サラ☆の物語な毎日とハル文庫

アーサー・ランサム『女海賊の島』は、子どもたちが中国の海賊に捕らわれる!

 

 

ランサム・サーガの12冊のなかには、

登場するのはいつものメンバーだけど、設定は架空の物語が2冊ある。

『ヤマネコ号の冒険』と『女海賊の島』だ。

 

『ヤマネコ号の冒険』ではキャプテン・フリントと子どもたちが、

宝(たぶん)が埋められているというカリブ海の島まで帆船で旅をする。

悪役も出没する。

そして、火山の噴火に始まり、地震、台風、竜巻…ドンパチもあって、もう「そこまでやる?」という大波乱の物語だった。

 

『女海賊の島』は、ヨットで世界一周の旅に出た一行の船・ヤマネコ号が爆発し火災を起こして沈没。

メンバーは救命艇として使われていたツバメ号とアマゾン号に分乗して、漂流する。

 

なんだかんだでメンバーがたどり着いたのは女海賊・ミスィ・リーが治める島。

彼らはそこら一帯の海域で海賊ビジネスを展開している。

一帯を通過する船を襲う海賊稼業だが、上納金をおさめたものたちは襲わないのだ。

 

メンバーたちはもちろん捕らわれの身となる。

ところがミスィ・リーは若い女性で、なんと、かってはイギリスのケンブリッジ大学に留学していた…

というところから、物語はぐるぐると展開していく。

 

面白い!

ロジャーのペット、猿のジバーやティティのオウム・ポリーが節目のところで活躍し、冒険を彩る。

 

舞台は中国らしく、竜神祭ではメンバーが竜を担いで踊るシーンもある。

さて、メンバーはどのようにして海賊の島から脱出するのか?

中国の海賊に首を切られる瀬戸際までいくが、その前に脱出できるのか?

最後までハラハラさせられるのだ。

 

最後に印象に残ったこと。

子どものひとり、ティティが「かわいそうなミス・リー」

 と同情したのに対し、キャプテン・フリントはこう答える。

 

「彼女は奇妙な仕事をしている。

しかし、やり方を心得ている。

仕事をもっていて、そのやり方を心得ているということは、

この世でいちばんいいことの一つだ。…」

 

著者の意見ということだろうけど、含蓄深い。

「この世で一番いいことの一つ」という表現がいい。

コメント一覧

marupippo
子どもの頃は、どんな話もそのまま素直に受け止めますね。だからこそ、ワクワクする気持ちも喜びも何倍にもなるのだと思います。
sd
私が小学4~5年にかけてリアルタイムで読んでいたときには、「ヤマネコ号」も「女海賊の島」も「実話」として読んでいました。それで全く違和感なかった。中国の沿岸でヤマネコ号が焼失した場面ではあまりの衝撃に2,3分思考停止したのを覚えています。 この2作が架空話だというのは大人になって論評を読んで初めて知りました。 まあ確かに「冬休みの間に創作した・・・」というような記載はあったのですがね。 きっと読んだ順番のせいで当時はスルーしてしまったのでしょう。
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