国にとっての個人とは何か。
北朝鮮。未だ謎の多い閉ざされた国である。
多くの人民は、貧困で飢えに苦しんでいると言う。
一方南朝鮮(韓国)は、決して裕福とは言えないものの、以前の軍事政権下時代に比べれば、自由な生活を送っている。
この南北朝鮮問題は、いつ解決するのだろうか。
今回紹介する映画は「The NET 網に囚われた男」
南北の朝鮮に、人生を破綻させられた男の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。
北朝鮮の漁夫、ナム・チョルは、妻と娘と三人で質素に暮らしていた。
ある日彼は、いつも通り前日に仕掛けた網を上げるべく、小さな船にのり、自分の漁場まで行く。
しかし、網が船のスクリューに引っかかってしまい、挙句スクリューを回転させるモーターまで故障させてしまう。
彼は波の動きに逆らえず、どんどん韓国との境界線に近づき、ついには韓国側へ入ってしまう。
それを見ていた韓国側の兵士は、彼を捉え、警察に引き渡す。
引き渡された所で、彼を待っていたものとは.........
この映画の監督は、キム・ギドク、韓国を代表する一流監督である。
全編見渡した所、彼独自の解釈がこの映画にはでていない。
しかし、さすがはギドク、強烈なメッセージを込めて映画は作られている。
韓国当局に引き渡されたチョルは、一人の優しい若い刑事に親切にされるが、後の刑事には不当な扱いを受ける。
暴行を含んだ取り調べを受けるのだ。
韓国側としては、北朝鮮に彼を帰すことなく、韓国へ脱北し、新しい家族を作り生活してもらうのが狙いだが、彼は断固としてそれを断る。
ソウルの街並みの裕福さを見せ、心変わりをさせる作戦も、彼には通用せず、結局脱北の作戦は不発に終わる。
そんな折、彼が捕まった直後に捕まった別の北朝鮮人が、スパイとして認定されるのだが、彼は取り調べの最中に脱走をして、自らの命を絶つ。
しかし、マスコミの調査で、死んだ彼は北のスパイではないことが報じられ、もはやチョルに対しての、スパイ容疑をでっち上げることが難しくなった。
散々の取り調べの上、チョルは北朝鮮へ、来た時と同じ船で戻ることになる。
北朝鮮に恩義を感じ、徹底的に韓国の取り調べに対抗した彼だったが、北朝鮮に帰国すると、すぐ当局に連行され、韓国で受けたような取り調べを経験する。
「折角帰ってきたのに、この仕打ちは何だ」彼の心からの悲痛な叫びがスクリーンを通じてこちらにも響いてくる。
韓国、祖国で受けた仕打ちに、彼はすっかり人間として壊れてしまっていた。
そしてラスト、彼はいつも通り、魚を捕る網を張りに川に出ようとする。しかし、境界線の警備隊に「お前は既に漁夫ではない、他の仕事を探せ」と冷たい言葉を投げかけられる。
ついに怒り心頭に発したチョルは、警備員の静止を振り切り、船を出す。船を出したら即射殺すると言う警備員の言葉も彼には通じない。
そして彼が船を出した後、銃声が聞こえたのだった。
結局国家にとって、人個人は、大した存在ではないのであろうか。人が集まり、やがて国家と言うものができる。その礎は、国民一人一人の存在ではないだろうか。
この映画を観て、いかに個人と言うもが、国に大切に扱われていないのかと言うことを痛感した。
ギドクの映画の中では、具象的な分かりやす作品であるから、是非観ていない方は観ることをお勧めする。
2016年、韓国製作、カラー、112分、監督:キム・ギドク
北朝鮮。未だ謎の多い閉ざされた国である。
多くの人民は、貧困で飢えに苦しんでいると言う。
一方南朝鮮(韓国)は、決して裕福とは言えないものの、以前の軍事政権下時代に比べれば、自由な生活を送っている。
この南北朝鮮問題は、いつ解決するのだろうか。
今回紹介する映画は「The NET 網に囚われた男」
南北の朝鮮に、人生を破綻させられた男の物語である。
ストーリーを紹介しておこう。
北朝鮮の漁夫、ナム・チョルは、妻と娘と三人で質素に暮らしていた。
ある日彼は、いつも通り前日に仕掛けた網を上げるべく、小さな船にのり、自分の漁場まで行く。
しかし、網が船のスクリューに引っかかってしまい、挙句スクリューを回転させるモーターまで故障させてしまう。
彼は波の動きに逆らえず、どんどん韓国との境界線に近づき、ついには韓国側へ入ってしまう。
それを見ていた韓国側の兵士は、彼を捉え、警察に引き渡す。
引き渡された所で、彼を待っていたものとは.........
この映画の監督は、キム・ギドク、韓国を代表する一流監督である。
全編見渡した所、彼独自の解釈がこの映画にはでていない。
しかし、さすがはギドク、強烈なメッセージを込めて映画は作られている。
韓国当局に引き渡されたチョルは、一人の優しい若い刑事に親切にされるが、後の刑事には不当な扱いを受ける。
暴行を含んだ取り調べを受けるのだ。
韓国側としては、北朝鮮に彼を帰すことなく、韓国へ脱北し、新しい家族を作り生活してもらうのが狙いだが、彼は断固としてそれを断る。
ソウルの街並みの裕福さを見せ、心変わりをさせる作戦も、彼には通用せず、結局脱北の作戦は不発に終わる。
そんな折、彼が捕まった直後に捕まった別の北朝鮮人が、スパイとして認定されるのだが、彼は取り調べの最中に脱走をして、自らの命を絶つ。
しかし、マスコミの調査で、死んだ彼は北のスパイではないことが報じられ、もはやチョルに対しての、スパイ容疑をでっち上げることが難しくなった。
散々の取り調べの上、チョルは北朝鮮へ、来た時と同じ船で戻ることになる。
北朝鮮に恩義を感じ、徹底的に韓国の取り調べに対抗した彼だったが、北朝鮮に帰国すると、すぐ当局に連行され、韓国で受けたような取り調べを経験する。
「折角帰ってきたのに、この仕打ちは何だ」彼の心からの悲痛な叫びがスクリーンを通じてこちらにも響いてくる。
韓国、祖国で受けた仕打ちに、彼はすっかり人間として壊れてしまっていた。
そしてラスト、彼はいつも通り、魚を捕る網を張りに川に出ようとする。しかし、境界線の警備隊に「お前は既に漁夫ではない、他の仕事を探せ」と冷たい言葉を投げかけられる。
ついに怒り心頭に発したチョルは、警備員の静止を振り切り、船を出す。船を出したら即射殺すると言う警備員の言葉も彼には通じない。
そして彼が船を出した後、銃声が聞こえたのだった。
結局国家にとって、人個人は、大した存在ではないのであろうか。人が集まり、やがて国家と言うものができる。その礎は、国民一人一人の存在ではないだろうか。
この映画を観て、いかに個人と言うもが、国に大切に扱われていないのかと言うことを痛感した。
ギドクの映画の中では、具象的な分かりやす作品であるから、是非観ていない方は観ることをお勧めする。
2016年、韓国製作、カラー、112分、監督:キム・ギドク
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます