことに、手まりとは何なのかをすべての日本人が知っている訳ではない。「スプートニク」からの取材に対し、こう語ってくれたのは、ロシア人の手まり職人、リュボーフィ・グシコワさんである。
グシコワさん:日本人のすべてが手まりが何か答えられるわけではありません。手まりを装飾品として使わせてもらったある日本のイベントで、日本人にこれは何ですかと尋ねられたことがあります。わたしが手まりづくりをやっていますと言うと、どんな手まりを作っているのですかと訊いてくれるのは高齢の日本人だけです。そう訊かれれば、わたしはかがり手まりですと答えます。
 
スプートニク:リュボーフィ・グシコワさんはもう30年もの間、希少本や原稿の修復をしていて、手まりを作るようになったのは14年前だそうですね。そして2016年に日本手まり協会のメンバーになられたと伺っています。
グシコワさん:はい、2009年に、初めて手まりの写真を見て、それが好きになったのです。これは、日常生活に使われるものではなく、まったく抽象的なものですが、自分で作ってみたいと思ったのです。それで手まりのサイトや日本の雑誌を見ながら、作ってみるようになりました。わたしは完璧主義者で、きれいな球体ができるようになるまで、刺繍をせず、糸を巻くことだけを長いこと学びました。最初の5年ほどは、自分のためだけに手まりを作り、誰かに見せたりはしませんでした。
わたしはモスクワ大学図書館の希少本の修復をしていますが、レーニン図書館(現在のロシア国立図書館)とフランスの国立図書館で研修を受けていました。よく、わたしが手まりを作るようになったのは、手を使って細かい作業をするのに慣れているからでしょうねと言われます。しかし実際には手まりを作るようになるまで、手を使った工芸品を作ったことなどありませんでした。
 

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© 写真 : リュボーフィ・グシコワさん
手まり
 

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© 写真 : リュボーフィ・グシコワさん
手まり
 
スプートニク:しかし今では、手まりの作り方を教えていらっしゃるそうですね。ご自身で手まりを作るのと、この芸術について誰かを指導するのとどちらが好きですか?
グシコワさん:わたしはいろいろな場所で手まりのワークショップを開いています。モスクワの東洋絵画ギャラリー、J–FEST・・・、あと、残念ながら現在モスクワでは活動が停止している日本の国際交流基金にもよく招いてもらっていました。そこではすぐに希望者のグループが集まり、とても楽しく活動していました。実は今もリクエストがあるとのことで、今後も継続するかもしれません。
もちろん、自分で手まりを作るのが好きですが、普及活動も積極的に行なっています。ワークショップ、手まりの歴史、日本内外の有名な職人についての講義を含むデモンストレーションなどです。手まりだけでなく、くす玉や木目込み球などの球体の工芸品などについても話しています。
 
スプートニク:おそらく手まりは、忍耐力と想像力を必要とするまさに女性の工芸品ではないかと思うのですが、誰にでもできるものですか?
グシコワさん:いえいえ、日本でも世界でも、手まりをやる男性はいるんですよ。たとえば、アレクサンドル・ゲルジャンという、キエフ出身の有名な職人がいます。猛々しいバイク乗りなんですが、手まりを作っています。もっとも、ご自身は、模様をかがっているとは言わず、作っていると言っています。
忍耐力は必要といえば必要ですが、この工芸が忍耐力を養ってくれると言えるでしょう。想像力、これは、もし何か特別なオリジナルのものを作りたいと思えば、必要です。しかし、最初は、球体に巻くシンプルな模様から始めるべきですね。
そして、ワークショップを開いてきた経験から言えば、手まりに向かないという人はいません。手まり作りには、針やピンを使うため、あまりに小さい子どもには難しいということで年齢を制限していますが、手まり教室をお願いされているモスクワの長寿クラブでは、90歳のおばあさんたちもやっています。中には関節炎や震えのある人もいますが、みんな、うまく作っていますよ。


手まりのワークショップ
© 写真 : リュボーフィ・グシコワさん

スプートニク:模様を作る上で、何か守べきルールのようなものはあるのでしょうか。それとも伝統から外れることもできるのですか?
グシコワさん:手まりという工芸品は1000年の歴史があるため、まったく新しいものを生み出すというのは難しいことだと思います。ベースとなる模様や色があり、それをさまざまに組み合わせたり、織り交ぜたりします。ですが、オリジナルの柄を作ることはできます。たとえば、ある日本の手まり協会では、高度な職人技というのは、何かしら独自の模様を作ったり、独自のデザインを考案することだとされています。たとえば、日本国内にも今村愛子という職人がいて、日本の絵画や印象派のモチーフを使った模様を作っています。
スプートニク:日本の手まりとそれ以外の国の手まりは違うものですか?
グシコワさん:色合いと模様に違いがありますね。日本人は派手な色、明るい色、コントラストがはっきりした組み合わせ、不必要な装飾などを避ける傾向がありますが、ヨーロッパやアメリカでは鮮やかな色が好まれます。ときにビーズやリボンを縫い付けたりして、装飾的な要素が多いです。しかし、伝統的な色合いで作られた手まりは、それを誰が作ったのかを特定するのは不可能です。


(【ルポ】ペリメニ、ピロシキと日露のアーティスト 大阪のロシアカフェで交流会 
4月27日, 18:37)
 
スプートニク:リュボーフィさんは、かなりの数の手まりのコレクションをお持ちなのでしょうね。あなたにとって、手まりとは何ですか?
グシコワさん:いえ、実はわたしはそれほど多くの手まりは持っていないんです。友人や知り合いにすぐにあげてしまうので。わたしが持っているのは、誰かから贈り物としていただいたオリジナルのものか日本のもの、あるいはワークショップで見本として使うものだけです。
わたしにとって、手まりとは喜びです。今、わたしたちは模様をシンボリックなものとは捉えていません。とはいえ、すべての模様はいつでも、何か大きな意味を持つものでした。もちろん、糸を縫っているときは、色の組み合わせ、模様や柄に心を込め、何らかの意味を込めています。
ですから、わたしにとって手まりは、単なる装飾ではなく、飾りよりももっと大きな意味を持つものです。まるで生き物のようなものと言えるかもしれません。
 
 



参照 日本政府によるロシア政府批判の意図を推測 

2023-06-18 02:20:10 | 参照

参照 日本政府によるロシア政府批判の意図を推測 



 
日本政府はロシア政府批判を続けているそうだが【日本政府は嫌露キャンペーンを先導=駐日ロシア代理大使、「鋭い対抗措置」を警告 2023年6月9日, 22:24】、その意図は、日本国民に、ここで述べられているような政府の動きを支持させることにある、と言えそうだ。
 
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【解説】日本をウクライナ紛争に引き込み、日本を軍事化させようとする米国

2023年6月17日, 17:24
 
 
タチヤナ フロニ
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日本はウクライナ軍が宣言している反転攻勢を支持するため、戦争当事国への防衛装備品の供与に対する憲法上の禁止事項を回避する方法を模索している。これを目的として、日本政府は同盟国である米国に対し、155ミリ榴弾砲を供与する可能性について検討している。その榴弾砲を米国からウクライナに直接供与するのである。日本がこうした「狡猾な手」を使うのはこれが初めてではない。すでに米国は日本から、日本が供与する榴弾砲に使用するトリニトロトルエン(TNT)を「産業品」だとして調達した。
米国はウクライナ紛争に日本を引き込むためにどのような手段を用いているのか、またなぜ日本がこれを必要としているのか、「スプートニク」が、雑誌「祖国の兵器」の編集長を務める軍事アナリスト、アレクセイ・レオンコフ氏にお話を伺った。
「ウクライナ支援を格好の口実とした米国への榴弾砲の供与は、日本にとって攻撃兵器の輸出に対する厳しい制限を回避するための絶好のチャンスです。日本政府はまず、自衛隊が世界各地の平和維持活動に参加することを可能にするような憲法改正を行いましたが、今度は紛争地帯に榴弾砲を供与するという話にまで進展しています。これはすべて日本をNATOという軍事ブロックに引き入れるためのものだと思います。そして今、わたしたちは、それに向けた具体的な行動がとられているのを目の当たりにしているのです」
 
 
(戦車「レオパルト」他、ウクライナへの武器供与状況
【視点】日本によるウクライナへのTNT調達は参戦である
6月8日, 15:20)
 
日本の米国への榴弾砲供与について言えば、米国は実際にこの榴弾砲の必要に迫られている。供与されるのは数十万、あるいは数百万規模の榴弾砲で、これについてレオンコフ氏は、これはウクライナ軍を支援するためキエフに早急に送る必要があるものだと指摘する。
「しかし、米国の工場がいかに努力しても、年間20万門以上の榴弾砲を生産することはできないのです。欧州諸国も複数の理由からこの課題を遂行することはできません。ですから米国にとって日本の協力は重要なのです。また数百万の榴弾砲が、世界中に配置されている米国の弾薬庫に保管されています。依然として米国の管理下にある日本国内にもあります。米国が日本の島々に基地だけでなく、弾薬庫も設置しているのはこのためです。予想される軍事行動の地点に比較的近く、便利だからです」
 
レオンコフ氏はさらに、米国の管轄下にあるこのような弾薬庫はイスラエルにもあると付け加え、そこからもウクライナへの供給が行われていると指摘している。
「つまり、日本もイスラエルも、これらの弾薬庫に保管されている砲弾の使用については何も言えない立場なわけです。ですから、日本もイスラエルも、ウクライナへの殺傷兵器の供与に対するあらゆる非難に対し、米国が自国の弾薬庫から砲弾を移動させただけだと答えることができます。日本社会がこの供与について、状況を理解し、冷静に受け止めることができるとしたら、これは政府にとっては重要なサインとなります。つまり、日本は更なる軍事化に向けて動くということです」
 
 
(【視点】アジア太平洋地域での米国の存在が強まる中、フィリピンとの軍事外交を活発化する日本
6月15日, 16:37)
 
最後にレオンコフ氏は、とはいえ、日本の自衛隊はすでに、防衛だけでなく、完全な攻撃を行うことができる本物の軍事組織であると締めくくっている。
 
 



参照 国際 露軍の戦車力 

2023-06-16 02:31:11 | 参照

参照 国際  



 

【視点】炎上する「レオパルト」

2023年6月14日, 09:00 (更新: 2023年6月14日, 18:08)
 
 
ドミトリー ヴェルホトゥロフ
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ウクライナ軍の反転攻勢に向けた戦車「レオパルト2」のウクライナへの供与については2023年初頭から活発に議論されていた。ウクライナ軍司令部はこの欧米の戦車でロシア軍を粉砕することができると考えていたのである。この「レオパルト2」は、2023年6月初旬に戦闘に投入されたが、最初の戦いにおいて、この戦車は簡単に炎上することが判明した。ロシア国防省の公式発表によれば、ロシアはレオパルト2を8両、非公式データでは11〜12両、撃破した。戦闘は今も続いており、より正確な情報はのちに明らかになるだろう。

プロホロフカ近郊の戦いにおける鋼鉄のカオス

そもそも、ドイツ製の戦車でロシアを威嚇するというのはまったく解せない考えである。どうやらウクライナは、戦車や戦車戦というものがロシアの国の誇りであり、国の歴史の一部であることを忘れてしまったようだ。というのも、我々はすでに戦場でドイツの戦車と対峙するという経験を過去に有しているのである。
1943年7月12日、クールスクの戦いの中、ベルゴロド近くのプロホロフカ近郊で戦車戦が起きた。参加したのは、ソ連第5親衛戦車軍とドイツの第2SS装甲軍団で、戦場ではソ連の戦車760両とドイツの戦車413両が激突した。ドイツ軍の最高の戦車隊であるSS軍団は、猛攻撃をしかけ、クールスクの防衛線を突破する計画であった。これに対し、ソ連の戦車隊は反撃し、ドイツ軍の攻撃を阻止しようとした。そして大戦車戦が起こったのである。
その朝、埃と煙の中、太陽が昇った。双方が激しい砲撃を行い、ソ連の多くの戦車が一気に前進した。ドイツ軍が有していたのは強力な大砲と厚い装甲を備えた重戦車「ティーガー」である。この戦車を撃破するには短距離から攻撃しなければならなかった。モーター音が響き、キャタピラが軋み、爆発音が轟き、金属の擦れる音が鳴り渡った。その爆音は凄まじいもので、戦車隊員の耳から血が出てくるほどであった。戦車につけられたトランシーバーからは数えきれないほどの叫び声が飛び交った。薄闇の中、砲撃の光と爆発の火が上がり、戦車は炎上した。「ティーガー」はソ連の戦車を次々と砲撃した。ドイツの装甲車からは、火花を散らした徹甲弾が撃ち放たれた。しかし、まもなくT34が「ティーガー」に接近し、砲撃を開始した。損傷を受け、炎を上げる戦車から、ソ連とドイツの戦車隊員が降りてくる。鉄鋼のカオスの中、彼らは互いに銃撃し、剣や素手で揉み合った。
 
(戦車「レオパルト」他、ウクライナへの武器供与状況
【視点】日本によるウクライナへのTNT調達は参戦である
6月8日, 15:20)
 
この戦闘はきわめて多くの損害を出した。ソ連の戦車194両が炎上、146両が大破した。ドイツ軍は108両の戦車を失い、そのうち14両が炎上、残りは深刻な損傷を被った。この結果、ドイツ軍は攻撃を諦めざるを得なかった。1943年7月末、第2SS装甲軍団は前線から退き、イタリアへと移動した。クールスクの戦いはソ連が勝利し、その後、ドイツ軍は戦争そのものに敗北した。
これはこの戦争で唯一の大戦車戦ではないが、もっとも重要で、もっとも有名なものである。我々はあらゆる戦いで、ドイツの最高レベルの戦車隊員と戦車に大勝した。我々はこの戦いを誇りとしており、「レオパルト2」を恐れたりしない。

古い戦車vs最新ミサイル

「レオパルト2」はかなり古い戦車である。「レオパルト2」は1982年3月に初めて製造され、1992年3月まで作られたものである。その後、改良がなされ、砲塔、砲身が交換され、動的防御、新たな照準器、設備が設置された。ウクライナに供与されたこの改良型2A6は、より古い型式のものを改良したものである。
当初ドイツとその他のNATO加盟国はウクライナに112両の戦車を供与する計画であったが、2023年3月の時点では14両しか送られていない。ウクライナが伝えているところによれば、欧米諸国はこれらの戦車から最新の電子機器、照準器、動的防御、新型砲身などすべてを除外した。また戦場からの非公式の情報によれば、損害を受けた「レオパルト」を分析した結果、照準器は冷戦時代の古いものであったという。言い換えれば、欧米の戦車はロシアの改良型戦車Т-72В3よりも劣っていることになる。
一方、ロシア軍には、装甲車に対抗する対戦車ミサイルという新型兵器が現れている。その中には、汎用装軌装甲車両MT–LBに搭載されたミサイル「シュトゥルムS」も含まれる。このミサイルは6〜8キロの距離の目標物を撃破する。これは「レオパルト」の戦車砲の射程を超えている。このミサイルは950ミリの装甲を動的防御、つまり砲弾やミサイルを発射する装甲上の爆薬を超えて、撃破することができる。さらに2022年の末にはレーザー誘導システムを備えた対戦車ミサイルシステム「コルネットD1」の試験射撃が行われた。これらのミサイルシステムは装甲車または四輪車両に搭載される。このミサイルは3.5〜5.5キロの距離の目標物を、戦車砲の射程を超えて、撃破できる。ミサイルは動的防御のある1200ミリの装甲を打破し、また戦車が飛翔するミサイルを特殊砲弾で砲撃する能動的防御をも克服することができる。ミサイルシステム「コルネットD1」は2023年春に軍に配備された。つまり、ロシアは改良された防御を備えた欧米の最新型戦車との戦闘に備えてきたのである。
しかし、今、戦場で使われている敵の戦車には、最新の装甲も防御システムも備わっていないことが判明した。そこで、前評判の高かった「レオパルト2」は標的と化したのである。熱線暗視装置を使えば、緑の背景に黄色の輪郭がはっきりと浮かび上がる。一発命中すれば、「レオパルト2」は炎上する。こうしたすべてから、大きな疑問が湧き起こる。欧米が約束した最新の兵器は一体どこにあるのかということである。


(【視点】実戦に使われるロシアの最新戦車支援戦闘車「テルミナートル」
2月2日, 18:00)
 
伝えられているところによれば、ウクライナ軍は、供与された「レオパルト2」の半数ほどをすでに失ったという。もしかするとこの数は半分以上かもしれないが、現在これを確認するのは困難である。しかしもしこれが真実であるとすれば、ウクライナ軍は攻撃を行うための主力兵器を失いつつあるということである。