夏草の賦 [新装版] 上 (文春文庫)司馬 遼太郎文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
司馬遼太郎さんの「夏草の賦」を読んだ。
主人公は長曽我部元親。戦国時代は好きだが元親の印象は「四国を統一した」という程度。前から興味があり、ずっと読みたいと思っていたので図書館で検索したらあったので借りて読んだ。
物語の初めはは土佐、ではなく岐阜。
元親の室として明智光秀の重臣・斉藤利三(春日局の母)の妹・菜々(だったかな?)が嫁ぐところから始まる。ちなみにそれが縁で春日局は山崎の戦いで自分の父親が戦死すると土佐にかくまわれたとされる。
最近の若い女性の戦国時代ブームで元親はとても人気があるらしいが、男らしいという感じでは描かれておらず、口数も少なく、少々臆病で、気難しい性格だった。もっとも大将たるものは豪快・豪傑では務まらない。
四国を平定するのに20年も要したが、信長が「鳥なき島のコウモリ」と評したように中央の動向にはついていけず、秀吉に攻め込まれあえなく降伏。土佐一国に戻された無念さは読んでいて痛々しかった。
九州征伐では先陣を任されたが、秀吉から派遣された先陣の将の愚かな采配のせいで長男・信親を失い、晩年は気力が失ってしまったのが残念だ。
NHKの番組で「大河ドラマで主役にしてほしい戦国武将」のアンケートで元親は第1位に選ばれたそうだ。2010年の大河は同じ土佐の英雄・坂本竜馬のため、11年の大河ということはないだろうが(そうなると2年連続で土佐が舞台となってしまうため)、近い将来ぜひ実現してほしいものだ。
ちなみにこの物語で本能寺の変も丁寧に描かれている。本能寺については「秀吉謀略説」とか諸説あるが、これを読む限り光秀が謀反を起こしたと単純に思える。
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