高田博厚の思想と芸術

芸術家の示してくれる哲学について書きます。

不変の真実

2020-06-30 21:56:46 | 日記


深い真実な人間は年を経ても変わらない。浅薄な人間のみが変わる。愛は真実な人間にのみ向けられるから、愛はいつも愛する者の変わらないことを望むのだ。 
 
愛なくして人間を正しく認識することはできない。 愛のない戯れ言だけを世人はまくし立てている。その責任を覚えないほどに。それによって、世人は真実から締め出されるという罰を受けているのだ。
 
 
不変で真実な人間であるよう努めるべきである。条件や可能性の問題ではない。
 
 
 




チャールズ・モーガンの小説『泉』の、ぼくにとっての意味

2020-06-09 01:55:43 | 日記

チャールズ・モーガンの小説『泉』は、ほかならぬ高田博厚さんが読むことを薦めているものであり、この小説のぼくにとっての意味は、このなかの主人公が高田さんと同様の資質の瞑想的な孤独者であるにもかかわらず、その瞑想的資質の完成のためにこそ、具体的な女性への愛に生きることを必要としたことを、ぼくに証してくれていることにある。 この小説を知るに先んじて、ぼく自身が、この必要な愛を、同様の孤独者として、この孤独を否定したり放棄したりすることなく、生きてきたのだから。 この小説は、ぼく自身の真実の確証となった。 
 
純粋な瞑想者にも、具体的な愛がなぜ必要か、これをはっきり解き明かしてくれた――ぼくの経験を映すように――この「哲学者小説」は、およそぼくの存在と離せない決定的な「人間の証言」となった。 このような読書経験は、後にも先にもない。
 
 
 

『泉』 了

2020-06-01 01:15:00 | 日記


404頁 


最終的にこの小説の思想に同意するかどうかはともかく、一生に一度は読んでみるべき小説だと思う。それに、「この小説の思想」と言ったが、登場人物の表明する思想は、かならずしもこの小説の思想である必要はない。否めないことは、この小説そのものは人間の生の真実であるということだ。この意味でぼくはこの小説に全面的に同意する。