ランサム・サーガの12冊のなかには、
登場するのはいつものメンバーだけど、設定は架空の物語が2冊ある。
『ヤマネコ号の冒険』と『女海賊の島』だ。
『ヤマネコ号の冒険』ではキャプテン・フリントと子どもたちが、
宝(たぶん)が埋められているというカリブ海の島まで帆船で旅をする。
悪役も出没する。
そして、火山の噴火に始まり、地震、台風、竜巻…ドンパチもあって、もう「そこまでやる?」という大波乱の物語だった。
『女海賊の島』は、ヨットで世界一周の旅に出た一行の船・ヤマネコ号が爆発し火災を起こして沈没。
メンバーは救命艇として使われていたツバメ号とアマゾン号に分乗して、漂流する。
なんだかんだでメンバーがたどり着いたのは女海賊・ミスィ・リーが治める島。
彼らはそこら一帯の海域で海賊ビジネスを展開している。
一帯を通過する船を襲う海賊稼業だが、上納金をおさめたものたちは襲わないのだ。
メンバーたちはもちろん捕らわれの身となる。
ところがミスィ・リーは若い女性で、なんと、かってはイギリスのケンブリッジ大学に留学していた…
というところから、物語はぐるぐると展開していく。
面白い!
ロジャーのペット、猿のジバーやティティのオウム・ポリーが節目のところで活躍し、冒険を彩る。
舞台は中国らしく、竜神祭ではメンバーが竜を担いで踊るシーンもある。
さて、メンバーはどのようにして海賊の島から脱出するのか?
中国の海賊に首を切られる瀬戸際までいくが、その前に脱出できるのか?
最後までハラハラさせられるのだ。
最後に印象に残ったこと。
子どものひとり、ティティが「かわいそうなミス・リー」
と同情したのに対し、キャプテン・フリントはこう答える。
「彼女は奇妙な仕事をしている。
しかし、やり方を心得ている。
仕事をもっていて、そのやり方を心得ているということは、
この世でいちばんいいことの一つだ。…」
著者の意見ということだろうけど、含蓄深い。
「この世で一番いいことの一つ」という表現がいい。