昨夜MIFさんが「明日、ドライブしよう」と言う。
私がアルバイトに合格したら一ヶ月ほどMIFさんとは休日が合わない。
まだ合格も何も決まっていないので気が早いが、MIFさんが出かけたいようなので行くことにした。
なお、外郭放水路とは埼玉県春日部市にある洪水対策の施設。ただし有名な地下神殿のような施設は完全予約制なので、その中ではなく上部に設置された龍Q館と言う展示室を訪れた。
開館時間前に到着後したので周辺を散策することにした。
MIFさんが「なんだ、シールドはカットしてあるのか」と言う。
※シールドは穴を掘り進めるドリルみたいなモノ。
時計のようになってあるが、これがシールド。地面に埋めて固定している。
アクアラインの海ほたるPAには、このシールドが立てて展示してあるので、こんな展示もあるのかと感心。
施設全景。今日見学したのは建物の右側だけ。左側は地下に繋がるようだ。
続いて野外展示物。セグメントと言うもの。
MIFさんが「形とかサイズが違うけど、今やっている仕事はセグメントなんだよ」と教えてくれた。彼が仕事のことを私に教えてくれることは珍しい。
この2つのコンクリートの塊もセグメント。ここで私の間抜けな質問。
「ねー、MIFさん、そもそもセグメントってなーに?」
丁寧なMIFさんは教えてくれたのだが、さらに私が追い打ちをかける。
「こーゆーコンクリートって、現場で固めるもんじゃないの?どうしてパーツを予め作って運び込むの?それにそもそもなんでパーツが余るの?余らせるたら予算がかさんで仕方がないじゃん。余らせるって設計の意味ないじゃん。なんで?」と質問攻めにしてしまった。
こういうとき必ず彼は言うんだ。「オレに聞くな、作ったヤツに聞け」。
まだ時間が余っているので江戸川の堤防に上がってみた。
なんか私が見たことない堤防だ。
あれ?田んぼの位置が低くないか?
放水口と江戸川。川の水面が田んぼよりも高い気がする。
川崎市辺りだと川沿いの道路はいつも混雑している印象だが、ここはのんびりしている印象。
建物のもドーンと大きく目立つ印象だ。
まだ暇なので建物の裏側にも回ってみた。
でもここからは行き止まりなのでまた建物をグルッと回り込んだ。
建物の裏側にはサッカー場くらいの広場があった。
あとで分かったが、ここが地下神殿のような外郭放水路の施設の地上部分。
開館時間になったので入ってみる。今日の目的は、外郭放水路建設時に24メートルの地層を立体的に剥ぎ取った展示物。
さすがに高さがありすぎるので3分割に分けて展示してある。
一枚目の写真を撮ってガックリ。照明がアクリル板に反射して全然映らない。
仕方なくじっくり目で観察。
あのギザギザのは何??と思ったら、アクリル板に階段が反射していただけ。
またもや照明が反射。地層の中にお月様が浮かんでいるわけではない。
シールドの模型。MIFさんによるとシールドはほぼ受注生産。工事費用の半分くらいはシールド建設費とのこと。
私には分からないけれど、相当お高いんでしょ?(通販番組風)
シールド模型の全景。かなり精密で見ていても楽しい。これで地下トンネルを掘るのだ。よくモグラのように例えられるけれど、地中に穴を掘って、残土を後方に送りながら、穴の壁面を固めて行くのでモグラよりはミミズっぽいと感じた。
地層の中から貝殻が出土したそうだ。それが写真のほかにもたくさんの種類があったので、豊かな海だったことだった証拠なのだと感じた。
この凧は春日部の特産なのだろう。「建設省」の文字に古くからこの外郭放水路が心待ちにされた施設だと感じられた。
建物上部の展示室。水を使って外郭放水路の仕組みを解説しているものもあった。私たち以外の見学者がいなかったので、係の方がとても詳しく解説をしてくださって本当に興味深かった。
先日の台風9号の際にはあの地下神殿のような施設にも水が溜まったのだとか。それがこの施設に水が溜まった102回目のことだとか。
ちょうど100回目は、昨年9月だったと言う。係の方に「もしかして、去年の常総市の大水害ですか?」と尋ねると、その通り。
あの時は、この施設に溜まった水を4日がかりで排水したと言う。おかげで江戸川は氾濫しなかったので、下流の人たちが水害に遭わなかったから、皆さんのお役に立っていると言えます、との説明だった。
絶対に水害が起こらないとは言えないが、水害が軽減していることは確かなのだそうだ。
そう思うと、昨日私が探し回った二ケ領用水支流は、暗渠となり人の目には触れていないけれど、川崎市の水害防止に役立っているのではないか?と感じさせられた。この忘れ去られたような細長い土地は、いずれ誰のモノか分からなくなってしまうくらいなら、何か開発でもしたらいいのに…と思っていた自分が恥ずかしくなってしまった。
展示室から野外展示のシールドと江戸川を望む。
さて、ここにはもう一つ目玉の展示がある。
これ、セットではなくてホンモノの監視室。これをガラス越しに見られる。
そして何かに似てるでしょ?
じつはここで数々の特撮戦隊モノの「ヒーローたちの司令室」として撮影場所になっている。
このシンプルな司令室に電飾パネルや照明で雰囲気を出しているそうだ。
説明を受けて、おぉ!納得、納得と頷いてしまった。
さて次は、越谷市の花田苑に行ってみた。ネットで「100円でお得すぎる日本庭園」とのことだった。日本庭園好きの私はぜひ行きたい!
こしがや能楽堂でお支払い。
能楽堂は公演がなければ無料で入館できるそうだが、今回はお庭だけ。
脇の小さな入口から入る。ただし係員がいないので入園料チェックをする人がいない。
竹林の感じが好き!どこからか琴の音色が聞こえてきてとても感じがいい。
小雨がぱらつくけど、このカーブがいい。そう言えば昨日「見通しができない小道がたくさんあったから、昔の住まいのご近所がイヤだった」って書いたばかりだ。ここは車の往来がないし、景色も緑が濃くてステキなので好き。
結局は、見通し云々より美しさか…と自分の感性に少しガックリ。
案内図では「大滝」と表示があった滝。大きくはない…かな?
おかめ笹の間を苔むした階段!わーステキだ!この風景、大好きだ!っとはしゃぐ私。その後をMIFさんが付いてくる。
私はものすごく楽しいが彼は楽しいのだろうか?ふと振り返り彼に声を掛けた。すると「あ?」と答える彼。
その反応に微妙なんだろうな、と悟る私。
でも私は楽しいし、文句言わないMIFさんに感謝。
園内で多分一番標高が高いところ。水はポンプアップしているのだろう。ところでこの辺りでかなり蚊の多さに悩まされる。
今まで庭園を散策して蚊に悩まされる経験が無かったので、薬剤を使っていないのだな…と感心すべきか、それとも蚊由来の伝染病にならないか心配するか少し気持ちが揺らぐくらい蚊に刺された。
うちのご近所では蚊すらあまりいないのでなおさらそんな気持ちになった。
鉢に植わった古代蓮の残骸。このシャワーヘッドのような部分が好き。種が見える。
ちなみにこの部分をデザイン化した手ぬぐいを「あひろ屋」さんで扱っている。あひろ屋さんは、埼玉の手ぬぐい屋で、私が好きな柄をたくさん扱っている。
まだ緑色の実のクチナシ。花の香りも好きだし、実の形も好き。
園内の小川。
先ほど琴の音色が…と思っていたら、このような岩をくり抜いたスピーカーが仕込まれていた。
ここは水辺が充実しているせいか、日本庭園で見かけるような橋がたくさんあった。日本庭園では確かにアクセントとして橋が架かっているが、この庭園は、その種類が豊富。私のように橋好き、日本庭園好きなら、とても喜んで見学したくなる造園と言えるだろう。
橋は木製。この手の橋は通行止めになっていることが多いので、実際に渡ることができてうれしい。
橋の上から見ると船屋がある、この船を運航できるので、普通の日本庭園の池よりも少し深めなのかもしれない。
高所恐怖症を我慢して、橋の上から身を乗り出す。
橋を支える石垣が美しい。橋の造形を間近に見つつ、石垣の美しさもまたいい!
ほかの様々な橋。
ここは菖蒲園もある。
能楽堂の裏手。なにか工事のような作業をしていた。
菖蒲園の最下流。鳥居かと思ったら、石の水門。
イヌマキの生垣。日本庭園では見かけるが、なかなか関東では見かけないので、やはり目が行ってしまう。
池の河岸(?)。多分先ほど見かけた船はここで着岸するのだろう。
それにしても大谷石だろうか?とても上質な石を丁寧に使っているように見える。
池の河岸(?)から。砂浜に見立てた景色も素晴らしい。
たぶんナツハゼの実。
この庭園はどの風景を切り取っても変化に富んでいて、この季節の日本庭園にありがちな「晩夏の疲れ」といった風景になっていない。たった100円でいいの?と思うくらい価値ある庭園だ。
琴の音色をスピーカーで流す必要も無いくらい手入れが行き届いていた雰囲気がある。
蚊だけはどうしても刺されてしまったが、こんなステキな日本庭園がうちの近くにあったらいいのになぁと思わせてくれた。
次は久伊豆神社に向かう。
もの知らずな私、昨夜初めてこの神社の存在を知って「クイズ神社って何じゃ?」と思ってしまった。でもMIFさんもカーナビをセットしながら「クイズ神社?」と言っていたから、お互い無知とは恐ろしいモノ。
正しくは「ひさいず神社」。
手水場の彫り物がスゴくて圧巻!
立葵の紋なので、徳川家と繋がりがあるのかな?と想像してみる。
社殿。
この水はポンプアップしている飲料用になる水。
さて狛犬好きな私はいつものように狛犬コレクション。
のっけから見たことが無いデザイン!!
お母さん狛犬が子犬の頭に手を置いていないデザインなんて見たことかいなぁ…とよく見たら、狛犬の子どもがお母さん狛犬にお乳をおねだりしている!
これも初めて見たデザインだ!というか、ちゃんとおっぱいもあるぞ!
あらお父さん狛犬はボール遊び?
お父さん狛犬を後ろから見ると苔むしていい感じだわー!あと尻尾かフサフサデザインでキュートだわ!
社殿の脇に置かれた狛犬。彫りが浅くて、少しだけ奥多摩の大岳神社の狛犬を彷彿したが、イヤイヤ大岳神社の狛犬のシュールさには勝てないわーと思い直す。
MIFさんが「なんで足を縛られてるの?夜な夜な暴れるとか?」と言い始める。私もよくわからない。ただ、結んでいるのは紐ではなく麻の繊維。
反対の狛犬を見てもやはり足を麻の繊維で結んである。なぜ?
☆☆☆ 20160829追記 ☆☆☆
この麻の繊維で結んでいるのは「足止めの狛犬」という風習というらしい。
悪所通いを辞めて欲しい、出奔した家人に帰って来て欲しい、と狛犬の足を縛る。足止めから転じて、志望校に引っかかるようにと受験生に人気なのだとか。
西日本ではそういった願掛けがあるそうだ。
関東では珍しいのではないかな?私は今まで聞いたことも見たこともなかった。
☆☆☆追記終わり☆☆☆
つり灯籠もあまり見かけないので、どういう言われがあるのだろうか?
渡り通路の柱の基礎。干支が彫られていて、よく見ると渡り通路は12本の柱で屋根が支えられていた。だから干支が彫られているのか、干支を表現したくてわざわざ12本の柱なのか?
社殿の裏手に入る。さまざまな神社のミニ社があった。
この神社は珍しく忠魂碑が目立つところにない。その代わり社殿の奥に旧南洋神社がある。MIFさんは「仏教徒寄りの無宗教」を自認しているので、南洋神社自体を知らないと言う。
私は、狛犬と忠魂碑に興味がある禅宗寄りの無宗教というカオスっぷり。
MIFさんと意見が食い違った植物。ライラックの幹に苔が生えている。
私は、苔と幹の間に宿り木の葉っぱが伸びた「苔と葉っぱは別植物」。
MIFさんは、苔から葉っぱが伸びた「葉っぱは苔の一部」。
一体どちらなのか、調べるよりはお互いの意見を言いっ放しで放置した。
参道脇になんかガリガリな狛犬発見!こんなガリガリ体型の狛犬は見たことない!
顔が大きすぎるのか、アンバランスな感じ。神社の社殿に対して置かれているわけでは無いし、社殿に対しても小さいし、どういう言われがあるのかな?気になる存在感。
参道脇にはいけもあり、池の中にもお社がある。
ここの鳥居は伊勢神宮の遷宮による資材が使われているそうだ。
ちょうど今造り替えていた。
これにて今日のドライブはおしまい。
じつは龍Q館のアクセスをしらべていたら、近くに利根川と江戸川の分岐があった。
私が「川の分岐点って見たことない!」とMIFさんに言うと、彼は「あ、オレ見たことあるよ、利根川と江戸川だけど」と言う。まさにそこを見たかったけれど、どうやら彼は興味がないので連れていってくれないだろう。
そう思ったのは私だけで、帰りにMIFさんが「行きたいなら行きたいと言えば連れていくのに」と言う。
うぅ、やっぱり私は修行が足りませぬ。
そして帰宅してから「越谷市まで行ったら、大宮盆栽美術館もそう遠くなかったかも…」と思い出して地図を見ると、ああ、行けた距離だ。
ただ、私にとって盆栽は日本庭園の延長線上に位置していているが、MIFさんは興味が無さそうだ。
今日もいろいろな所へ連れていってくれたMIFさん、いつもありがとう!