巨人4x-3楽天
原監督、先発した菅野にとっては特別な試合だったに違いない。
この日は5月29日に亡くなった原貢氏の密葬が行われたからだ。2人ともそれを終えて球場入り。期するものがあったに違いない。
原監督は「思い出はたくさんある。よく怒られたしね。師であり、私の理解者であり、ファンだった。すべてがいい思い出」と報道陣の前で語った。
菅野は亡き祖父の事をあえて意識しながら投げた。貢氏は菅野にとっても怖い存在だったという。普通、孫には甘くなるものだが、少年時代から厳しく指導されたらしい。8回3失点で白星こそつかなかったが、試合後は号泣したという。
そんな2人の思いをくみ取ったのか、巨人は一丸野球で勝利した。
坂本は鼻骨を骨折しながら出場。球団タイ記録の5四球を選んだ。
松本はメヒアの打球が急激にドライブして変化するボールを見事にキャッチした。
ロペスは9番を打たされた。外国人ならふて腐りそうなものだが「打順は関係ない」と3ランホームランを放った。
村田は自打球を受け、痛みのあまりベンチに一度戻るほどだったが、気迫で打席に戻った。
長野は延長10回、先頭打者で出塁すると2塁盗塁を決めた。
最後に試合を決めたのは横川史学だ。延長10回、無死1・3塁で打席に立つと、レフト前にサヨナラヒット。巨人移籍後、初のサヨナラ打となった。
昨年の今頃はどん底だった。2軍戦で死球を受け、傷口が化膿。ばい菌が入る恐れがあるため、スポーツ選手でありながら約1ヶ月、汗をかくことさえ禁じられた。この怪我もあって昨年は1軍で出番なし古巣・楽天の日本一をおそらく誰よりも複雑な思いで見ていたのが横川かもしれない。
ヒーローインタビューで「バットのどこに当たったかわからなかった」という無我夢中ぶり。
かくして巨人は勝った。天国の貢氏もさぞ喜んでいるに違いない。
7日の相手の先発は天敵・岸。08年の日本シリーズでやられた悔しさは今でも忘れない。この日のような一丸野球でマウンドから引きずり降ろしてやろうぜ!
炭鉱町に咲いた原貢野球―三池工業高校・甲子園優勝までの軌跡 | |
澤宮 優 | |
現代書館 |
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武田 薫 | |
ベースボールマガジン社 |
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