数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

前期試験

2021-03-01 05:18:08 | 大学入試
 国公立の前期試験が終わり,早速河合塾や駿台のホームページには主な大学の問題の速報がアップされています.
 昨年は,教え子が受験したこともあり,気になってはいましたが,今年は教え子は受験していないので,関心が薄かったのですが,友人の英語の先生からラインで連絡を受け,見てみることに.

 京大の理系の問題ですが,昨年は難しかったのか,とっつきやすい問題で易しくなった気がします.3番や4番は受験生にとっては特にそんな気がしたのではないでしょうか.
 昨年は,教え子で将来数学者を目指す優秀な生徒でも難しかったと不安を言葉にしていました.とはいえ本人は理学部に余裕で合格しましたが.実際に受験生に話を聞いてみると,予備校の問題の講評に書かれているのとはかなり違っています.難易度に関しても,実際の受験生の印象とは違う場合もかなりあります.実際の昨年の受験生の声と河合塾等での講評と違いは印象的でした.
 予備校で教えてみて一番思ったことは,実は,予備校の授業って,旧態依然としたところがあるように感じます.入試問題を解説するだけ.これは50年前でも変わりません.少人数での授業でも形式は同じです.大学の数学の授業は問題を解説するような授業はほとんどなく,高校でもきちんと数学を教える先生は教科書を使っていてもストーリーとして数学の内容に関して流れを意識して授業するものです.受験を意識したあまり,予備校や塾と同じ授業をする先生もいますが.
 問題を例として,解説しながら,そこから数学的なことを講義するのが本来の姿であるのですが,問題の解答を示すことが教えることとなっているような授業にだから,大学へ入ってから挫折する受験生も相変わらず多いのが今の現状ではないでしょうか.
 いい授業,講義とは.それを聞いた生徒がやる気が出てくる,興味が出る,もっと勉強してみたくなるそんな気を起させる授業ではないでしょうか.解答を教えてもらってよくわかった授業って,塾や予備校での旧態依然とした授業の話.講師が10年,20年教える中でその経験から鮮やかな解答を示しても,生徒ができるようになるとは思えません.それでは,生徒ができるようになるのは生徒自身が予備校で10年,20年教える経験が必要になります.生徒が自らその授業をきっかけとして学ぶ姿勢やモチベーションが高まることにつながることにならないといいけないと思います.

合格発表

2020-03-10 16:15:18 | 大学入試
 今日3月10日は、大学入試の前期試験の東大・京大の合格発表の日です。昨年までは、教え子の合格しました!という声を聞ける環境にありましたが、今は予備校なので、少し違います。

 しかし、教え子の何人かから合格の知らせルメーッセージが来ました。今年は優秀な生徒が何人か居て、結果も殆どが第1志望に合格という結果です。

 今年は東大も京大も掲示板での発表は、コロナウイルスの影響で中止になって、感動の場面も違いますが、電話で知らせてくれた教え子もいて、数学の問題に関しても直接受験生の声を聞くことができました。

 その子は京大の理学部に合格したのですが、私が今まで見てきた生徒の中ではもっとも数学的な素質があり、本人も将来数学者を目指すと言っていますが、今年の数学は難しかったと。

 私も実際に解いて思ったことは、時間的に厳しい問題が多いと感じました。聞いてみると、実際の受験生は理系の3番のベクトルの問題が難しかったようです。予備校などの講評では4番の方が難しいような評価ですが、実際は3番が一般性を失わない状態で、点を計算が楽になるように設定するというところが、難しく、白紙の答案が多かったようです。

 センター試験では誘導式なので、戸惑うことはないのですが、京大のような大問だけの出題では、最初の出発点での最初の一歩が意外に難しく、白紙になるケースがあります。センター試験ではありえない、そこに2次試験の記述式の難しさがあります。そんな数学問題の話をしながら、大学生活への思いなどを聞きながら、今日だけしか味わえない感動を教え子と共有できることに感謝したひと時でした。