数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

独ソ戦

2020-03-31 16:28:51 | 読書
 独ソ戦という言葉は、知ってはいたが、第2次対戦中のドイツとロシアの戦いであるが、詳細には知らなかった。

 この本を読んで、その被害等についていかに甚大なものであったかと驚いてしまったのが、第1印象であった。第2次大戦の日本の戦死者が膨大な数であることは認識していたが、独ソ戦がそれを上回る数字だったということが今まで知らなかった。確かに聞く機会も少なく、ソ連での情報公開等に閉鎖性にも起因はしているとは思うが、これまで多いとは。

 結局はベルリン陥落も独ソ戦の最終局面であって、西側とドイツの戦いの最終局面ではないところ等、この本を読んで目からウロコのところが何箇所もあり、我々が耳にする情報がいかに偏っているかを再認識させられた。

 新書ということで、大学生の入門的なレベルを意識したとのことだが、今の大学生でこの本を入門的なレベルで読める学生が何人いるのだろうか。実際の受験生を教えている立場からそう思わざるをえない。

 文系理系にかかわらず、読んでおくべき本として大学新入生にも勧めたい。


日本文学史序説 下

2020-03-11 18:11:27 | 読書
 中学3年の時、加藤周一の「羊の歌」(岩波新書)を読んで以来、加藤周一の本はあまり読んでいなかったように記憶しています。2年ほど前にもう一度「羊の歌」と読み直し、
その後引き続いて、「続羊の歌」(岩波書店)

読み、その後、「『羊の歌』余聞」(ちくま文庫)を読み、加藤周一をしっかり読んでいこうと思うようになりました。
 中学3年の時、たまたま、高校入試の国語によく出題されるという、理由で読んで以来、理系出身の評論家としてある種尊敬の眼差しでしか見ていなかったのですが、平和の問題にも積極的にコミットしていた氏の姿勢には気になっていましたが、この歳になって、読み直してみると改めて、氏の博学と世界史的な広い視野と洞察力を感じています。
 その気持ちを特に強くしたのは、「私にとっての20世紀」(岩波現代文庫)でした。
 その後、氏の有名な「日本文学史序説」にチャレンジしようと思いましたが、歴史的に、興味があるのが近世から近代ということもあり、この「日本文学史序説 下」(ちくま学芸文庫)を選びました。しかし、基本が”通勤読書”なので、精読ができなく、遅々として読めませんでした。結局、読み始めて1年以上かかりました。

 江戸の化政文化以降の文学史ですが、読みながら強く感じたことは、文学史の専門家で加藤周一ほど歴史に造詣のある人はいないだろうということと、歴史家で加藤周一ほど文学史を知っている人はいないだろうという思いです。文学史と歴史を一緒に学べる貴重は本です。以前に書きましたが、山本義隆の「近代日本の150年」(岩波新書)は科学の視点、切り口による近現代史ですが、この「日本文学史序説 下」は、文学史の視点、切り口による近現代史とも言える内容として私には新鮮に思えました。

 読み終えて再認識したことは、加藤周一の本は2回以上読まないと理解できないかな。2回以上読むたびに新発見がある、ある種、数学書のような感覚の本です。読まれた経験のある諸兄はどんな印象でしょうか。

合格発表

2020-03-10 16:15:18 | 大学入試
 今日3月10日は、大学入試の前期試験の東大・京大の合格発表の日です。昨年までは、教え子の合格しました!という声を聞ける環境にありましたが、今は予備校なので、少し違います。

 しかし、教え子の何人かから合格の知らせルメーッセージが来ました。今年は優秀な生徒が何人か居て、結果も殆どが第1志望に合格という結果です。

 今年は東大も京大も掲示板での発表は、コロナウイルスの影響で中止になって、感動の場面も違いますが、電話で知らせてくれた教え子もいて、数学の問題に関しても直接受験生の声を聞くことができました。

 その子は京大の理学部に合格したのですが、私が今まで見てきた生徒の中ではもっとも数学的な素質があり、本人も将来数学者を目指すと言っていますが、今年の数学は難しかったと。

 私も実際に解いて思ったことは、時間的に厳しい問題が多いと感じました。聞いてみると、実際の受験生は理系の3番のベクトルの問題が難しかったようです。予備校などの講評では4番の方が難しいような評価ですが、実際は3番が一般性を失わない状態で、点を計算が楽になるように設定するというところが、難しく、白紙の答案が多かったようです。

 センター試験では誘導式なので、戸惑うことはないのですが、京大のような大問だけの出題では、最初の出発点での最初の一歩が意外に難しく、白紙になるケースがあります。センター試験ではありえない、そこに2次試験の記述式の難しさがあります。そんな数学問題の話をしながら、大学生活への思いなどを聞きながら、今日だけしか味わえない感動を教え子と共有できることに感謝したひと時でした。



文房具を買いに

2020-03-10 16:08:46 | 読書
 そういえば、以前にも片岡義男の本を買って読んでいました。このところ、読んでも記憶に残ることが少なく、すぐ忘れてしまいます。なので、こうして読書日記みたいなのをまた初めて書いています。
 
これですが、前回の「万年筆インク紙」よりもう少しジャンルを広げた、文房具に関しての本です。使い込むという視点と使ったという視点が説得力を持つのでしょうね。読んでいても納得して引き込まれる内容です。この本と、「万年筆インク紙」を一緒に読むとまた面白さが倍増するのでしょうか。

1年ぶりの東京(4)

2020-03-10 15:33:54 | 日記
 翌日曜日、ホテルの朝食をいただき、家内は研修に、私は神保町へ、神田で別れ、地下鉄に乗り換え、神保町へ。

 行きつけの喫茶店、「サボール」は今日と明日は連休で休みになっていました。仕方なく、そこからすずらん通りをのんびりと歩いていきます。東京堂書店に着くと、まだ開店の10時にはしばらく時間があります。隣にドトールのコーヒーショップがあり、そこで時間を潰すことに。

 店内に入ると、コーヒーを飲みながらノートパソコンを打っている人が一人。他に二人ほどの客が静かにカップを傾けています。少しして、10時近くになり、店を出て、隣の東京堂書店へ。

 久しぶりの東京堂書店。かつて、ジャーナリストの立花隆がよくここにきて本を買ったと読んだことがあります。迷ったら買う、手に取ったら買うとか。ここは品揃えが独特であるとも読みましたが、なるほどと納得しました。

 以前は、数学書はほとんどなく、人文系の書店だと思っていましたが、今回二階へ行くと、数学書もかなりあり、それも品揃えがいい感じです。さらに、1階の併設された喫茶店が気に入りました。本を買って、立ち疲れて、少し座りたくなった時にこの喫茶店はいいです。買った本もめくってみたいし。そう感じながら、コーヒーとクッキーを注文して時間制限の2時間をめどに、少しページを捲り始めました。

 しばらくして、どうもお腹の調子がおかしく、胸焼けがしてきました。どうもクッキーに入っていた胡桃がおかしい?そういえば少し前から胡桃に対してアレルギー症状が出るようになったことをなんと食べてから気がついたのです。

 買った本は、片岡義男の「万年筆インク紙」という文房具や本に興味のある人には読んでみたくなる本で、早速ページを捲り始めたのですが、どうも体調が良くない。そこで、しばらく体を動かしたら治るかと、店を出て、少し歩いて、地下鉄に乗り、日本橋の丸善へ。

 丸善についても、体調は以降に良くならず、かえって苦しくなるばかり。これはホテルに帰って休もうと、また地下鉄に乗り、新橋へ。そこで、山手線に乗り、大崎のホテルに着いた時には、立っていることもできないくらいの苦しさ。(続く)