2020年9月19日に発行された日本経済新聞紙の朝刊一面の見出し「米中、量子革命を主導」を拝読しました。
普通の個人では理解できない未来社会が出現しそうです。
サブ見出しは「研究論文1位 中国、暗号関連で米国の倍」です。もう一つのサブ見出しは「出願特許 米、超高速計算に巨額投資」です。
この記事のリードは「次世代計算機の量子コンピューターをはじめとする量子技術を巡り、世界の覇権争いが激しくなってきた」と始まります。実際には、中国と米国の覇権争いです。
各国の基礎研究力を示す科学論文数では、中国が米国を抜いてトップに立ったと伝えています。これまで半導体技術が支えたデジタル社会に継ぐ、今度は量子技術が21世紀の革新をけん引する可能性が強まっていると解説します。
この量子技術は、新たな時代の勢力図を塗り替え、産業競争力や安全保障(軍事技術)にも影響を与えると解説しています。
一番の問題は、この量子技術を人類が正しく使いこなせるかという大きな問題です。
日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では見出し「米中、量子革命を主導 論文数は中国が米抜く」と報じています。
科学論文の実態を伝える米国クラリベイト・アナリティクスが分析した2014年から2018年までの研究論文数は中国が4000本にせまり。第二位の米国は3500本程度になっています。さらに、だいぶ減って、ドイツ、日本、英国が続きます。研究論文数は中国と米国が断然、多いのが実情です。
この研究論文数では、中国の中身が量子暗号分野が増えています。米国の約2倍に達しています。この量子暗号は普通では解明できない複雑な暗号を解くツールになるといわれています。もし悪用されると、困った事態が起こります。
もし、競合相手国の軍事秘密や企業の営業秘密などを解くことができるようになると、従来とは異なる力関係になります。
たまたま現在、ドコモ口座などの不正アクセスが問題になっていますが、相手国の量子暗号が解けるようになると、レベルが桁違いの不正アクセスが起こりえます。
あまり正確な比喩になるかどうかわかりませんが、1940年代に米国は原子爆弾の開発を「マンハッタン計画」として進めました。
核反応を使う武器の技術開発との考えで進めた米国の科学者は、実際に完成し利用された時には多くの科学者が参加を悔いたと伝えられています。
人類は、量子コンピューターで何を解くのか、量子暗号が解けるようになると、何を解くのかなど、人間の利用法のモラルが問われてきます。使い方を制御できるのかどうかわかりません。
これもいい比喩になるかどうかわかりませんが、1960年の時点では東京と大阪を3時間でつなぐ高速鉄道は想像もできませんでした。夢の超特急話でした。
1980年の時点では、各人が個人の携帯電話機を持つ時代が来るとは誰も想像できませんでした。
現在、銀行口座の暗証番号は偽サイトなどから漏れるようですが、もし量子暗号によって解けるようになると、こうした暗証番号の安全性はどうなるのか想像もできません。想像もできないいやな世の中になります。
(追記)現在、米国トランプ大統領は、米国での中国企業のTikTok利用に危機感を持ち、米国での事業部分を米国企業に売却するように指示しています。TikTok利用時に利用者の個人情報が洩れる可能性を危惧しています。携帯電話機器から個人情報が洩れると、困った事態になります。量子技術を使うと、困った事態になります。