タクシー数 その10 で真の意味において実2次体の5乗和で2通りに表せる例を示した。ここでは、その求め方を記しておく。
…(A)
の有理数解 k, δ, b について
とするとき、
であった。ここでt、t'が有理数の2乗であれば、s≠s'のとき2通りの5乗和で表されることがわかる。なぜなら、とすると5乗和が等しいので これより となり矛盾。とすると 両辺を足して となり矛盾。
とおくと であるので(A)は、
となる。左辺の中カッコ内をv、また、r=δ/kとおくと
但し、
とおくと、上の等式は
となる。この有理数解が存在するとしてその一つを とすると、一般解は、有理数gを用いて
である。よって
より
より
よって、T=mgとおきkをTを用いて表すと、上式は
となる。上式の左辺をYとすれば、このY,Tに関する4次式が有理点を有する、つまりT,Yに関する楕円曲線となれば、uが有理数解として求まる。
次にuとu’の関係からu'の満たすべき関係式を求める。
より
したがって、
と の右辺はともにTの2次式の積である。積の左項は同一、右項はrの関数と見た時、rを-rに置き換えた式となっている。この式の左辺をY'とすれば、Y'、Tに関する4次式の有理点を求めればu'が求まる。
次に、の解を具体的に求め、u,u'が有理数となる場合を探してみる。
より
が有理数の平方のとき、 は解である。
が平方数でない場合、r=-7/15の場合など個別の解は見つかるがパラメータ解についてはよく分からない。
そのため、以下、 は平方数、であるとする。このとき、
である。この2つの3次式の有理点で共通のT座標を有する点が見つかれば、有理数の5乗和で2通りに表される例が見つかることとなる。
よりY, Y'に共通T座標の有理点があれば、 にも共通T座標をもつ有理点がある。結局、これらTについての3つの3次式または4次式のうち2つに共通のT座標を持つ有理点が見つかれば有理数の5乗和で2通りに表される例が見つかることとなる。
タクシー数 その10であげた実2次体の5乗数で2通りに表される例を求めてみる。
➀ 片方が有理数の場合
r=-3/5とする。また、 とする。
この時、Yの式は
変形して
を得る。この楕円曲線の有理点の位数0の生成元をCoCalcにより求めると
(18176,523776) と (39625,442875)
を得る。前者からは、 が負となる解が得られる。したがって、実2次体の例にはならない。
後者から、 なる解が得られる。
これをもとに、をもとめ、共通因子を排して、
を得る。
② 双方が実2次体の例
とする。
の の係数 が平方であれば、この4次式は有理点を有する。 とおくと、
これが、有理数の平方となるためには、つまり の有理数解を求めればよい。この一般解は、 である。一方、 なので、
ともパラメトライズされる。 より を得る。
よって、jを平方として とすれば、4次式が有理点を有することになる。
とおけば、
よって、
これを本ブログの「4次楕円曲線」に記した手法でWeierstrass標準形に変換して有理点を探せばよい。
今、j=4したがって、r=-15/17とすれば、楕円曲線
を得る。この楕円曲線の位数0の有理点をCoCalcにより求めると
(-646647040/24137569,-4628556134400/118587876497),
(-154717983680/6975757441,-2457482401059840/582622237229761),
(-525982144/24137569 , -659062103040/118587876497)
を得る。
最初の生成元より、逆変換してTの値を求め、Yの2乗を計算すると負の値になる。したがって、実2次体の例とはならない。この生成元の2倍は、
(41608541225/96550276,12315552262099515/948703011976)
となり、同様の計算をすると以下が得られる。
これをもとに、をもとめ、共通因子を排して、
を得る。
の有理点のうち、Yの有理点となるものがないか、いくつかのrについて計算したが、なかなか有理点にはなりそうもない。やはりあてずっぽうではうまくいかない。
どなたか一緒に探しませんか。